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空から強襲をかけてきたのは巨大な鳥のモンスターと翼の生えた人型のモンスターだ。
人型より鳥型のモンスターの方がスピードが速いらしく、みるみる内にその姿が大きくなってくる。
「デスホークとガーゴイルが来やがった……」
新手に眉をしかめるジャックさん。
ジャックさんの視線から判断するに、鳥型のモンスターがデスホーク、人型のモンスターがガーゴイルなんだろう。
「ちくしょう……、さっきまで見えなかったのになんで急に……」
ジョンさんが言う通り、さっきまで空を飛ぶ個体なんていなかった。
他のモンスターと一緒に地上を歩いていたのだろうか。
だがそれなら爆発に巻き込まれているはず……。
視界に入らないほど上空にいたってことなのだろうか。
「とにかく構えろ! 迎え撃つぞ!」
ジェイソンさんの喝が飛ぶ。
(くっ、向こうの方が早い!)
が、こちらへ襲い掛かろうとしている相手が僕達の準備が整う間を待ってくれるはずもなく、凄まじい速度でデスホークの群れが迫る。
デスホークが巨大で鋭い足の爪をこちらに向けて降下してくる。
間に合わない――と思った瞬間、デスホークの群れが眼前で真っ二つに割れる。
そして、二つに割れたデスホークの残骸が地に着くより早く一つの人影が颯爽と着地する。
「シュタッ! グッ!」
それは力強く親指を立ててサムズアップするコロだった。
そんな勇ましい姿を見せるコロの手にはシオハルコンの剣が握られており、黄金の輝きを放つ長大な魔力刃が存在感を示していた。
「なんだあの子は……。デスホークを一瞬で倒しやがった……」
「やばいぞ! ガーゴイルが来やがる!」
驚くジェイソンさんにジェームズさんが次の危険を告げる。
――次の瞬間。
「せいっ!」
どこか凛々しい声とともに現れた人影がガーゴイルを数匹仕留める。
「だが、まだ残ってる……」
苦渋の表情を見せるジャックさん。
ジャックさんは僕をかばおうと盾を構えながら前に出た。
「ブリザードジャベリンッ!!」
――そんなジャックさんの側面を空を斬る音が通り過ぎる。
魔法名を叫ぶ声とともに無数の氷の槍が現れ、残っていたモンスターをことごとく串刺にした。
たった数秒の間にあれだけの数が全滅してしまう。
そんなガーゴイルの死体が落下していく中、二つの人影がこちらへ手を挙げて合図を送っていた。
その二人はリリアンナとエイリーンだった。
二人はこちらへ微笑みかけつつ手を振る。
黒くすすけた大地に広がるデスホークとガーゴイルの死体の間を縫って三人がこちらへ走ってくるのが見えた。
「みんななんで来たの!」
僕は驚きのあまり、叫んでしまう。
「助けにきましたわん」
「パーティなのですから当然です」
「結果として助かったでしょ〜」
三人共僕の目をしっかりと見てそれぞれに自身の気持を告げる。
僕を見つめる皆の目には強い意志が感じとれた。
これは僕がいくら帰れといっても退かないだろう。
「とにかく話は後にして逃げよう!」
色々と話したいこともあるが今は一刻も早く、この場から離れるべきだろう。
「お嬢ちゃん達助かったぜっ! ヘヘッ、やったぞっ! 移動するぞ!」
と、ジョンさんから喜びの声が上がったのも束の間――。
――ブルオオオオオオオオンッッ!
大地を揺るがすような咆哮が木霊する。
振り向けばギガジャイアントがこちらへ向けて拳を振るっているのが見えた。
「ギガジャイアントが……。クソッ!」
一瞬放心状態になるもすぐに復帰し、一番前に出て盾を構えるジェイソンさん。
ギガジャイアントの拳は容赦なく僕達へと迫る。
「くっ、間に合え!」
僕は素早く剣を抜き、超剣術でギガジャイアントの拳を跳ね飛ばした。
が、跳ね飛ばせたのは拳だけだった。
ギガジャイアントは拳を失ってもこちらへ迫るのを止めなかった。
巨大なギガジャイアントからすれば軽く一歩踏み出しただけだったのかもしれないがその大きな足がこちらへと急接近したのだ。
「グアッ!」
とっさにジェイソンさんが盾で防ぐもそのまま吹き飛ばされてしまう。
「あぶねえっ!」
「クソッ」
「お前たちだけでも逃げろ!」
さらに立ち尽くしていたコロ達を助けようと体当たりで突き飛ばしたジェームズさん、ジャックさん、ジョンさんもギガジャイアントの足に接触し吹き飛ばされてしまう。
コロ達はジェームズさん達に庇ってもらえたので傷は負っていなかったが突き飛ばされたせいで倒れてしまった。
「みんなっ!」
僕は超剣術を放って開いてしまった間合いを詰めようと慌てて皆がいる方へ引き返す。
が、拳を撥ねたせいでギガジャイアントがつまずく様にして短く次の一歩を踏み出そうとしてしまう。
これは間に合わない、そう思った瞬間――
「はああああああッッ!」
どこからともなく現れた光の剣がギガジャイアントの首を切断した。
絶命したギガジャイアントはバランスを失い、コロ達がうずくまる場所とは反対方向へ倒れる。
「き、君は」
「討ち取ったりいぃッ! 見たか英雄の子孫の力を!」
そこにはギガジャイアントの死体の上に立ち、光のエネルギーが集まったかのような剣を天高く掲げるクレアさんの姿があった。光剣に柄はなく、まるで手から光が放出されているかのようだった。
なんとクレアさんはギガジャイアントを一撃で倒してしまったのだ。




