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チート過多でのファンタジーライフ  作者: 老 左伝
第2章~少年時代1~
38/42

閑話7 ガールズトーク

前半部、大幅加筆、ついでに後半も改稿。

最初は単なる話のつもりだったのに…

 閑話 ガールズトーク





「みんなでご飯食べに行かない?」


 いつも唐突なユーリがそんなことを言い始めた。

変なことしか言わないユーリにしては今日の提案はまともだった。

ご飯は良い。

特に美味しいご飯は大好きだ。

あ、このクッキー、レモンの香りが入ってる。

多分レモンの皮を混ぜてある。

これは美味しい。


「なんで急にそんなこと言いだしたの?」


 メーナが聞く。

確かにユーリの提案にしてはまともすぎる。

何かを企んでいたとしてもおかしくはない。

私だけご飯が無いとか、自分だけ隠れて良いものを食べて見せびらかすとか……一生恨む!

はっ……いや、まだ何もしてないのに想像で恨んじゃダメ。

ご飯が美味しくなくなる。


「いや、この前旦那さんに色々ご馳走になったじゃない。アレって嬉しかったけどちょっと悪いな~とか思っててさ。だからみんなでご飯のついでに旦那さんとか誘って逆におごり返してあげようかな~と…」


「いや、その割にはアンタいつも『奢れ~』とか言ってない?」


「いやいや、ちゃんと空気読んで奢ってくれそうにない・・・・・・・・・・時だけそういうことを言うようにしてるよ」


「……アンタ、それ屈折しすぎ。何を考えているの…」


 ディアラナの質問に答えるユーリだが、何を言ってるのか分からない。

よく分からないけど変なことなのは多分間違いない。

ビスケットも間に甘いのが挟んである。

確か…メイジチョコだっけ?

売ってるのよりも柔らかい気がするけど味は間違いない。


「旦那さんと仲良くなっておけば、色々助けてくれる予感がしたんだよねぇ。だから今のうちに仲良くなっておこうかなぁと。でも奥さんがいるから親友ポジか悪友ポジを確立するのが無難かなぁ、と」


「あの、助けてくれそうだから仲良くなるというのは良くないと思います。そういうのって本当のお友達って感じがしないんですけど……」


「いや、まぁ確かにそうなんだけどさ。きっかけがそうだって話で、今はそういう考えを持ってるわけじゃないから」


「え?」


「いや、初めは実家の商売関連で人脈作りを狙っていたんだけどさ、リサっちの言う通りそういう下心ありって、やっぱホントの友達じゃないじゃん。でさ、このクラスって変なのも多いけど、基本いい奴ばっかじゃん。だからさ、そういう自分の考えも変わってきてね…今じゃそういうのはどうでもいい感じかな?」


 ユーリがなんか難しいこと考えている。

なんか変。

ユーリじゃないみたいだ。

変なものでも食べたのだろうか。


「じゃ、どうしていつも、あんな態度なの?」


「男子居ないから言えるんだけど、はじめのキャラ付けに失敗したって感じなんだよね…今更態度変えたら、なんか『病気か』と疑われるくらいだから……」


「あ~、そういえば以前、男子が騒いでいたっけ。ユーリの具合が悪いから病院に連れて行け、とかなんとか…」


 そういえば、そんなことがあった。

ユーリが大人しくて静かだった時に病気らしいと聞いたっけ。

お見舞いに果物山盛りで持っていった。

…アレは美味しかった。

ユーリがいらない分を貰って食べたけど、本当に美味しかった。

思い出したら果物が食べたくなってきた。

でも、このオレンジのジュースもなかなか…

ちょっと重い容器に入っているけど冷たいままで素晴らしい。

……何の話だっけ。


「……なもんだから、そういう態度を続けてるって感じかなぁ」


「いやいや、それにしたってもうちょっと変えていこうとか思わなかったの? あれじゃ単なる奢られ魔じゃない」


「今じゃ旦那さんにしか言ってないけどね。他の男子と行った時は自分の分は全部払ってるし…」


「あ、そういえばウチの馬鹿ニコラに奢らせるとかで食べに行った時、貴女お金払ってたわよね」


 ん?

ニコラとユーリで食べに行った時、一緒に行ったんだろうか?


「まぁ、アレに奢られるのはなんか怖いから本気で遠慮するけど、一応クラスの男子を交えてどこか行った時には自分の分は全部払うようにしてる。 ただ旦那さんは最初の印象が強かったのか、アレ以来一度も一緒したことなかったけれど……」


「へぇ~。 だとすると、今じゃアナタの『奢れ』が口だけだって知らない男子は旦那さんだけってことになるのかしらね」


「多分、そんな感じ。他は気が付いてるかどうかはともかく、実践はしてるし…」


「それで、アタシたちにも黙ってた理由は聞いてないんだけど……」


「いや、それは……なんか男子と一緒に行こうとすると何故か2人きりになりたい奴が多くて見せる機会がなかっただけだよ。 ケンジロウと何度か一緒した時には必ずサリちゃんも一緒にいたから、彼女は知ってるはずだけど…」


「あの子…か。 あまり喋らないから、情報が来なかっただけ…か。(…しかし…ェリォッ…ナイショで…2人…せないわね…)」


 なんか、ディアラナが怖い顔になってる。

よく見るとメーナも似たような顔だし、レミーは呆れた顔になっている。

リサは…困ったような笑い顔で周りを見てるけど、何を困ってるんだろう?

それと、ケンジロウとサリエラが一緒にいるのが当たり前になってることに関して誰も突っ込んでない。

なんか、ユーリの裏話を聴いてるはずなのに、他の子の裏話を聴いてる気がするのはなんでだろう?

それはそれとして、おせんべい、だっけ。

これもクッキーやビスケットとはまた違う味で飽きない。

甘いのを食べた後に塩味というのもまた美味しい。


「それで、みんなにお願いなんだけど。アタシが単なる奢られ魔じゃないって知らないのはここに居る皆には話したから、後は旦那さんとリザっちくらいなんだよね。だからみんなにお願いなんだけど、どうにか旦那さんやリザっちと一緒になれる状況に協力して欲しいんだ」


「えぇと、それ旦那さんとデートがしたい、ってことですか?」


 リサがなにやら尋ねてきた。

急に顔つきが変わってるけど、どうしたんだろう?


「いや、別に2人きりじゃなくてもいいけど… アタシは自分の分は自分で払う女だって見せたいだけだし…」


「そうですか…それなら…」


「リサ、変?」


「ぇ! そ、そンなことないですよ?」


「確かに様子がちょっと変よね」


 あたしが疑問を口にするとメーナも追従する。

にしても、リサが慌ててるところは初めて見たかも…?

不思議?


「あぅ……本当になんでもないんです。気にしないでください。 それより、ユーリさんの事ですけど、要するに自分のイメージを変えたいという事でいいですか?」


「いや、もう手遅れじゃないの?」


「うん、手遅れ」


「無理でしょ」


「みんなちょっと言い過ぎよ。ホントの事だからって言っていいことと悪いことがあるわよ」


 リサが強引に話を変えたけれど、それは気にしないでおく。

それよりディアラナの手遅れ発言に便乗した私とレミーも酷いけど、メーナの発言が一番酷い気がする。

あ、みんなの口撃を受けてユーリが沈没してる。

生きてるんだろうか?

それはそれとして、このダイフクという食べ物はなかなか良いものだ。

たしかアンといったか、中のクリームといちごが私に幸せを呼ぶ。


「そもそも、最初に打算で動いたのが悪いんだし、仕方ないじゃない」


 ディアラナが正論で追撃する。

流石に止めてあげて欲しい。

彼女の生命力ライフはもうなさそうだ(0っぽい)

なんかヒクヒクしてる。

泣いてるのかな?


「それなら、みんなだって何か隠してるでしょ?」


 あ、生きてた、それに泣いてなかった。

生き返って反撃を始めたみたいだけど、何を言ってるんだろう?


「皆もこの学園になにか目的があって入ったんじゃないの? あたしの分は話したんだし、ここらで一発話してみない」


「べ、別に目的なんてないわよ」


「果たしてそうかな。例えば……お嫁さん!」


「「!」」


「あ、やっぱり反応したね。メナちんだけでなくリサっちもか」


 メーナとユーリが何かやりあってるけど、なんでリサまで赤くなるんだろう。

よく分からない。

あ、この芋まんじゅう美味しい。

芋のアンにわざと潰していない塊も混ぜてあって食感が楽しい。


「あとは……ディア姐とエメリーだけだね。聞いていないのは」


「ちょ、ちょっと別に本当に目的なんてないってば。違うんだからね。 ……ぉ…さんとか…ずかし……のに」


 メーナが何か言ってるけれど声が小さくて聞こえない。

何を言っているのか気になる気もするけれど、聞くと後が怖そうな気がする。


「はいはい、それはそれとしてディア姐の目的って何?」


「私か。当然王宮の女性騎士になることだが…」


「王宮騎士、特に女性がほとんど採用されないって知ってるよね?」


「無論だ。だがあえて、そこに挑みたいと思っている」


「うわっ、目がマジだ。本当に本気っぽい。ところでエメリーは?」


 こっちに話が飛んできた。

ディアラナの話はいろいろ聞かないんだ。

まぁ、いいけれど…私の目的…目的か…

私はジュースをおかわりしながら考える。

あ、この学園に入った動機なら……


「ん~。ここ卒業したら父様が美味しいものを食べさせてくれるって言ってた」


「……あぁ、そう……えっと、ほかに何か……」


「ほか?」


 ほかに何かあるんだろうか?

この世の中に美味しいものを食べる以外に目的って……んにゃ?

このどーなつというのも美味しい。

確かさーたーあんだきーとなんばこの詰め合わせとかいうよく分からない名前だったけど、こんなに美味しいとは、今度別の詰め合わせも買ってみよう。

もう一種類のどーなつ?をかじりながら次は何を食べるかを考える。


「…もういいや。なんとなくわかったから……」


「なんていうか、この子見てると毒気が抜かれるわね。ユーリにお仕置きするのは確定だけど、それはあとにして、この後どうする?」


「どうする、とは?」


「メーナさん?」


「ちょっと、なんで私がお仕置きされなきゃいけないわけ!?」


「当然じゃない、それともお仕置きよりもう一つ上の奴がいいのかしら…」


「ご飯のおかず奪うことで勘弁する」


「……それも面白そうね」


「ちょ、私のおかずが悲惨な事になりそうなんですけど!」


 ユーリが何か言ってるけど、もう決まったこと。

ユーリのお皿から1つ何かを貰える。

……よく考えたらものすごくひどい罰だ。

こんな悪魔の如き所業を考えてしまうとは私は自分が恐ろしい。

だけど、美味しく食べられるものは美味しくいただく主義だ。


「ところで、メーナ。『この後どうする』とはどこで食事をするか。と言うことだろうか」


「そうそう。どこかいいお店とか知ってたりする?」


「リ・オルナスの日替わり定食!」


 わたしは即座に反応した。

探索者や行商人が多く泊まる評判の宿屋だが1階が食堂になっていて日替わり定食は味とボリュームの割にかなり安い。

わたしのオススメだ。


「あそこか、手頃だし良いかもしれないわね」


「確かにあそこの料理は悪くないな」


「文句なしだね。おかずを奪う件に関しては文句ありだけど……」


「リサもそこでいいか?」


 会話の意味がわからないのか、話について行けなかったリサにディアラナが助け舟を出した。

それとも、あそこの料理は美味しいのに何か問題があったんだろうか?


「私は行ったことがないのでわかりませんけれど、皆さんとご一緒で大丈夫です」


 行ったことがないのか。

それはかわいそうだ。

美味しい料理を食べたことがないのは悲しい。

ユーリから貰ったおかずの半分をリサにあげることにしよう。

そうと決まれば早く行くに越したことはない。

私は自分のおやつ・・・・・・を収納バックに仕舞い込みいつでも出れる準備をする。

今日の日替わりは何だろう。

すごく楽しみだ。


「じゃあ、行こうか」


 ディアラナの声でみんな席を立ち、移動を開始していった。

みんなでご飯はとても楽しみだった。


次回、試験、結果、バケーション!


ちょっと、リアルの都合で投稿は一時中断致します。

詳しくは活動報告に書いております。

合格さえしてしまえば……

http://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/282589/blogkey/740239/

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