第一章十話「勘押しじゃないです、誤爆です」
とにもかくにも早く勝ち抜けしたい。イクルミは落ち着かなかった。
自分を含めマロニー先輩、ウンモがリーチ、枠はあと二つ、誤答すれば、「はい、さようなら」という状況、厳しい
マロニー先輩、ウンモは少なくともまだ誤答できた。×を使って、問題を潰しにきたらこちらは対抗出来ない。
(…さて、どうしたもんか)
そんなこと考えてると
「問題、aというがっこうとbとい/う」
集中する前に問い読みがなされてしまった
「ファッ!?」
イクルミは思わず、変な声を出してしまった
「押したのは…ウンモ!」
「ェエービィーサンゴォ!」
ピンポンピンポンピンポーン
「やったぜ!」
跳ねまくって喜んでいるウンモ
「…という書き出しではじまる、第148回芥川龍之介賞を受賞した黒田夏子の小説は何でしょう?正解は『abさんご』でした。という訳でキララが二抜けでーす」
「あざっす!」
小走りして席につき、キタマクラとハイタッチしてた
「やっべぇぞ!これは」
変な口調になるイクルミ
「あと、残り一人を決めましょう」
一瞬で静まりかえる
「現在リーチはマロニーとイクルミの二人、残りの人も頑張って」
(…こうなりゃ、一か八か勝負押しや)
「きゅうにゅうする/と…」
ボタンが点いた、いや、点いてしまった
「はい、イクルミ」
(まじで、やっべぇぞな状況で押しちまった)
「5」
(きゅうにゅうは吸入か?)
「4」
(吸入…シンナーなわけがない)
「3」
(吸うもの…空気か…)
「2」
(じゃあ、これぐらいしか思いうかばん)
「1」
(ええぃどうにでもなれ)
「ヘリウム!」
ブーッ
「ぷぎゃぁー」
イクルミ、撃沈
「吸入すると、声が低くなる気体、クリプトンでした。これにより誤答二回目となり失格になります」
結局、マロニー先輩が3抜けを決めた