6話 会合
冬の52日夜
コンコン
「ユキ、話がある」
「お父様どうぞ、お入り下さい」
お父様だけかと思ったら、アルムさんとオーアさんも一緒か。
何の話するんだ?
「ユキ、学園の入学届けを持って来た。お前は明日これを持って、学園に行け」
「はい。ありがとうございます」
「そして、入学までアルムとオーアに、少し稽古を付けて貰いなさい」
「えっ、いいんですか?」
ラッキー。こんなに早く鍛練出来るとは思わなかったぜーー!
「ですが、僕がここに居るとまずいのでは?」
「大丈夫だ。明日からお前はユキ・ガルアではなく、只のユキなのだから。城にいるのは、将来有望な人材を少しでも早く育成する為だとでも、言って置けばいい。学園には特例の人材が来たら、連絡するように毎年言っているし、何も問題ないよ」
「では、入学まではここで稽古していいんですね」
「あぁ、構わないよ」
よっしゃー!マジでラッキーだぜ。
やっと体動かせるー!
「では、アルム、オーア後の説明は任せたよ」
『ハッ』
お父様帰んのか。
まぁ、こっからはアルムさんとオーアさんとお話って感じか。
「っていうわけで、ユキ様明日からは私とオーアがしっかりと稽古付けさせて頂きます」
「私達も人に教えるのは、初めてになりますので、至らない点があるかもしれませんが、宜しくお願いします」
「お二人とも、本当に敬語は結構ですよ。それにお父様も言っていたように、明日からは只のユキですので」
「まったく、ユキ様にはかなわないなぁー。良いって言うのならそうしますけど」
「ユキ様ではなくユキと」
「ハイハイ。ではユキ、明日は剣術ではなく魔法の稽古からするんで、オーア頼むわ」
「ユキ様が良いのならいいんですけど。アルム少しは躊躇ったどうなの?」
「ユキが良いってんだから、いいんじゃねぇー」
「はい。構いませんよ。オーアさんも様は要りませんから」
「はぁー。分かりました。では、ユキ明日はまず魔法についての勉強から初めます」
「はい」
「勉強が終わったら、オレと体力付けの走り込みな」
「はい。それはいいんですけど、僕は明日どうやって城から出るんですか?
入学届け出しに行かなければいけませんよね?」
「あー、それはなぁー。明日騎士団の演習で、草原に行くんだが、その時に出る荷馬車に隠れて貰う。学園の近くを通るから、合図があったら降りてくれ」
「分かりました。それで入学届けを出したら、迎えが来てまた城って感じですね」
「そういうことだ。オーア他に何か言うことあったけ?」
「いえ、特には無かったはずよ」
「じゃあ、今日は早く寝なよ。オレ達も帰るから」
「ええ、ありがとうございます」
「では、失礼します」
明日の魔法の勉強って、どんなんだろう?
楽しみ過ぎる。やっと転生した甲斐が出てきたな。