夜と過去4
媚びないこと。機嫌を取らないこと。自分で決めること。顔色なんかに一瞥もくれてやらないこと。ムカつく奴に「死ね」と真正面から言ってやること。バカばっかりだからバカにしてやること。アホ面のやつには一発ぶん殴ってやること。警察なんか政治家なんか「黙れさっさと死ねクソゴミ」とでも言ってやること。絶対勝てない奴からは真っ先に逃げること。絶対死なないけど明日死ぬと思って無理やり生きること。泣きたきゃ泣く。言いたいことは言う。我慢なんかちっとも美しくない。思いやりなんかちっとも憧れない。「人のため」なんて言う奴の口はゲロ臭くてたまらない。恥ずかしいこと万歳。
つまんない世界のつまんない人間のつまんない自分。笑われてやれ。恥かいてやれ。そんだけで誰かが数秒笑顔になる。数秒幸せになる。他人のためじゃない。自分が生きていくため。礼も詫びも求めない。生きるにしろ死ぬにしろ本気でやれ。どっちも諦めるな。本気だって適当だって明日死ぬ。我慢したって殺したって明日死ぬ。燃やしたって首吊ったって結婚したって料理したって働いたって寝てたってサボったってぶっ壊したってどうせ明日死ぬ。脳卒中でも癌でも心筋梗塞でも自殺でも他殺でもなく、我慢すりゃ明日死ぬ。自分を大切にしなきゃ明日死ぬ。
自分に嘘ついたらもう死んでるようなもんだろ。何もかも嘘で偽物。自分だけが唯一の真実。笑うより怒る方が数億倍エネルギーがいる。愛想笑いはできても誰かのために怒るなんて嘘だ。泣くのも叫ぶのも吐くのも全部大変だ。きっといつかできなくなる。きっといつか枯れてしまうし忘れてしまう。どこかに残っていてももう自分のものではなくなってしまう。それはきっと死ぬよりも早く来る。
なんにでも意味があるし何にも意味なんかない。自分がこの世の全てだし自分なんかこの宇宙のどこにもいない。愚痴を漏らしてもため息漏らしても糞尿漏らしてもなんも残らない。本もテレビも電話も映画も音楽も、どんだけ発達しても結局退屈と孤独には勝てなかった。
全部諦めて、何一つ捨てない。矛盾に嘔吐しながら、理不尽に跪きながら、異常な健常者様たちを一人残らずぶっ殺してやりたい。
いつか、きっと今も、「私はあいつらと何も変わらない」ということに絶望している。自分が死ぬくらいなら、お前ら全員死んでしまえと思っている。お前ら全員死ぬなら地球なんか必要ないと思う。全部終わり。全部最悪。全部、全部、苦しくて、永遠。




