18.明るい校長
「着きました。ここが《王立イース学校》です。」
目の前には白を基調とした、地球にもあったようなごく普通の学校が建っていた。
「表向きの裏口入学の試験はどこでしてるんだ?」
「まず、学校に入って下さい。」
言われた通り、学校の門をくぐると赤いランプが光りだし、警報が鳴り響いた。
『侵入者です。侵入者です。全生徒は直ちにこれを撃退してください。殺してしまっても構いません。繰り返します。繰り返します。……』
「すると警報が鳴るので急いで校長室に行って、入学試験のお願いをして下さい。」
「はぁーーーッ!!!」
警報を聞いた生徒らが、襲いかかってきた。数は見る限り、100を超えてるだろう。
「クソッ!逃げるしかないか!ヒナ、校長室はどっちだ!」
「こちらです。ついてきてください。」
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なんとか校舎内に入り、校長室を目指して、細長い廊下を走っている途中正面から3人敵が来た。
「朝也くん。」
「分かってるよ!戦うしかないんだろ!」
今まで戦闘を避けてきたがやるしかないのか、改造したと言ってもエアガンじゃ正直怖いんだよ。絶対ダメージゼロだろ。
「クソッ!当たれ!」
一番前にいた敵に3発撃つ、その内1発が腹にヒットする。
「な…!ヒナ…、当たった敵が吹っ飛んだんだけど…。」
ヒットした敵が1m程吹っ飛び、気絶した。
「だから改造したと何回言わせるんですか。バカなんですか、バカなんですね。」
「あぁ。おれはバカだったよ、自称神が改造したんだったな!」
続いて4発撃つ。2発は外れたが、見事敵を倒すことが出来た。
「死んで…ないよな……。」
「はい。死なない程度の威力です。」
「ギリギリワンマガジンで倒せたな…。」
「《ガバメント》はワンマガジン7発ですからね。それより朝也くん、さっき……」
「ヒナ、校長室の案内頼む!」
ヒナの話を遮り、校長室の場所を聞く。
早く逃げ切りたいし。
「………分かりました……。」
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「ここです。ここが校長室です。」
数回の戦闘の後、ヒナに告げられた。
「そうらしいな。」
地球の学校にもあったような札が壁に付いているからな。
扉をノックすると、中から渋いおじさんの声が聞こえてきた。
「どうぞ。」
「失礼しまーす。試験を受けに来たんですけど…。」
「君が侵入者か、ここまで来たのは君が始めてだよ。」
中にはスーツを着ており、その上からでも分かる程の筋肉がついた40代くらいの厳ついおじさんがいた。
「死人も出た事があるこの試験なのによく挑む気になったね君は。ところでどうして、目を合わせてくれないんだね。」
「いや……そのー……。」
そのおじさん…カッコいい、そう渋カッコいいのだ。だが…、眩しい…そう!眩しい!そっち見ると目が眩しいだよ!そんな綺麗なスキンヘッド見た事ないぞ!太陽拳かよ!
なんて言える事もなく。
「そ、それより試験を…、」
「そうだったね。付いてきたまえ。」
だから、眩しい。
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グラウンドに連れて行かれると、そこには多くの見物客がいた。その真ん中には直径25m程の円形空間が空いていた。柵などはなく、見物客によって作られていた。
「ここがフィールドだ。準備したまえ。えーと、君の名前はなんだったかな。」
「平野朝也です。」
ここの名前の形式は分からないが、とりあえず地球での名前でこたえてみた。
「そうか。私が校長で教官の箕面 剛だ。よろしく頼む。」
どうやら名前は日本と同じ形式のようだ。
てか……、
「あなたが教官ってことは…、」
「そう。私を倒せたら無事入学だ。」
マジかよ。こんな渋カッコいい厳ついスキンヘッドおじさん勝てるわけないだろ!
助けを求め、ヒナを見ると、
「頑張って下さい。あなたなら合格しますよ。」
と、エールを贈られた。
やるしかないか…。
「その小さな子は参戦するのかね。私は二人相手でも構わんが。」
「いえ。私は朝也くんに付いて行くだけですので。死にそうになっても手出しはしません。」
「さすがに死にそうになったら……、」
「ハッハッハッ!面白い。では、私と朝也くんのタイマンということだな。では、始めるか朝也くん。」
さすがに死にそうになったらヒナも助けてくれるだろう。……助けてくれるよね。さっきの冗談だよね。
「では、試合開始だ!」
箕面校長の掛け声で、表向きの裏口入学の試験が始まった。