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1人が好きだった。1人、というより1人の時間がだけれど。
本を読んだりのんびり音楽をきいたり、友達もそんなタイプの子と連むので遊ぶというより、同じ空間で1人の世界に入り込むそんな間柄で全然、苦にはならない。そんな友達が好きだった。いや、現在進行形だけれど。彼女の名前は、美亜中学校からの友達だがほんわかしていて彼女の雰囲気が好きだ。
私の名前は、智葉。美亜曰わく、のんびり屋の毒舌家らしい。本人全く持って自覚しておりませんが?
今日も今日とて、2人別なことに励む。
私は最近手に入れた小説を、美亜は私のオススメマンガに熱中する。ふと、美亜は言った。
「ねぇ、智葉ぁ…この前さ、」「うん?」
「後輩に告られたんだけど」「ふーん、そっかぁ」
私は思わず、返したそれに驚いた。バサリと虚しく小説が落ちた。
「美亜、それはそんなに軽く言うもんじゃぁないよ」
「うーん、私…前から告られることあったけれど後輩は初めてで」
ほんわか癒やしタイプの美亜は大体、守ってあげたくなるのか先輩、所謂年上にモテる。それが、今回は年下ときたらしく、困っていた。「智葉はさぁ、全く興味もないのに昔から年下にモテるよね?」だから相談してみた、はにかむ彼女は本当に可愛い。
「むりむり、私はたいてい素っ気なく返すでしょ?」
「………ごめん、素っ気なくじゃないくてハートを粉砕する人に相談しちゃったよ、私」
遠い目をして語る彼女に、私はハテ?と首を傾げた。ハートを粉砕?
*****
♯美亜回想♯
「せ、先輩…あのですね!」
「んー」
上の空の智葉は今、確実に二次元にとんでる。美亜は確信を持って言える。「あーと、す、好きになっちゃいました!」「あ、そーですか」素っ気なく返す、そこは合っていると言って良いがそれからが問題なのだ。
「…あー、ごめん?私さ、興味もないし…1人の時間が好きだし、面倒だし。というか、この状況が果てしなく面倒だし。ペース乱されることが一番嫌いだし、恋愛?そもそも結婚とか考えてないし、恋愛する必要はないよね?」
「…え、あ…」「というか、キミのことよく知らないけれど…なんだか弟みたいだね!」にっこり笑って言い切った彼女はここで終わるわけもなく…「その、恋人とかじゃなくて遊びにいった…「え、むり。私のプライベートに入れるのは、大好きな友達の美亜だけだし?」
智葉ぁ、私も大好きだよ!…じゃなくてぇ!
「ごめんね、本当に。まぁ、この悔しさを次の糧にしなさいな」
にこやかに去る智葉の後ろに、号泣の後輩の姿。あれは、まだ可愛い方だったんだよね。
*****
「まぁ、振ったんだけどねー」「うんうん、美亜も相も変わらず興味なしだもんね!!」「でもね、諦めの悪い子でね?気が変わったらとか…」「あー、やぁねぇ」
こんな会話をしながらも私たちは、小説を読み進めマンガを読み進めている。さすがとしか言いようがないな、うん。
「あ、そういえば。帰ってくるよ、緋色」
私は、ふと思い出した。そういえば、居たな。私、小学校から中学校一緒だったけど美亜より交流がなかった。私に比べて、美亜は交流が広いからなぁ。
「木村くんねぇ、そんで?」「なぁんとなくぅ」
高校2年を半ばに迎えた今、戻ってこなくてもいいのに。とか思ったけれど、家の事情じゃ仕方ないな。て言うか、木村くんはモテてたし…彼女いたら不憫だね。
私と美亜は違う高校で、公立だし。木村くんが帰ってくると言われても転入してこれるわけもない。なぜ、美亜は木村くんの話題を出したのだろう?そんなに、交流なかったのにね。
*****
「ただいま、小野原!」にっこり笑うのは、そう先日美亜が出した話題の人。木村くん、木村緋色だった。なぜ、我が家の前にいらっしゃる?
「美亜から聞いた、相変わらず年下にモテるんだってな」煌びやかな人に、モテるとか言われてもアナタの方がモテるんじゃ?っておもうよね。「さぁ、年下とか論外だよー」「へぇ、なら年上?」「んー、どちらかといえば?同い年か、年上だね。」全然興味ないけど。「ふーん、」って、ドサリと我が部屋に座りよった彼。えーと、何故?気づいたら、上がり込み我が部屋におじゃしていた。しぶしぶ、お茶の準備をして出すと一口のみ小説を物色。一冊手に取ると、黙々と読み出した。
……………なにをしに来たんだろう?この人。
「……」まあ、いいか。私も相当なマイペースだし、隣に座ると小説を読み進める。狭いから、隣に座るしかないのである。さすがに、ベッドは無理でしょ。
───1時間後。
「寝てる」
ふぅと、溜め息を吐くと心を落ち着かせる。
「美亜が言うように、かなりのマイペースだな」
気持ちよさそうに寝やがった、小野原……こと小野原智葉の無防備な寝顔を眺めた。
「木村くん、なぜに私の寝顔を見ているのかな?」
ぱちりと目を開けた小野原と目が合う。
「寝てたから」「…さいですか」
「今度、家にくる?」「なんでですか」「ここより、小説置いてるから。好みは、合うみたいだし」
結局なぜ、彼がココにきたのか意味も分からないままに帰っていった。その後すぐ、美亜から珍しく電話が入った。
「智葉ぁ、もしかしてだけど…緋色きた?」
「来たけど」「緋色もね、小説好きなのよ。智葉のコレクションの話したらこんど押しかけるとかいってたからね!アハハ」美亜の笑い方に、疑問に思ったが考えないことにした。
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