プロローグその5
テストイクルミはカブラタと別れた後、自宅に戻り、自室にベッドに横たわっていた。
「どうしよっかねー、どうもこうもないんだけど」
三年生の夏、つまり部活引退まで、クイズをやると考えたとき一年と三ヶ月しかないという事実は変えようがなかった。大学でクイズを続ける可能性はあったが三年生は皆、受験勉強といった進路実現に向けて、フェードアウトするため、一旦の区切りとなる
そして、三年生になると模試の回数が増え、その勉強のために時間を割かなければならない。
「おもいっきりできるのは今年だけだよなー」
一年生のときには「初心者なんだから負けて当たり前」そう思っていた。
それでも、きちんとクイズには真摯に取り組んだ
−−もしかしたら、勝てるかもしれないそう信じて
でも、イクルミは不安な部分がひとつあった
苦手ジャンルがあるとか、名前が覚えられないとか他の不安要素もあったがイクルミが一番気にしていたのは「大事な部分で負けていること」であった
重要な場面で誤答で失格、また相手に正解されて勝ち抜けされるといった苦い思いが人より多く経験してると自負していた
イクルミは今日のことを思い出していた
「−−勝つ確率が高い方をやれば、いいんじゃね。負けたら一緒やからな。リスク考えて、自分のプレイスタイル決めりゃいい」
カブラタは安定して大会では上位にいる。堅実なクイズをすることもあって誤答が少ないプレイングをしていた。
「結局、勝つのはその時に『持ってるやつ』だから、なにされようが勝ったやつが偉い。戦略としてある以上を間違ってはないからな、勘押しだって立派な戦略だろ、批判あるかもしれないけど、負けたら終わりなんだから」
『負けたら終わり』その言葉がイクルミの頭の中でずっとこだましていた
「強いやつが勝つんじゃない、勝ったやつがつよいんだ」
イクルミは他の人よりも実力がないのは、わかっていた。そうなると頼るのは「運」しかなかった。
不確実なものに頼るのは釈然としないが勝つにはこれしかなかった
「やっぱり、勘押ししないと俺はたぶん勝てないよなぁ」
正々堂々とやって勝てるならその方がいい、だが
「相手に正解されるより、自滅した方がマシかな?」
イクルミは自問自答しながら就寝することにした
次から一章入ります、やっとだよ