14.ヒナさんのお話
「それでは、昨日言っていた話を始めます。」
今日は昨日ヒナさんが言ったように、午前中はずっと寝ており、お昼前に起こされ昼ご飯を取りに行かされ、お昼ご飯を食べ終わり、ダラダラしていたらヒナさんからの突然の宣言だ。
「そう言えばそんな話をしていましたね。何の話なんですか?」
「あなたが、これから行く国の話です。」
「え、何でおれの行く国ヒナさんが決めるんですか?しかも、それ拒否権は無いパターンですよね…。」
「はい、もちろんです。」
やっぱり…、流石に一ヶ月近くも一緒にいれば分かってくるな。
「あなたが行く国の名前は《アンシャウス王国》と言う小さな軍事国家の島国です。その国は優れた魔法使いがそこそこいる国です。」
「そこそこなんですね…。」
「はい。そこそこです。ランキングで言えばおそらく7、8位ぐらいです。」
「微妙な国ですね。」
「はい。微妙です。ですが、その国は魔法の元となるマナが放出されている穴から他国に比べ近いためマナに干渉し、魔法使いの自覚が生まれやすい国です。」
「マナに干渉する事によって魔法使いになるんですか?」
「はい。マナに干渉する事によって身体のどこかが反応するらしいです。」
「らしいって事は詳しい事は分かってないんですか?」
「魔法なんてのは所詮神のイタズラと言う事です。」
「おれってその魔法だらけの国に放り込まれて大丈夫なんすかね?マナなんか干渉した事ないんですけど…。」
「その国では一般人がマナに触れる事は禁止されているんです。軍事学校に入った物のみマナに触れる事を許されます。なので朝也にはその軍事学校に入ってもらいます。」
「軍事学校っすか…。その…やっぱり戦争とか行く事になりますかね?」
「すぐに、といくことはないと思います。今は休戦中ですので恐らく何もありません。しかし、いつ第五次世界大戦が勃発してもおかしくありません。」
「そうですか…。」
戦争には出来たら行きたくないんだよな〜。
「まぁ、大丈夫ですよ。気にしても仕方ありません。」
「その軍事学校って、おれが入学できるんですか?いろいろ事情があっておれの身分って今証明できないんですけど…。」
住所日本とは言えないしな…。
「大丈夫ですよ。その軍事学校は身分が怪しい者も入れる表向きな裏口入学があるんです。」
『表向きな裏口』ってどっちなんだよ…。
「説明はこんな感じですかね。何か質問はありますか。」
「いや、大丈夫っす。」
「分かりました。では、明日にこの森を出ますので準備していて下さい。」
「あ!そうだ。あのヒナさん。」
「何ですか。」
「この服って《アンシャウス王国》では目立ちませんか?」
今だおれの着てる服は制服だしな…。
「大丈夫です。あなたを見てる人なんていませんよ。」
「いや!そういうことじゃなくて…。」
「分かってますよ。大丈夫です。代わりの服がありますから。」
と言い、マスクや《ガバメント》、《デザートイーグル》が出てきたマントから灰色でフードが付いているジャージを出した。てか……
「そのジャージおれのじゃん!!」
色やフードが付いている所、サイズなどを見た感じおれの日本で着ていたのと同じ者だ。
「はい。そうです。」
「え、何でヒナさんがおれの持ってるんですか…?」
「拝借しました。」
拝借って……。
「それより、とりあえずこれで行き、学校で制服を貰ってそれを着用して下さい。では、話は終わりです。夜ご飯を取って来てください。」
「まだ、昼過ぎ……。」
「取って来て下さい。」
「はい…。行ってきます……。」
ヒナさんの無言の圧力がかかったので追求する事は出来なかった。
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「では、この森とお別れです。」
次の日になり、いよいよ森を出る日だ。かれこれ一ヶ月近くだもんな…。何か寂しく感じる……感じないな、早くちゃんとした風呂に入りたいし。
「この森の出口はどっち何ですか?」
「この森の出口はこっちです。」
と、ヒナさんがおれの足元に黒く底の見えない穴が開く。
「またかよーーーーー!!!」
という断末魔と共に自由落下で始まったサバイバル生活は自由落下で終わった。
第2章はこれで終了です。ありがとうございました。
第3章からは登場人物も増えて転生物語(?)っぽくなんと思います!
第2章までは1話1話書いていたのですが、そのやり方はちょっとしんどいので第3章からは、書きだめしてから更新しようと思います。なので、しばらく更新しないかもしれませんが、申し訳ありませんm(_ _)m
間に番外編を挟もうと思っていますので、その時は是非読んでください。
ありがとうございました!