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「生活魔法使用禁止!」



「ええっ!?」



「本来の仕様用途である家事に使えないでしょ? 戦闘でなら使えないこともないけど使った直後にふらついていたらモンスターに隙を突かれるよ〜?」


「おっしゃる通りです……」

「まあ、でも使えるようになる可能性はまだ残ってるよ〜」


「ほんとですか!?」

「あ、うん。ほら魔力制御ってスキルがあったでしょ?」


「う〜ん、そういえばあったような、なかったような」

「本来は魔力制御の能力を向上させて消費魔力を軽減するスキルなんだけど、あれを使えば強弱の調節もできるようになるかもね」


「なるほど……」


「でも、スキルを取っても本当にできるか分からないからね? 最悪スキルポイントが無駄になるからお勧めはしないよ〜。それよりはしばらく練習してみる方がいいかもね」

「むむ〜」

 僕が腕組みして悩む中、コロが大喜びでこちらへと近付いてくる。



「できましたわんっ!」


 どうやら魔力を感じ取る事に成功したようだ。


「ん、でコロちゃんは何の魔法を取ったのかな?」

「初級回復魔法ですわん」


「なるほど、じゃあコレ持って〜」

「ナイフですわん?」


 コロの返事を聞いたエイリーンさんは小振りなナイフを取り出した。

 それをコロへと手渡す。


 受け取ったコロは魔法の練習とナイフが結びつかず首を傾げていた。



「そう、それで軽く指を切って自分で治す練習をするよ」

「わふっ……」


 練習内容を聞いてびくっと身構えるコロ。

 痛いのを想像しちゃったのかな。


「別に血が出るほど深く切らなくていいよ。軽く表面の皮膚を裂く感じでいいからね〜」

「いたたっ、切りましたわん」

 早速エイリーンさんの指示に従って軽く指を切るコロ。



「じゃあ、さっきお腹の下で感じた魔力を切っていない方の掌に移動させてヒールと唱えてみてね〜」

「むむ〜っ、来ましたわん!」


「そうそう、じゃあ後は傷口に掌をかざしてヒールって唱えるだけだよ〜」

「ヒール!」


 エイリーンさんの説明通りに事を進めていくコロ。

 そして最後に難しい顔をしながら掌をかざして魔法名を唱えると掌が淡く輝く。

 それと同時に傷がすぅっと塞がっていった。


「ん、上出来! 免許皆伝!」

 サムズアップして笑顔を返すエイリーンさん。


「ええ〜……」

 あまりにもあっさりと事が済んでしまい、どうにも納得のいかない僕。

 コロはそんな僕とは対照的に耳と尻尾をブンブン振りながら目を輝かせていた。


「やったぁ!」

 ぴょんぴょん跳ねながら大喜びのコロ。

 そんな嬉しそうなコロを見ていると僕もほっこりしてしまう。



「後は同じ要領でキュアって唱えれば解毒魔法になるよ。初級魔法に関してはマニュアルに詳しく載っているから後はそれを確認してね。と、いうことでコロちゃんの講習はこれにて終了です」


「ありがとうございましたっ!」


 エイリーンさんの宣言に深々と頭を下げるコロ。

 どうやらコロの魔法講習は無事終了したようだ。



 後は僕の方なのだが……。


「エイリーンさん、僕は……」


「ん〜、君はしばらく通いなさ〜い。早朝なら訓練所も空きがあるから威力を調節できるか練習してみて」

「わかりました」


 どうやら僕の方はしばらく練習して魔力の調節ができるようになるか様子を見ることになりそうだった。



「で、駄目そうなら使用禁止!」



「ええ〜……」


「危ないでしょ!」

「ですよね」


「まあ、気を落とさない〜。ここでその事実がわかっただけでも良かったじゃない。知らずに薪に着火魔法とか使ってたら大惨事だよ〜?」

「そうですよね……」


 エイリーンさんの言う事も確かだったが折角覚えた魔法が使用禁止になってしまうのはショックだ。なんとか練習でうまくいくといいのだが……。



 僕は落ち込んだ気分をなんとかしようと指先から塩を出してペロリと舐めてみる。すると、今まで悩んでいた魔法の事なんかどうでもよくなってきた。


 魔法が使えようが使えまいが何とかなるだろうと完全に気持ちを切り離せてしまい、とてもちっぽけな事に思えてきたのだ。

 僕はふぅっと軽く息を吐き、塩の実力を実感する。


「じゃあ今日はお開きにするよ。さあ、帰った帰った〜」

 エイリーンさんは手を叩いて合図しながら訓練所の出入り口まで移動していく。


「あ、ここって木剣とか置いてありますけど魔法以外の練習もできるんですか?」


 ふと思い出した僕はエイリーンさんの背に向けて質問する。

 もし魔法以外の練習でも使えるようならここで剣術スキルの練習もしておきたいと思ったためだ。



「ん、できるよ〜。場所を借りるのと、講師をお願いするのにそれぞれお金が必要だけどね」

「なるほど、講師なしで場所だけ借りることもできるんですね」


「うむ。あ、さっき早朝においでっていたのは無料だからね? 営業時間外だから私が見ててあげる〜」

「ありがとうございます。それもあるんですがお昼から他のスキルも試してみたいと思っていたのでこの場所使えないかなと思って」


「ああ〜、そういうことね。いいよ、お金払えるならとっておいてあげる〜」

「じゃあお願いします」


 エイリーンさんの話ではスキル練習に使っても問題無さそうだったので早速予約をとってもらうことにする。



「講師はいいんだね?」

「はい、僕もコロも剣術スキルを取っただけなのでお互いに模擬戦でもしてみようかと思います」


「ん、一杯スキルを取ったんじゃないならその方がいいかもね〜。スキルを使ってみてわからないことがあれば改めて講師を雇うことをお勧めするよ」

「そうですね。まだ使った事がないのでまずは試してみたいんです」


「了解、じゃあ一旦受付に戻ろうか。予約手続きも済ませちゃおう〜」

「あ、そういえば今回の料金はどうなるんですか?」


「魔法だけは初回無料だよ。外で勝手に練習されると危ないからね。二回目からは他の講師と同額の料金がかかるから気をつけてね〜」


「確かに……、僕みたいに大爆発する人もいるかもしれないですもんね」

 どうやら魔法の講習だけは初回無料らしい。僕みたいに暴発する可能性もあるしその方が事故も少ないだろう。



「……あれはない」


 が、エイリーンさんに真顔で否定されてしまう。



「ええ〜……」


 釈然としない僕はその場に立ちつくしてしまった。






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