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チート過多でのファンタジーライフ  作者: 老 左伝
第1章~子供時代1~
8/42

(8)やりすぎると戻って来れない事があるようです

おかしい、ここまで話がそれるなんて思わなかった。

どうやって予定の流れに修正したらいいんだ?

 





 いよいよ晩餐会ばんさんかいがはじまった。

あ、久しぶりにお仕置きされた父さまが復活している。

見たところ普通みたいだけど、たまに怯えた子犬のような目で母さま見るのはやめなさい。

国王様おじうえも苦笑いしてる。

意外なことに王子さまセリオンは平然としている。

アレを見て、我が家に来るのがトラウマになるんじゃないかって心配したけど、平気そうだなぁ……何か耐性でもあったのだろうか…


「…子供たちもいることだし、堅苦しい挨拶はこのくらいにして、そろそろ食べようか、本日はお楽しみもあるからな」


「なんだ、ベル。お前が何か用意するのは珍しいな。」


「少し趣向を凝らしてみるのも良いかと思ってね、兄さんもきっと驚くと思うよ」


「それはそれは、楽しみにさせてもらうとしようか」


 どうやら父さまはデザートがまで引っ張るつもりみたいだな。

しかし、甘いのですよ、僕は父さまの予想を超えるつもりです。

隠し玉おたのしみを用意したのは父さまじゃないんですよ。

アレを知ってるのはハンスさんたちと僕と、あとさっき一緒にいた姫さまシャルちゃんだけだからなぁ。

シャルちゃんには内緒にしてくれるように頼んけど、何か楽しそうにうずうずしてる。

早く言いたいみたいだなぁ。


 そして料理が運ばれてくる。

みんな普通に会話しながら食べているけど、父さまと伯父上、お互いの会話の時だけ、なんか妙な言い回しが多い気がするなぁ。

これが貴族同士の会話というモノなのだろうか。

だとすると僕も、いずれはこういう会話を覚えなくちゃいけないんだろうか。


 前菜・スープ・サラダと続いて、いよいよ次の料理さかなりょうりがやってきた。

ここで1つめのサプライズを成功させる。それは……


「ん! なんだこれは!? パンがほんのり甘い・・・・・・・・・


「あら、まぁ!」


国王陛下をも驚かせ、母さまもびっくりしている。

セリオンなんか硬直している。

サプライズは成功のようだ。

そして父さまも目を丸くしている。


「なんだこの柔らかさ・・・・は! まさか!」


 そう、僕の用意した一つ目のびっくり箱は『ふわふわパン』だ。

魚料理から先でコースに付いてくるパン、これを改良したのだ。

この世界のパンはふんわり感が不足しているのでスープにけたり、料理のソースを付けて食べるのが一般的だ。


 麦の質が良いのか、風味がとても強くて味もいい、これはこれで美味しいのだけど、前世の記憶を持つ僕からすると、柔らかさが足りない気がしていた。

そこで用意したのが、この『天然酵母パン』だ。

干しブドウから天然酵母を採るやり方は知っていたから、後は一次発酵、二次発酵の手間をかけて、パン生地をふくらませて焼きあげた一品だ。

初めて成功した日はエレナさんが泣き出したからなぁ。

本人曰く、感動の涙らしいけど……何度もうまくいかず、苦労させたからなぁ…

お菓子はうまくいくのになんでだろう?


「これがお楽しみか、確かに驚いたぞ。このようなパンは見たことがないからな」


 伯父上にも好評みたいだ。


「すごいでしょう。これディルくんがつくったんだよ」


 ニコニコといい笑顔で、シャルちゃんがバラす。

よっぽど言いたかったんだなぁ。


「やはりか、俺にも知らせずにハンスの奴とこんな物を作っていたとはな」


「え、ディルがこれを作ったの?これ作れるの?」


 あ、セリオンが再起動した。

今まで硬直していたけど、そんなに衝撃だったかな?

僕的にはまだ完成体じゃないんだけど、それ言うとエレナがまた泣きそうだから言わないけど…

まぁ、こっちの世界にはこういうパンはないみたいだからなぁ。

改良は地道にやろう。


 「いえいえ、まだまだですよ。僕はまだあと一回びっくり箱おたのしみを残してます、この意味がわかりますか?」


 どこかで聞いたようなセリフで次の仕掛けの予告をする。

騒然となる王さまと王子さま。

シャルちゃんには先に少しだけバラしてしまっていたからなぁ。

でもシャルちゃんも父さまも母さまも『デザートの真の姿かんせいけい』は知らないからきっと驚くぞ。

厨房のハンスさんたちが指示した通りにうまく盛り付けてくれるといいけど…


「なんと、これほどのものを本当に5歳の甥っ子が作り、その上まだ何かあるというのか」


「もう一回、こんなすごいのが出るの? ほんとに?」


「ここから先はお楽しみですよ」


 僕はみんなの期待をあげてから料理を再開させる。

デザートに行かないと『アレ』は出せないからね。

肉料理・メイン料理と来て、いよいよデザートに入った。


「お待たせしました。こちらが本日のデザートでございます」


配膳でエレナさんが持ってきたもの。 それは…


「うわぁ!すごい!」


「これは素敵ねぇ」


「さっきみたのよりかわいい」


「これは見事な!」


「ディル、ここまでするか。まったく…」


 みんな驚いてるな。

そう、僕が用意したのは『プリンパルフェ』だ!

口溶けのよいバニラアイスの上に、改良を加えたとろけるプリンをのせて、さらにその周りを空気をたっぷり混入して軽い食感を実現した新鮮な生クリームと旬の果物、そして甘さ控えめのジャムソースで飾り付けしたもの。舌休めとアクセントに焼きたてのサクサククッキーを添えている。

僕の今までのデザートの集大成とも言える逸品だ。


 …テンション任せで試作品を作りあげた後に、『ナンデココマデシテルンダロウ』と目が虚ろになったものすごくへこんだこともあったけど、作ってしまったものは仕方ないと切り替えて今日のお披露目となった。

……僕、料理人やパティシエでも目指しているんだろうか?

どこかで進むべき道を間違えた気がする。


 デザートを食べる皆からは感嘆のため息以外の声はほとんど出なかった。

表情を見るかぎり、どうやら満足してもらえたみたいだ。

初めて食べるアイスにもみんな驚いていたみたいだけど、食べた瞬間その味のとりことなるくらいハマったみたいだ。

食べ過ぎない程度に抑えさせたけど、みんなおかわりを希望していた。


 食事が終わったその後、大広間でセリオンやシャルちゃんと会話をしながら仲良くなっていった。

セリオンはすでに帝王学を学び始めているらしいけどまだまだ難しいことが多いみたいだ。

シャルちゃんはあのデザートを王妃様おかあさまに持っていきたいそうだ。

お土産分として用意しなくちゃ…みんなおかわりするから……材料、まだあったかな?

父さまと伯父上は、(一局)やらないか、と貴賓室ゲストルームを出て行った。

多分『兵棋パルド』だろう。

軍人将棋とかチェスとかみたいなもので、コマの動きは決まっているんだけど自分の陣地に好きなように布陣ができて、さらにコマの種類もある程度ルールに則って変更できるそうだ。

父さまがよくやってるのは知っていたけど伯父上も好きだったんだなぁ、アレ。

2人で別室へ移動していく、兄弟水入らずで積もる話もあるだろう。


 そうして、厨房でお土産の調理準備ちょうのうりょくぜんじどうかくはんをセットしたあと、完成までまだまだ時間があるので戻って、みんなとの会話を楽しんでいたけど、そろそろ時間的に遅くなってきたみたいだ。

今日はみんな泊まっていくのかな、と思っていたら、伯父上と父さまがやってきた。


「さて、そろそろおいとまさせてもらうよ。今日は何度も驚かされた1日だったな」


「いやいや、俺の方も聞いていなかったことが多くてな、いろいろ吃驚びっくりしているよ」


「そうか、まぁ、この坊主、将来が楽しみではあるな。色々な意味で」


 いや、本人の前でそういう話はやめてくれませんかね、どんな羞恥プレイだ。

いや、5歳児を普通に褒めてるだけなら、そこまで反応しなくてもいいの…か?

前世の記憶があると、精神年齢的に対処に困るな。

こういうとき、どんな顔をすればいいのかわからないし……とりあえず、テレてみた。


「さて、帰るぞ。おまえたち」


 伯父上が声をかけると、セリオンはすぐに立って準備を始めたみたいですけど……

あの…シャルちゃん? なんでそんなに僕にくっついてきてるの?


「ん? どうした、シャル? そろそろ帰るぞ」


「や~、もっといっしょにいたいの」


 子供か!って子供だったよ、4歳児。

子供ってどうしてこう急に、聞き分けがない状態になったりするんだろうか。

って僕も5歳だし……しかし、なんでこんなに懐かれたんだろう?

……餌付けか?


「あの、シャルちゃん?お母さんにお土産アイスクリームを届けるんじゃないの?」


「う~」


 うるんだ目でこっちをにらまないで、なんかへんなものに目覚めろりこんにかくせいしちゃいそうだから。


「ははは、随分とウチの娘に好かれたみたいだな。ベル、例の話も考えておいてくれよ」


「それは俺が決めることじゃないですよ。あくまで本人たち次第ということで」


「まぁ、そういうことにしておこう。ところで。 ディレット=ドゥ=エスクランスよ!」


「はい! な、なんでしょう…?」


 伯父上は国王の顔で僕の正面に立ち、見下ろしながら名前を呼ぶ。

急にフルネームで呼ばれてびっくりした。

何だろう、あらたまって真剣な顔でこっちを見ている。


「お前に料理大会への参加を命じる」


 エ? ナニ? 一体ナニ、この状況?

どうも僕は王さまの強制的命令で料理大会に出ることになったみたいです。



 どこで進む道を間違えたんだろうか、僕……



名前:ディル

 性別:男

 種族:人間種ヒューマン

 年齢:Age5


 所属:ジルド皇国

 職業:公爵家長男

 レベル:Lv5(重圧5倍:身体能力1/5)


         現在値《補正値(元値)》

  HP/生命力:2170/2170(100)

  MP/精神力:16244/16275(100)

  攻撃力/力:11/11《58(13)》

  防御/体力:12/12《60(14)》

  命中/器用:27/27《138(13)》

  魔力/賢さ:66/66(12)

  回避/敏捷:12/12《62(15)》


SKILL 超能力:Sr102

    道具/魔道具:Sr120

    武芸全般:Sr33

    魔法/属性魔法:Sr42

    第六感/思考/並列思考:Sr23

    魔眼/鑑定眼Max

    神の欠片Lv1

    天使の加護

Secret 調合/料理/お菓子:Sr17 お菓子類を上手に作れる。生命・精神+Sr



 あ…いつのまにかスキルが増えてる………


次回、大会、陰謀、エンゲージ!

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