17.初めに木を狩る挑戦すらしない
「いっ……たくないのも前と一緒か、にしても何で森の地面に穴が空いたんだ?あそこが異世界じゃなかったのか?」
「あそこは姉さまの空間です。朝也くんを鍛えるためにわざわざ姉さまが造って下さいました。」
「あれ?ヒナさん?どこにいるんですか?」
ヒナさんの声はどこからかするが、姿はどこにも見えない。
「ここです。朝也くんの左にいます。」
声に従い左を見るとそこには、手の平サイズまで縮んだヒナさんが腰の少し上辺りから二枚生やし、顔の高さで浮いていた。
「ヒナさんですよね?」
「はい。ヒナです。こんなに小さい姿ですので、ヒナと呼んで下さい。大きい時はヒナさんモードだったんです。」
「じゃあ、ヒナ。でいいですか?」
「せっかくなので敬語もやめて下さい。」
「ヒナ。これでいい?」
「はい。いいですよ。」
「て、それより!姉さまが造った空間ってなんですか⁈」
「敬語をやめて下さいと言いましたよね。身体に教えないとわからないのですか?」
「なんか性格変わってるんですけど……。」
「ヒナさんモードは性格も少し温厚になるもーなんです。姉さまの話でしたよね。朝也くんも会いましたよね。朝也くんを森に落とした人です。」
「あぁ、あの自称神……、」
「次姉さまを侮辱したら、例え朝也くんでもブチ殺しますよ。」
「ご、ごめんなさい!マジでスンマセンした!」
「まぁ、今回は許してあげます。次は…ないですからね。」
「はい…。」
こぇー、マジヒナ怖い。
「ここから、東に向かいこの森を出ます。お昼までには抜けますよ。」
ここは白い神さまが造ったらしい森に似ている静かな森だ。
「わかりまし…。」
「敬語。」
「分かった。早く行こう。」
ヒナになってもいい笑顔を圧力は変わらないようだ……。マジ怖い。
森から抜けようと、歩き出し太陽がほぼ真上に来た頃…、
「ヒナってどういう存在なんだ。」
ヒナを見てから思っていた疑問を口にする。
「私は姉さまから造られた存在です。個々に人格を持った分身…みたいな感じです。」
「分身か…じゃあ、あの神のこと教えてくれよ。」
「姉さまの事は知り尽くしていますが、朝也くんには言いません。言いたくありません。」
「いや、教えてくれたっ……。」
「そろそろ森を抜けれます。急ぎますよ。」
「ちょ!ちょっと待ってくれよ……。」
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「到着しました。ここが《アンシャウス王国》の首都《イース》です。ちょうどお昼頃ですね。」
「ん?ここが《アンシャウス王国》とやらじゃないのか?」
「はぁ。朝也くんは馬鹿なんですか。」
マジヒナになってから性格キツい…。むしろこっちの方が、ヒナさんなんだが…
「《アンシャウス王国》は島国と言ったはずです。陸に着いたんですからここが《アンシャウス王国》に決まってるじゃないですか。」
「それもそうだな…。で、これからどうするんだ。」
「今から軍事学校の《王立イース学校》に向かい、表向きの裏口入学をします。では、移動です。」
「またかよ……。」
「移動中に表向きの裏口入学について説明します。」
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話を要約すると、
学校の教官と1vs1をし、倒したら入学。ということらしい。
「おれの武器はどうすればいいんだ?」
「修行中に渡した《ガバメント》を使って下さい。」
「え、あれエアガンじゃないの?教官それで倒せるなら貧弱すぎね?」
「あの《ガバメント》は改造していると言いましたよね。バカなんですか。」
「改造したと言ってもエアガンだぞ。無理だろ。」
「姉さまに改造していただいたので大丈夫です。」
「そうでしたか。姉さまでしたら大丈夫ですね。」
あの白い神の話は口答えすると、殺されかねないからな…
「はい。姉さまですから。後、朝也くんは姉さま呼びは止めてください。正直キモいです。」
「ヒナひどいマジひどい。」
そろそろドMになるぞ。
「大丈夫です。朝也くんはもともとドMですから。」
「心を読むなよ。」
さすが白い神の分身、心読むのはデフォルトかよ。
そんな下らない会話をしながら森を進んで行った。