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 その後、武器屋の用事を何とか片付けた僕は皆と宿で食事をとり就寝するのだった。


 …………


 そして翌朝、ドアがノックされる音で目が覚める。



「は〜い。あ、ギンギンさん」


 扉を開けるとそこにはギンギンさんがいた。



「おっと、これはお邪魔だったかな」


 ギンギンさんは対面する僕の脇の下から部屋の中を覗きこんでベッドが連結して全員で眠っている様を見て驚き、気を使ってそんなことを言ってくる。



「え? いえいえ! そ、そういうんじゃないんで!」

 何か良からぬことを想像されてしまったと感じた僕は必死で弁解する。


「いや……、だが、これはどう見ても……」

 が、ギンギンさんが僕の言葉を信じてくれる可能性は低かった。


 ギンギンさんは表情から“昨夜はお楽しみでしたね”という言葉が読み取れるほど訳知り顔でニヤッとしているのだ。



「ふ、普通です! 普通に四人で寝ていただけです!」


「そ、そうか。わしは男として色々経験してこの歳になったわけじゃし、その辺に関しては理解がある方じゃよ?」


 僕の言葉を聞いても“そんなに必死に言い訳しなくてもいいんじゃよ?”って表情で優しく肩を叩いてくるギンギンさん。これは……信じてもらえそうにないな。



「だから違いますって! それで今日は何かあったんですか?」

 僕は否定することを少し諦めつつ、訪ねてきた用件を聞いた。


「うむ。これをどうかと思ってな」

 ギンギンさんは懐から紙を数枚取り出し、僕へと渡してくる。



「宿泊券?」


 受け取った紙はどうやら宿の宿泊券のようだった。


「町から少し離れたところにある旅館の券じゃよ。そこには温泉があって疲労回復などにはもってこいの場所なんじゃ」

 どうやら温泉旅館の宿泊券らしい。


「いいんですか?」

「まあ、迷惑をかけてしまったしのう。大きな怪我はなかったそうじゃが少しゆっくりして養生してきてはどうじゃ?」


 この宿泊券はギンギンさんからのお詫びの印ということなんだろう。


「ありがとうございます。じゃあ、行ってみようかな」


 ここまでされると恐縮してしまうが返してしまえば角が立つと考えた僕は素直に受け取ることにする。こういうのは目一杯楽しんできて笑顔でお礼を言うのが相手にも喜んで貰えるはずだ。



「うむ、そうしなさい。気晴らしにもなるじゃろうて。それじゃあ失礼するぞい」

 ギンギンさんは僕が宿泊券を受け取ったことに満足気な表情を見せると帰っていった。


「ありがとうございました」

 僕はそんなギンギンさんに再度お礼を言って見送った。



「どうしたのですか?」

 僕が話していたのを聞いて目が覚めたのかリリアンナが側に寄って聞いてくる。


「うん、ギンギンさんが来てこの間のお詫びにって旅館の宿泊券をくれたんだ」


「ってこれは秋月庵の券ではないですか!?」

 僕が説明しながら見せた宿泊券を見て固まるリリアンナ。


「え、有名なところなの?」

 そこまで考えずに受け取ってしまったがもしかしてすごい高いところだったのだろうか。


「……VIP御用達のすごいところだよ。大きな露天風呂が有名だね」

 最近いつもほんのりと頬が赤いエイリーンがぽつぽつと説明してくれる。


「お風呂ですわん?」

 コロも宿泊券を覗き込んでくる。

 どうやらみんな起きたみたいだ。


「へぇ〜、じゃあ早速行ってみる?」


 高いからといって今さら返すのも悪いし、受け取ってしまったからには使ってしまうべきだろう。それに丁度ダンジョン攻略の報酬ももらって懐も暖かいし休暇を取るには丁度良いタイミングではないのだろうか。


「い、いいのですか!?」

 目を輝かせるリリアンナ。


「大丈夫、ちゃんと四人分あるよ」


 僕は宿泊券を広げてみせる。

 ギンギンさんはちゃんと気を利かせて四人分の券を用意してくれていたのだ。



「一生縁がないところだと思ってたよ」

「楽しみですわん!」


 エイリーンとコロも笑顔を見せる。


「じゃあ、支度を終えたら出発しようか」

 特に予定もなかったし今から向かえば旅館には余裕で今日中に到着できるだろう。


「「「おー!」」」

 予想外のイベントに大喜びの三人。


 が、そこで僕はあることを思い出し、扉へ向かって駆け出した。


「あ、ちょっとだけ用事があるからみんなは出発の準備をしててくれるかな。すぐ戻るよ」


 と、僕は慌てて部屋を飛び出した。


(剣の事を忘れてた! もう完成しているのかだけでも確認しておいた方がいいよね)


 そう、昨日依頼した剣の事を忘れていたのだ。

 ローザさんの形相を思い出し、待たせるのは得策ではないと判断した僕は急いで武器屋へと向かうのだった。


 …………


「おはようございます。ソルトです」

 武器屋へ到着した僕は扉を開けながら挨拶する。


「……ぉ〜。来やがったな……」

 するとローザさんがちょっとしぼんだ声で出迎えてくれた。


「だ、大丈夫ですか?」

「問題ねえ。それよりこれだ。これを見ろ!」

 と、ローザさんが突き出した手には白く輝く剣が握られていた。



「すごい……。綺麗だ……」


 僕は突き出された剣の輝きに吸い込まれるように見入ってしまう。






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