訳もなくムシャクシャするから好き放題言う、お前らは偉い。
気持ち悪い。お前らのチラチラするアレはなんだ。お前らと俺が知り合いな訳がないだろ。なんだその確認は。なんだその視線は。自分が他人に気色の悪い視線を送っていい身分かどうか考えろ。お前が他人の不幸に舌打ちできる身分かどうか考えろ。お前が他人のことを笑えるかどうか考えろ。どう考えても毎日ちゃんと決まった時間に起きて学校に行ったり、会社に行ったりしている奴らの方が偉いに決まっている。お前らは偉いのに、なぜ社会の思うがままに食い物にされて潰されている。こんな穀潰しのなんの生産性のかけらもないガキよりも間違いなくお前らは真面目で、間違いなくお前らは頑張っている。それなのになんでそんなしょうもないことばっかしてる。
道端の石には目もくれないくせにすれ違う人間には妙な興味を見せる。毎日ため息をつきながら起きて満員電車に乗って生きたくもない学校に、会社に向かう。とんでもなく偉いことだ。大切なことだからもう一度言う。お前らは偉い。俺にはできなかったことだ。こんな役立たずのクソ人間からしたらお前らのそれは才能でもある。羨ましいし、尊敬している。それなのにだ。なぜお前らはそこまで頑張っているのに気持ちの悪いことをして台無しにするんだ。
SNSしかりニュースしかり、そう言うものが全部お前らに病原菌を振りまいている。お前らはすごい。すごいのにあいつらはダメだダメだと言う。誰が誰を殺したとか、誰が不倫したセックスした自殺した、全部どうでもいい。俺は俺で、お前はお前だ。どこの誰が不倫して殺人を犯してテロを実行してもお前は毎日必死に生きているということを忘れるな。立派だと言うことを忘れるな。
俺だって真面目になりたかった。俺だって我慢したかったし俺だって毎日学校に行ってくだらない話でまあまあの生活を送ってちゃんとたくさん失敗していつか素敵な人と出会って家庭を持って死ぬ前にまあまあの人生だったなとにっころ死んでいく。そんな普通が欲しかった。そんな普通で十分だった。俺にはそれが普通ではなかったけれど、お前らはまだ間に合うんじゃないのか。誰がなんと言ったって普通が一番に決まっているし、努力すれば全員ではないけど多くの人が普通を手に入れられるだろう。俺もそれが欲しいけど、よく分からないけど、俺にとって普通は贅沢だ。
この国は病気だ。お前らの近くに病気の人はたくさんいる。電車が事故で遅延してイライラしてしまう。他人の個人情報を面白おかしくバラしてしまう。それにわんさかハエのようにたかる俺たち。どこからこんなにおかしくなった。普通のせいか。普通のせいでおかしくなったのか。人身事故にイライラしてしまった時、俺は本気でおれが終わったと思った。結局俺もあのサラリーマンと一緒で自分のことしか考えない、セックスのことしか考えないクソ人間なんだと悟った。結局自分は何もかもいいところがなかった。希望はもう持つのはやめた。誰が何を言っても自分が認めなければゴミはゴミだ。逆に言えば自分で自分を認められれば誰が何を言っても立派なものは立派だ。もう自分を責めるのはやめろ。たまにはサボっていい。そう言うことを自分で自分に言ってあげられる強さを持て。お前らの普通が実はとんでもなく立派なことを知れ。お前らは立派に生きている。




