5話 第一師団隊長
誕生日の次の日の夜
さてと、さっさとお父様に報告するか。
それにしても、いくら存在を隠してるからって、夜以外部屋から出れないのは止めて欲しい。ガキだからか、この時間眠いんだよなぁー。
コンコン
「お父様、ユキです」
「あぁ、入っておいで」
はぁー、お父様もお母様も昨日と同じように、仲良くベッドに座っていらっしゃる。オレも絶対あんな美人と結婚してやる。
「やぁ、ユキ今日も元気そうで何よりだよ」
「ありがとうございます。それよりお父様、僕のスキル何だったと思いますか?」
「あぁ、そうだったな。うーん。ユキは頭が良いから算術系統かな?」
「いえ、無詠唱でした」
「!!」
「無詠唱って、、、ユキ、魔法系統の最高レベルのスキルですよ。本当なんですか」
「はい。お母様間違いなく、無詠唱のスキルです」
「ユキそれは本当かい?」
「はい。ですから、本当だと言っているじゃないですか」
「ユキ、それはこの国では、過去に一人しか授かっていないスキルだ」
「それは誰ですか」
へぇー、オレより前にも居たんだー、無詠唱持ち。
「それは、、、初代ガルア王国国王、シン・ガルア、私達の祖先だよ」
なるほど、本で読んだ事があったけど、初代国王かぁー。確か、今の王国の土地にあった小国群をまとめて、ガルア王国を建国したっていう人か。
「そうなんですね。初代国王様と同じスキルを授かったなんて、とても光栄でさす」
「ユキ、お前の師団育成学園の入学を許可しよう」
「ありがとうございます。お父様」
「では、ユキ、お前に紹介しておかなければならん者たちがいる。二人とも少し待っていてくれ」
「分かりました」
お父様出て行っちゃったけど、誰を紹介するつもりなんだ?者たちって言ってたけど、何人連れて来るんだよ。
「ユキ」
「はい。お母様どうされました?」
「学園はとても厳しいところです。普通は戦闘系のスキルを持っていても、五歳で入学する人はいません。周りは皆年上ばかりですが、年上の方の言う事は聞かなければいけませんよ」
「はい。分かっています」
「あと、もしイジメられたら直ぐに帰って来て大丈夫ですからね」
「安心して下さい。お母様少し心配し過ぎですよ」
「ユキ、あなたも子供が出来たら分かります。親というのは、自分よりも子供の事が心配になるものです」
「はぁー?そういう物なのですかね?」
「そうですよ!
あと、もしも可愛い女の子に言い寄られても、あまり付いて行ってはダメですよ」
「どうしてですか?」
いいじゃん!可愛い子と一緒にご飯食べたり、お茶したり。
うん。考えてるだけで、幸せだな!
「あなたは、無詠唱のスキルを授かったのですから、王族じゃなくても、将来は師団の隊長クラスにはなる可能性が高いのですから。女というのは、強かにそういう事も考えているものです」
女怖ぇー。
マジで気を付けよ。
「まぁー、本当にそんな事あるのなら、私が王族の権限で消し飛ばしますけどね♪」
お母様怖ぇー!
この人は怒らせちゃならない人だ。
今にも笑顔の裏で般若面が見えそうだ。
「ありがとうございます。お母様」
ここは爽やかに笑顔で流そう。
ちゃんと笑えてるか不安だけど。
コンコン
「入るぞ」
おっ、お父様帰って来たな。
一体誰を連れて来たんだろ。
「悪いな。待たせてしまった」
「いえ、お父様お気になさらず。お母様とお話していましたので」
「ほぉー、何を話ていたんだい?」
「内緒ですよ。ねぇー、ユキ」
「はい。内緒です」
「おいおい、私だけ仲間外れかい?
まぁ、そんな事より、二人とも早く入りなさい」
『はい。失礼します』
ふーん。呼んできたの二人だけなんだ。
もっと多いと思ってたんだけどな。
「ユキ、自己紹介しなさい」
「はい。ユキ・ガルアです。宜しくお願いします」
「ユキ、この二人は第一騎士団、第一魔法師団の隊長たちだ」
「ハッ、お先にご紹介に預りました。
第一騎士団隊長、アルムでございます」
ヒュー、二十代前半の金髪爽やか系イケメン出たー。
しかも若いのに、第一騎士団隊長、これはモテますわ。
「同じく、第一魔法師団隊長、オーアでございます」
アー、こっちは銀髪ショートのスレンダー美人かぁー。
年齢もアルムと同じぐらいだし、師団はみんな美男美女が揃ってるのか?
この二人絶対付き合ってる感じだろ。
「この二人には、来季より学園で教鞭を取って貰う。二人とも良いか?」
『ハッ、王の言葉とあらば』
「そしてもう一つ、二人はユキの護衛もして貰う」
「お父様。護衛なんて要りません。その為に学園に通うのですから」
「それは出来ない。それがイヤだというのなら、学園へは通わすことは出来ない。ユキ、お前が力を付ける前に、暗殺を仕掛けられたら、どうするつもりだ」
「そんなに直ぐ、正体がバレるものですか?」
「バレ無かったとしても、学園では有能な者が突如消える事がある。私達は他国の仕業だと調査しているが、まだ犯人は分かっていない」
「王よ。ご安心して下さい。私とオーアがユキ様を守り、事件の犯人も捕まえてみせます」
「もちろんです。師団の名に懸け必ずや」
マジかー。夜中に隠れて鍛練したり、友達と遊びに行ったりが、出来なくなるじゃないか!!
「お二人とも、ありがとうございます。アルムさん、オーアさん、二人とも僕の為に時間を割いて下り、ありがとうございます」
「ユキ様それは、私達には勿体ないお言葉でございます」
「私達はユキ様に安全な学園生活をして頂けるよう。尽力します」
「本当に感謝しています。あと敬語は止めて頂けないでしょうか?僕は余り慣れていなくて、出来れば僕もお二人の事は兄や姉のように、接していければ思っているんですけど」
これから毎日こんな堅苦しい、会話なんてやってられるか。
どうせなら、仲良くやりたいもんだよ。
「えっ、マジで!
いや~オレこんな堅苦しい挨拶苦手でさぁー」
「コラ、アルムいいって言われても、直ぐに態度崩すバカがあるか」
「オーアさん、大丈夫ですよ。オーアさんもアルムさんぐらい気軽にして下さい」
「すいません。私達冒険者出身で、余り敬語使ったりするのに、慣れていなくて。でも本当に宜しいのですか」
へぇー、冒険者出身なのか、今度いろいろ話聞きたいな。
「はい。大丈夫です!
では、これからお願いしますね」
さて
この世界の一年は400日で、春夏秋冬100日ずつ、オレは冬の50日の生まれ、学園の入学届けは冬の75日までだから、まだ間に合うし。入学が春の1日、後49日でやっと鍛練出来るのかぁー。
学園で三年で、女神がオレの十五歳ぐらいまで、侵攻はないって言ってたから、そっから七年ぐらいは、オレも冒険者してみようかな?
とりあえず、城の外、初めての異世界の町楽しみだぁー。