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本当に今の世界を去りますか?  作者: si-ta
第2部 始まりの少女
13/30

13.さばげー

 


 太陽がやや西に傾いた時間帯。周囲に“人”の気配はない。辺りは静けさに包まれている。聞こえるのは自分の鼓動だけ。しかし、どこからか捕食者の気配を感じる。こちらに敵対心を、殺意を抱いた気配だ。明らかに普通の“人”ではない。


 どこだ。どこから来る…。


 耳をすますと、静かな湖に小石を投げ入れたように、木の枝を踏んだ音がした。


 その音を頼りに捕食者の位置を探る。


 さっきの音はこの辺りから…。感じる。捕食者の気配だ。


 捕食者の位置を特定し、近くの草むらに隠れ、自分の獲物であるガバメントを構える。


「ここだ!!」


 と、静かな湖に巨大な岩を投げ入れたように音をたて、草むらから行き良いよく姿を現わすが…、


「いない…だと……。」


「ここです。」


 その瞬間後ろから声と共に銃声が聞こえる。

 発砲された球は綺麗に頭へと向かい命中する。ヘッドショットだ。


 負けた。これで…おれは……。終わりか……。



──────────────────────────────



「あなたは馬鹿なのですか。何であんな無駄に派手な音をたてるのですか。馬鹿なんですね。」


「バカじゃねーし。だって、足音がしたから絶対ここにいるなー、とおもったから…。」


「足音がしたからといって確認もせずにあんな音をたてて出るやつがいますか。しかも、撃たれたら『負けた。これで…おれは……。終わりか……。』みたいな顔して倒れましたし。」


「いや、そんな事思って無いですし!1ミクロも思って無いですし!」


 何でこの人おれの考えてる事わかるんだよ…。


 今はヒナさんとの『動いている的を狙う』修行が終わり、サバイバルゲーム通称サバゲーをやっていた。ヒナさん曰く『戦場の空気を味わうため』だそうだ。


「それにしても、《デザートイーグル》使うのは止めて下さいよ。それ威力エグいんですよ。マジで意識飛びかけましたよ。」


 《デザートイーグル》有効射程はおよそ80m、銃口初速は460m/sの大型自動拳銃だ。たぶん、ヒナさんが確かそう言ってた、と思う…。


「それじゃあ、《RPG-7》にしましょうか。これは実弾しか無いので当たったら死にますけど……。」


「《デザートイーグル》でお願いします。」


 RPGなんて人一人に撃ち込むもんじゃないだろ!爆発耐性のあるジャケット着ても普通耐えられねぇーよ…。


「まぁ、嘘ですけど。他にも銃はありますけどね。」


 じゃあ何で嘘ついたんだよ…。


「それより次の試合を始めますよ。後、5日以内に私に当てられるようにして下さいね。」


「はいはい。頑張りますよ。」


「はい。は、一回です。」


「はい。頑張りますよ。」


 こうして短いサバゲーライフが始まった。



──────────────────────────────



「ヒット。」


「やっと勝てたーー!!!」


「お疲れ様でした。まさか、3日以内で終わるとは思いませんでした。よく頑張りましたね。」


 あれから3日目の夕方に、やっとヒナさんにヒット出来たところだ。昨日には先に発見出来るようになっていたのだが、撃ち合いになると全然当てる事が出来なかった。


「それにしても、予程より早く終わりましたね。本当なら向こうに着いてから話そうと思っていたのですが、これなら話せそうですね。」


「話ってなんですか?」


「それは明日のお楽しみです。明日はゆっくり寝ていていいですよ。明日話をしてから、明後日にこの森を出ますからね。」


「はい!」


 やっとこの森を出る事ができるのか…。もう一ヶ月近くいるからな…。


「では、久しぶりに食料調達をお願いしますね。」


「え、この流れは修行が無事終わったご褒美にヒナさんが取って来てくれるんじゃ…。」


「ご褒美ですよね。心身共に疲れ果てた所に大変な食料調達なんて…、ドMにとっては……。」


「あれ、ヒナさん少し性格変わって…、」


 あと、何でおれドM認定なの。否定はしないけどさ…。


「変わってません。早く準備して行って来てください。」


「はーい。」


 こうして、森での修行の日々が終わった。



──────────────────────────────



「はぁ、そろそろ効果が切れそうですね…。何とか効果が切れる前に修行が終わって良かったです…。中途半端に終わるのは嫌ですからね。」


 一人の少女の呟きが夕方と夜が入り混じる空に消えていった………。




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