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ハイスクールフラット  作者: 砂漠化しました。
2/7

△短編:夏休みあけテスト

夏休みあけの出来事

 


 世は夏休みあけ前日!

 つまり明日は夏休みあけテストである!!!

 世の生徒達は、今日で夏休みが終わりだという事実に絶望をするとともに、明日のテストの勉強をすべく、殺気立っているのであった!!!!

 道を歩けば暴力事件!椅子に座れば殺傷事件!犬も歩けば棒に当たる!



 …いや、世紀末かよ。


 そんな馬鹿なことを考えながらペン回しをする。くるっと一回転をさせることはできるが、二回転というのはどうやってやるんだろう。くるくると何回か試行錯誤しているうちに、力が入りすぎてシャーペンが手から飛んでいってしまった。そして飛んでいった先にはさっき入れたコーヒーが!


「ああっ!」

 ポチャっと子気味いい音をたててシャーペンはコーヒーカップにホールインワン!…いや、どっちかっていうと池ポチャか?


「あーあー」

 シャーペンを池からサルベージし、水で洗い流す。慣れないことなんてするもんじゃないな。


 さて、何はともあれ勉強をしなくては。


 友達の和也(かずや)は数学が苦手で、明日のテスト死ぬって言ってたな。


「単位を犠牲に葬ったはずのsinθcosθが復活するとかマジでクソだろ」


 この言い回しにはちょっと笑ってしまったが、やってない和也が悪いのは言うまでもなかった。


 明日は数学と化学のテストがあるが、僕は理系教科は結構得意なのでそんなに慌てるようなこともない。

「…一応SUCCEED(数学のテキスト)もうちょいやっとくか…」



  ****


 そんなこんなで次の日。


 テスト当日である。なにも夏休みが明けてその日にテストをしなくてもいいと思うのだが。まあ、やれるだけのことはやったので、多分90近くはいけるだろう。


 夏休み中はちょっと夜ふかしをしてしまったので、今日は早く起きようと6時30分に目覚ましをかけたのだが、早く起きようという気持ちが大きかったのか目を覚ますと6時であり、まだ目覚ましがなる前だった。

 今二度寝すると確実に起きれなくなるだろうことは確実なので、眠たい眼をこすって起きる。

 お姉ちゃんは今日は大学が午後からの日なのかまだ起きていない。

 さてどうしたものか。勉強をしても頭が働きそうにないし。

 …ツイッターでもやるか。


 そうしてタイムラインをみてみると、こんなものを見つけた。


『カズヤ


 深夜の2時22分に好きなアニメを見ると

 その世界に入れるらしい

 02:13 』


 アホか。

 そういえばあいつ、今日は徹夜で勉強するとか言ってたな。

「SUCCEEDせずにsucceed(成功)したい!」

 と、まるでとんちのようなことを言っていたが、そのテキストから問題が出るので、それをやるのが、結局一番効率がいい。


 ちゃんとやったのかな?


 そんな心配と、どうせやっていないのだろうという呆れを2:8の黄金比で混ぜ合わせながら、すすっとタイムラインをスライドしていくと、こんなのも見つけた。


『カズヤ


 うわっほーい!

 入れたー入れたー!紗凪あ!

 紗凪ああああああ!!!

 いやああああああああああ!

 あははははははははははははははは

 いやっほーーー!!!

 あははははははははうふふふふふふふ

 ふひーはははははははははははは!!

 うおーーー!!ははははははあははははは

 2:22 』


「ぶふっ!」

 思わず笑ってしまった。


 そっか…和也。よかったな…。遂に入れたんだな…。



 テスト勉強していないのは火を見るよりも明らかだった。

 ****

 7時10分そろそろ家を出ようかと思っていると、スマホが鳴った。


 ブブッ


 どうやら和也からRINEが来たようだ。

 どうしたのだろう。アニメの世界から抜け出せなくなってしまったのかな?

 開いてみると…


『お腹痛い』


 やっぱアホだったか。

「アニメなんか、見てるからだ、ろっ、と」

 そう返信をする。

 ブブッ

 返信はすぐに来た。


『馬鹿野郎!SUCCEEDなんてアニメみながらじゃなきゃやってられっか!』


 馬鹿はお前だ。

 スマホと呆れをポケットに押し込むと、僕は自転車にまたがった。



  ****


 学校に着くと、具合悪そうな和也が居た。

 真っ白な灰になるとは、ああいうことを言うのだろうか。

 机に突っ伏してるのでそっとしとくことにした。

 …生きてる、よな…?


 キーンコーンカーンコーン♪


「はい、始め!」


 チャイムとともにテストが始まる。

 おお!解ける!解けるぞ!頭に手が追いつかねえ!

 ばっちり教材をやり込んできたおかげかさくさくと問題が解ける。調子いいな。


 僕のようにスラスラと解けるものや、一問目から悩み出す者などがでてくるなか、教室にはカツカツとシャーペンが走る音やグシグシと消しゴムで消す音だけが響く。

 しかし、そんな静寂をうち破ったものがいた!

 僕の前の席に座っていた青年が、このクソッタレた世界への宣戦布告とばかりにぴしっと手をあげる。

 そして、言った。



「先生、お腹痛いです」


 開始5分、そう言って和也は早退して行った。

 さらば和也。ありがとう和也。


 ゴホゴホゴホ!

 その後笑いを堪えるのに大変だったのは言うまでもない。


  ****

 ちなみに後日談であるが、和也には17点の数学のテストが帰ってきた。

「ラッキーセブン!」

 そう言って和也は自慢してきたが、なんも羨ましくない。

「5分で17点だったんだから、理論上は50分受けてたら170点とれてた」

「アホか」


 何度目かわからない和也への評価を、今度は声に出して言う。


 そんな訳で、今日もわが校は平和である。

はたして、主人公の名前は何話目に出てくるのでしょうか…!

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