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チート過多でのファンタジーライフ  作者: 老 左伝
第1章~子供時代1~
9/42

(9)驚きの後にさらなる驚きが待ってるみたいです

なんで料理大会になったんだろう?

初期プロットでは最初は戦闘で無双すると書いてあるのに……


50万PV記念、本日は2話連続投稿!まずは1話目

 





 一ヶ月後、本当に料理大会が始まってしまった。

只今調理しゅらばの真っ最中だ。

先週誕生日このまえまでを迎えたごさいだったばかりの6歳児をここまで働かせるって、労働基準法的にどうなんだろう?

忙しいけど手を休めてる暇はない。

なぜなら、お客がくるから。

僕はなぜ、ここに立っているんだろう?

なんで僕の屋台には行列ができているんだろう?

どうして並んでる中に見たことのある顔ぶれおうさまとかハンスさんたちがいるんだろう?


 ……ってちょっと待て、なんでそこにいる!

忙しさのあまり危うくスルーするところだった。

今回の忙しさの原因、アンタ達が黒幕しかけにんだろうが!







 事の起こりは伯父上からの一言だった。

「料理大会」…この国にそんな大会は無い。

なのに、あろうことか作り上げやがったこの野郎こくおうさまは!

あまりの事に伯父上を国王として尊敬する気持ちなんか吹っ飛んでしまったよ。

6歳から13歳までの子供の料理自慢を集めて、首都の中央広場に出したそれぞれの屋台で注文を受け、食べて美味しかったと評価するお客が多い者が優勝という形式で審査する。

味と見た目と評判が評価基準ということだろう。

でも、6歳からって…あきらかに、僕を狙い撃ちしてるよね。


 父さまも母さまもノリ気で喜んで協力するわ、とか言われちゃったさ!

さらにシャルちゃんからの期待する視線あついまなざしにも負けたさ!

出場を拒否しきれなくて、確かに了承しちゃったさ!

出ることが確定しちゃって必要な魔道具も用意したさ!

ハンスさんの謎のツテで材料そろえて作りまくっちゃったさ!

確かに僕も調子に乗っていろいろ暴走したさ!

メニューも色々考えて、自重しないで散々試したさ!

あまりにテンションおかしすぎて思考の口調も変わっちゃったさ!


 いけない、少し落ち着こう。


 でも現状は、6歳児の前に並ぶ長蛇の列!

最後尾がどの辺りにあるのかも、もはや見えない!

下拵えのフルーツカットや買い出しなんかは、1名だけ付けられる大会からの補助要員アシスタントのメイドさんにお願いできるけど、屋台で働くのは大会規約のため子供のみ!

群がるお客に対峙するのも僕一人!

夏の日差しが眩しくて立ってるだけでダイエットできそうな、とても素敵な環境の中で4枚の鉄板プレートまどうぐさんごうに向かって延々と作業をする。

コテの返し方も既に熟練職人の域に達したよ、一体何枚焼いたと思ってるんだ。


 ねぇ、これイジメか。イジメなのか?

どんな6歳児がこんな過酷な労働条件に耐えられると言うんだ。

普通の子なら死んじゃうぞ、この状況!


 そう思いながらもてを休めるわけには行かず、大型アイスの筒まどうぐいちごうからトッピングのアイスを取り出してバナナのような果物とカスタードクリームを巻いたクレープに乗せてお客に差し出す。


「南果カスタード、アイス乗せ、お待ちです。 こちらは生クリームスペシャルですね。 木の実ジャムミックスもまだできます。 野苺はさっき終わりました」


 あぁ、この地獄たいかいが早く終わってくれればいいのに…

重力修行もさすがに今日は止めている。

この人数をさばくのに、わざわざ制限なんてかけていられるか!

6歳児としてはありえない機動力と器用さでクレープを作っていく。

最早もはや半自動機械いきるしかばねと化してただひたすらに焼いていく。

…あ、王さまやハンスさんたち見逃した…さっきの客の中にいたような…



 ……僕はどこで自分の行くべきはずの道を間違えたんだろう?

昔を思い出しながらげんいんをかいそうしながら目の前のお客に対応し続けた。






――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






 調理の時間じごくのしゅらばは終わった、今は集計してるところのようだ。

僕は広場から少し離れた静かな場所で、真っ白に燃え尽きていた。

燃えたよ、燃え尽きたよ、真っ白になるまで…

雑念も怒りも心の何もかもが……これが…悟りか……

体力的には重力修行をお休みしているおかげで十分以上あるけど、精神的には死んでいるぼくのライフはもうゼロだ

ここまで集中して料理しまくったのは前世から考えても無かったんじゃないだろうか。


「…そこの…、……したわよ、……聞いていますの」


 あれ、目の前に女の子がいた。

どうやら話しかけていたらしい。

話しかけられても気が付かないなんて、よっぽどほうけていたらしい。


「アナタ、生きてますの? 返事がないなら医者を呼びますわよ?」


 おっと、まだけているみたいだ。

返事をしないと医者のお世話になりそうだ。


「あ……だいじょうぶ、じゃないかも…だけど一応生きてるから」


「そう、良かった。 ん? 良かったのかしら?」


 あらためて目の前の子に意識を向ける。

大体15歳前後の気品のある女の子だ。

仕立てのいい服を着てるし、口調からするとどこかの貴族の子かな?


「ところで僕に何か用があるの?」


「そうだったわ、まったく、暑い中をさんざん探しましたわよ。 おかげで一番乗りだったみたいですけど。 ねぇ、あなたの望みはなあに? あと、ついでにうちで働いてみない?」


「は?」


 いきなり何を言ってくるんだろう、この子。

頭は大丈夫か? いきなり望みは何とか聞かれても…

いやいや、それ以前に何で勧誘らしきものをされてるんだ?


「あなたの実力ならそのとしでも間違いないでしょうし、ついでにうちで雇われることにしなさいな」


「いや、なんで雇うとかいう話になるんです?」


「あらあなた、ミラスタン侯爵家のこのカルロッテが後見人になるというのに不満でもあるのかしら? 大丈夫、これでもかなりのお金は用意できるわよ。 それとも他に約束があるとでも言うの?」


 なんか話が通じていない。

それに何かを勘違いしてるんじゃないのか、この子。


「いえ、本当にどうい「ディルく~ん!」」


 え? なんでそういう話が出るのか聞いてみようとしたらシャルちゃんの声がした。

こちらに駆けてくるシャルちゃんとその後ろからはセリオンもやって来た。

後ろにいる3人は護衛だろうか、あの獣人ひとなんか特に強そうかもしれない。



 名前:リッド(ナンリッド=ノイル)

 性別:男

 種族:獣人(兎人)

 年齢:Age38


 所属:ジルド皇国

 職業:親衛隊副長

 レベル:Lv31(正常)


         補正値(元値)

  HP/生命力:723/723(690)

  MP/精神力:690/690(690)

  攻撃力/力:96/71(57) (鋼鉄の長槍+25)

  防御/体力:86/62(55) (硬革鎧+24)

  命中/器用:74/75(54) (鋼鉄の長槍-1)

  魔力/賢さ:71/71(54)

  回避/敏捷:63/63(58)



SKILL 交渉/売買/値切り:Sr23 値段を値切りやすくなる。賢さSr÷5

   武芸/槍術/長槍:Sr44 長槍に精通。力、器用Sr÷4

   武芸/格闘術/拿捕:Sr36 相手を捕らえる技に精通。体力、器用Sr÷5

   魔法/強化魔法/力:Sr21 力強化。力にSr÷6、賢さSr÷5

   魔法/強化魔法/器用:Sr18 器用強化。器用にSr÷6、賢さSr÷5

   魔法/強化魔法/敏捷:Sr34 敏捷強化。敏捷にSr÷6、賢さSr÷5

    強化率/ステータスを最大1.《(1+X)×2》倍、X=Sr÷10、(1日Sr÷5)


   五感/聴覚/聴覚感知:Sr27 音で感知。パッシブ、索敵・不意打ちボーナス

   サバイバル/野外/野草学:Sr33 食べられる野草を見分ける。生命+Sr

   態度/宮廷/礼儀作法:Sr20 礼儀正しく動くことができる。交渉ボーナス。




 おぉう、これが本職の兵士さんの能力か。

ウチにいる衛兵の人たちよりも強いな。

しかし、男の兎耳って誰得だよ?

女性兵士さんとか…あぁ、ダメだ、セリオンが襲われる気がする。

と、馬鹿なことを考えていたら、いつの間にか傍に来ていたシャルちゃんに腕をとられていた。


「ディルくん! すごかったねぇ! かっこよかったよ!」


 くっ付かれて早々にめられた。

子供とは言え、女の子に褒められて悪い気はしない。

でも、ちょっと暑い。

誰か何とかしてくれないかな、と思って周りをみたら……

セリオンも護衛さんもニコニコしている、ダメだ。他には……

あ、今目の前で喋っていた女の子カルロッテさんが固まってる。どうしたんだろう。

他には…いない。自分で言うしかなさそうだった。


「シャルちゃん、ありがとうね。でも暑いからちょっと離れようね」


「や♪」


 や♪ って拒否された。ちょっと困った。

どうしたらいいんだろう。


「しゃ、シャルナ様、何をしてるんです? ちょっとセリオン様も見ていないでシャルナ様をおめになってください」


「え?どうして。 あんなに嬉しそうなのに」


 どうやらカルロッテさんは助けてくれるつもりのようだ。

話が通じない空気が読めない子だとか思ってごめんなさい。

僕がちょっと困ってることを察して助け舟を出してくれたみたいだ。


「仮にも姫様ともあろうお方がこんな場所で、このような者にくっ付くだなんてハレンチですわ」


 おや?なんか様子が違う気が…


「ディルなら特に何の問題もないし、自分の婚約者にくっ付くのは別にハレンチでもなんでもないよ」


 は?今聞きなれない単語が飛び出したような…え?

聞き違いだよね? そうだよね。

そうだと言ってよ、バニくん!

『しかし兎耳兵士の視線は何も語らなかった』


「え…婚約者…」


 カルロッテさんも聞き返してる!

やっぱり聞き間違いじゃなかった!

でも、それってどういうこと?

何、どうして、僕はそんな話聞いてない!

あ、カルロッテさんも混乱してるみたい。

他にも同志がいると少し落ち着けた。


「うん、シャルナの婚約者で僕の従弟のディレット=ドゥ=エスクランス君」


 いや、婚約って僕まだ6歳ですよ。

そんな話、何も聞いてないし、本人に承諾もなにも無しですか。


「え、エスクランスって、あの…」


「そうだよ」


「なんで公爵家がそちら側に? この大会の目的って…」


「あぁ、彼は特別参加枠だから」


 え? なに、今の会話? 大会の目的?

なんか意味があったの?この大会。

伯父上の悪ふざけじゃなかったのか?

特別参加枠って多分『王さまの強制命令』ってことだよなぁ。


「よくわかりませんが、何か事情がありそうですわね。 彼の料理にも心惹かれたのですけどね」


 急に態度が変わったなぁ…

何だったんだ?

いったい、この大会の裏で何が起こっていたんだ?


「ディレット=ドゥ=エスクランス様、今の話は無かった事に願います、それとどうかご無礼をお許し下さいませ」


 いきなりカルロッテさんが丁寧な礼で謝罪をはじめた。

いや、別に勘違いは誰にでもあるし、それは別にいいんだけど…あの会話はナニ?

そっちのほうが気になるよね。


「いえ、別に何かをされたわけでもないですし、それは気にしないでください。それより聞きたいことが…」


「そうだ、ディル、シャルの事を頼むね。 ロッテ嬢、宜しかったら少し僕に付き合っていただけませんか」


「え、はい喜んで」


 唐突にセリオンはシャルを僕にあずけてカルロッテさんとどこかに行ってしまった。

ちょ、待って。シャルちゃんにくっ付かれて追いかけられない。

誤魔化された? 一体大会で何が行われていたんだ?

取り残されたのはシャルちゃんとリッドさんだけ…

聞きたいことが山ほどあるのに。

婚約ってナニ? 大会の目的ってどういうこと?

聞いたら答え、返ってくるかな?


「あの、シャルちゃん?」


「なぁに?」


 腕にくっ付いて凄くご満悦なシャルちゃんに聞いてみよう。


「婚約って何の事だかわかる?」


「ん~、ディルくんとずっといっしょにいられるってこと」


 ……いや、間違いとは言えないんだけど、誰だ!こんな教え方をしたのは…

って、あの人たちこんかいのくろまくしかいないよなぁ。

セリオンも向こう側みたいだし、逃げ場がない。


「護衛さんも何か知りませんか?」


「いえ、特になにも」


 ダメだ、答えが帰ってこない。

どうしたらいいんだろう…

そんなとき。


「「ただ今集計が終わりました。参加者の方は広場中央の大会テントまでお越し下さい」」


 風魔法の『拡声』で広場に連絡が流れる。



 あ…競技の結果のこと、すっかり忘れていた…


次回、結果、発表、セレモニー!



ちなみに魔道具2号は冷蔵庫です。

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