10.白仮面の横暴
「……て…………。」
「お……く………。」
「…きて……さい。」
「起きてください!」
「イッテーーー!起きないからってなにも殴ることないだろ!母ちゃん!!」
「母ちゃんじゃありません。そんな歳でもありません。まだ、ピチピチのJKの年代ですよ。」
「あ、そうか。ごめん……て、誰だお前!」
横には白いマントを着ている、ダルそうな目をした灰色に近い白髪の少女がいた。
そして、ここは小屋のベットの上のようだ。
あれ?この少女どこかで見たような…。
「はぁ。鈍いですね。この仮面を見れば分かりますか?」
と、マントの中から目の所に赤い縦線の入った、朝也にとって恐怖の象徴のような仮面を出した。
「お前!白仮面野郎か!」
と、白仮面の少女から距離をとる。
「野郎じゃありません。女の子に向かってそんなこと言うもんじゃありませんよ。モテませんよ。」
「余計なお世話だよ!で、何の様だ。さっきまでずっと無視してたくせによ。」
「少し方法を変えることにしましてね。あなたを私が直々に鍛えてあげる事にしました。嬉しいですか?」
「は?」
「だから。鍛えてあげるのです。嬉しいでしょ?」
「いやいやちょっと意味が…。」
「嬉しいですよね?」
ニコッと笑顔のまま白仮面の少女に無言で圧力をかけられる。
「ハイ、ウレシイデス……。」
「では、明日から修行を始めますね。明日は六時起きですからね。」
「て、何でいきなり鍛えるなんて結論に至ったんだよ!さっきまで襲って来たじゃないか!」
「本当はサバイバル形式でこの森に一ヶ月ほど閉じ込めて鍛えようとしたんですが、マヌケなあなたじゃ一年かかっても無理そうなので普通に鍛える事にしたのです。何ですかあの糸つけたナイフ。笑いそうになりましたよ。」
「うるせぇーよ!こっちも必死だったんだよ!で、何でおれを鍛える前提なんだよ?」
「別に鍛えなくても良いのですが、死にたいのなら。」
「どうか鍛えて下さいませんか、師匠。」
死ぬのは嫌なので全力全開の土下座で懇願する。
「よろしい。でも、私の事は…そうですね……ヒナ…ヒナと呼んで下さい。」
「はい!ヒナさん!」
「だから、ヒナと…まぁ今はそれでいいです。では、明日の六時ですよ。起きなかったら、顔面パンチですよ。」
「はい!絶対起きます!」
「よろしい。では、お腹が空いたので夕食を取って来て下さい。よろしくね。朝也。」
「何でおれの名前知ってるんすか。」
この世界の人は名前知ってるの常識なのかよ。
「てか、起きたばっかで体が…。」
「取って来て下さい。」
またもや、ヒナさんからの無言の圧力が来る。
「はい…。行ってきます。」
「行ってらっしゃーい。」
小屋からで、空を見上げる。
「はぁ、もう夕方か…。」
と、ため息をつきながら朝也は森の中へと食料を調達しに行った。