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不安な奴は読め。  作者: こども
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大人は情けない。

 「大人は情けなくない」と言ったらどう思うだろうか。口を開けば綺麗事の羅列。毎日死んだ顔をして心を歪ませながら満員電車に乗っている。無駄に歳は喰っているくせに役立たずばかりで死んだ方がいい奴らばっかりのあいつらのことを、世間では「大人」と呼んでいる。


 大嫌いだった。あんな風になんてなりたくなかった。気色悪い笑みで様々な諦念を滲ませて生きていくくらいなら、それこそ死んだ方がいいと心の底から思っていた。セックスの快感のおまけとして付いてきたのが僕達子供だと思っていた。勝手に産んで、エゴと気分のままに「育てる」という耳障りのいい言葉で濁しながら子どもを侵食していく気持ち悪い奴らで、親も教師も嫌いで嫌いで仕方なかった。


 別に自分が大人になったアピールがしたいとか、大人の味方になったわけじゃない。そもそも誰の見方でもない。ただこの残酷な世界を30年40年と生きているのは簡単なことじゃない。ただ馬鹿なだけかもしれない。それでも頭ごなしに「大人は情けない」とは言えなくなってしまった。今でも嫌いな奴らは山ほどいる。どうしようもない奴らは腐る程いる。そのどうしようもない馬鹿が全員僕よりも長生きしているという現実が襲い掛かる。


 ただ捨て駒のように使われるだけの卯建の上がらない人生を生きている。ふとした時に心が暗くなるこの世界を何十年と生きている。頭の狂った「常識人」が跳梁跋扈する現代、大人は本当に情けないのかどうか分からなくなってしまった。

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