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不安な奴は読め。  作者: こども
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微熱と人類AI化プログラム

ある程度大人になってから、ふと思い出したかのように半年に一回、もしくは一年に一回ほど風邪を引くようになった。当方持病もなく、高校までスポーツ一筋だったことを考慮すると、毎度いささか治りが遅い。37度台前半ほどの高熱と微熱の間で最長2週間、安静を強いられる。医者に行っても効くのかわからない謎に大きい薬を4、5種類ほど出されるが、私が薬嫌いなことを考慮してもこんなものは誰も飲まないだろう。症状も大体決まった通りで、まず熱と倦怠感、口内炎。その後喉の痛み、鼻詰まりとご丁寧にフルコースが用意されている。日頃狂ったように働いているから、何もしていない時間は最初こそ至福だが、1日もすればフラストレーションに変わる。下がらない体温。おまけに体も疲れていないから、期待通りに眠れない。頭の中を駆け巡るどうでも良い妄想。思考に関して多少ADHDの傾向があるのかもしれない。もしくは、脳みそを普段に比べてはるかに使わないことによる脳の強制処理なのかもしれない。


これが一年に2回である。一年のうち1ヶ月は身体を壊していることになる。そう考えると、自分の身体は思ったよりも悲鳴をあげている可能性がある。ようやく気づけて良かった。そして自分の体に申し訳ない。この世で最も大事なのは自分の心身だ。これからはもう少し自愛しようと思う。


言語は意思を操り、意思は行動となる。悩んでも解決しない問題は書くしかない。書いても解決しない問題は、暗示のように自分に言い聞かせ、陶酔したことにも気付かぬまま通り過ぎてしまえばよい。全部駄目なら、何もかも無視してベッドで読みかけにしていた本や漫画でも読み続けるしかない。人生は短い。本当は働いている暇なんて僕たちにはないのだから。


我々の義務は労働ではない筈なのに、いざそれが果たせない状況になるとなぜこんなにも不安なのだろう。やはり思春期の過程で人類AI化プログラムが埋め込まれているようにしか思えない。兵隊のように足並みを揃えて働き、周囲と大体同じ給料を得て、同じような家を買い、所帯を持つ。教科書はない。インスタやTwitterでバズることもない内容なのに、みんなが同じ未来を歩んでいく。これが人間の生き方としての一つの正解なのだろうか。


身体を壊すと、会いたい人にも会えず、行きたい場所にも行けず、食べたいものも食べられない。その代わり労働の義務は免除される。私は会いたい人に会えれば、その他全部のクソな周辺機器は楽勝で我慢できる。優先順位圧倒的第一位は「最愛の人に会うこと」だ。それをようやく整理できた。これからは仕事はズル休みする。愛する人に会うために、最も素直でシンプルな選択肢に立ち返りたいと思う。


私はひとまず現行の風邪を治すことに最善を尽くす。一刻も早く健康体となり、深夜にこんな自慰行為をする生活とはおさらばする。生物としてもっと他にすべきことがあるのだ。


私はこの人生を「愛」に賭けてみることにする。あなたはどうするの。人類AI化プログラムに対して何をベットするの。私はいつかあなたとそんな話がしたい。そしてこのクソ風邪はさっさと消え失せろ。おやすみ。

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