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チート過多でのファンタジーライフ  作者: 老 左伝
第2章~少年時代1~
30/42

(22)新しい環境は試練の連続のようです

新展開、スタートです。

 





 あれから数年が経ち、僕は12歳になりました。

あれから、外に出て魔物退治やダンジョンを経験したり、家庭教師から教わる範囲の授業を終わらせたりしていました。

最近変わった事といえば、騎士養成学園に入学することになった事くらいでしょうか?


 この国の貴族や騎士などを目指すものは、騎士養成学園で3年ほど武芸や知識、礼儀作法などを勉強するのが一般的らしいです。

貴族でない普通の市民でも成績次第では入学可能になるように出来てるみたいです。

普通の市民の場合、教会で8~11歳の子供を集めて週に3日程度勉強を教え、親は教会に寄付をするというのが当たり前の世界でここに通うのは一種のステータスにもなるそうです。


 これは市民に教養を与える政策として何代か前の国王が決めたことのようで、今ではこの国に浸透しています。

貴族の場合は家庭教師を雇い、付きっきりで教えたりするので、その分だけ受験のスタートが違うことになり、市民で騎士養成学園に入学できるというのは、それだけ努力できる優秀な人材になるという事のようです。

前世の知識と家庭教師組だった僕からすると、ここの受験は結構簡単でした。

小学2~3年レベルの勉強と簡単な演武をしただけでどうやら合格したようです。


 と、前置きが長くなりましたが、僕もこの秋からここ、ジルドニアン学園の生徒になることになっちゃいました。



 

「これがジルドニアン学園か…結構大きいな。広さ的に大学の大型キャンパスくらいあるんじゃないのか、これ?」


 学園の入試を普通に突破して僕は校舎を前にして結構な豪華さに驚いていた。

自分の住んでいる王都でもコッチ方面は初めてだったから、最初はこんなところに学園があることを全く知らなかった。

入試は別の校舎でのペーパーテストと第4グラウンドでカカシへ武器と魔法の打ち込みをやっただけだから本校舎を見るのはこれが初めてだ。

別校舎との位置関係から考えてもマジでかなり広いぞ、この学園。


 それにしても今日は何やら朝から不幸だった。

出かけるときに靴紐が急に切れたり、貴重品の鏡が割れたり、出かける時にカラスっぽい黒い鳥が騒いでいた。

あまり信じたくはないけど、合格しての登校初日にこういう事が続くのはかなり嫌だと思う。

思わず、忘れ物や何かミスがないかどうかチェックしたよ。

大丈夫だったけど…

ところで最初の集合場所は…と、受付にて入学番号ニューナンバーの紙を提出とあるけど、受付ってどこだ?

誰かに聞いてみよう。


 あ、丁度あそこに黄色い腕章をつけた上級生っぽい人が何人か立っている。

もしかしてあそこか?


「すみません、ちょっと聞きたいことがあるのですけど」


「ん?新入生か」


「えぇ、ここが…」


「いや、皆まで言うな。新入生なんだ、受付の場所でも聞きたいのだろう」


「え…えぇ、そうです」


 どうやらここじゃなかったらしい。


「それで、どこにあるのでしょう?」


「入学番号は何番だ?」


 え?入学番号で分かれているのか?

えぇと…No.53か


「えぇと、僕の入学番号は53番です」


「何!50番台だと!なら……コース……、よし! 非殺傷の武器は持ってきてるか? もしも無いならすぐに貸してやってもいいぞ」


 何?この展開、なんか話しかけた一人がやたらと嬉しそうなんですけど。

嫌な予感しかしない……ところで50番台ってなんだ?


「えぇと、専用武器を所持するようにとありましたから、一応コレは非殺傷にもなりますけど……」


 専用武器を持ってくることと書かれていたから魔導棍持ってきてるけど……

なんか面倒なことにならないといいんだが……


「まず俺と戦い、勝ったら教えてやろう、勝てなければ先に進むことはできん」


 デスヨネ~!

なんとなく予想してたけど、やっぱりそういう展開になるのか。


「少し聞いてもいいでしょうか?」


「なんだ?」


「どうして戦わないといけないんですか」


「伝統だ! 新入生はこのレクリエーションをやるのが決まりなんだ。ほかの質問は無いか、よし無いな!早速始めよう!」


 なるほど、レクリエーションなんだ…

そういうことなら……楽しんだほうがいいのか?

にしても、人の話を聞かない先輩だ…それに、おあずけ食らって待ちきれない犬のような目だし……

これは他の質問を聞いても無駄…かな…


「俺は2年F組のオリバーだ」


「えぇと…僕は新入生のディレットです」


「よし、勝負だ」


「……わかりました」


 これ以上引き伸ばしても無駄だ…さっさと始めたほうが良さそうだ。

先輩は木製の大剣を地面に置いてあった箱から取り出して構え、僕も自分の棍を準備する。


「ほぅ、棍使いは珍しいな」


「双方、宜しいですか?」


 いつの間にか他の上級生が審判になってる。

気持ちを切り替えて手合わせしよう。


「では~、レディ~ ファイッ!」



 同時に飛び出す上級生と新入生!

大上段から勢いに任せた振り下ろしと横に構えた棍からの薙ぎ払いが激突する。

ぶつかった衝撃で上級生の方が一歩押し返される。

その隙を逃さず新入生は一歩前へ踏み込み、逆薙ぎに棍が振るわれる。

前方に出てくる新入生に対して、上級生は大剣を袈裟斬りに振り下ろして迎撃をしようとする。

その攻撃に気がついた新入生が棍で受け止めようとしてるかに見えたが、気がついたら大剣がそこに何にもなかったかようにあっさりと振り抜かれていた・・・・・・・・

当然、大剣は新入生に当たっているはずもなく、いつの間にか上級生の真横に立っていた新入生の棍が上級生の喉元に突きつけられていた。



「ま、まいった…」


 うわぁ、なんとか勝てたけど、今の一撃は結構危なかったなぁ。

今の・・状態ではスピードで先輩に劣るけど、その他では勝っていそうだったから一気に勝負をかけようとしたけど、態勢を崩してる場所にすかさず進み出てか仕掛けた追撃にすぐ対応してきたよ。

しかも、態勢を崩していたはずなのに今のは力と速度がかなり乗った一撃だったよ。

上手く先生直伝の受け捌き(透避)が成功したからいいけど、そうじゃなかったら…

まず間違いなく吹っ飛ばされていただろうな。

さすがは上級生といったところだろうか。

普段はともかく戦闘中は5倍の重力にしていないと、やっぱり危険だな。


「凄いな、まさか新入生がオリバーに勝つとは思ってもみなかったよ」


 審判の人がそう言ってくる。

え?勝たないと受付の場所、教えてくれないんじゃなかったっけ?


「あの… 勝たないと先に進めないとか行ってませんでした?」


「最初に入試を見て大体の試練が決まるんだ、君の番号なら…あと2回試練を残してる」


 何だ、その展開!

それにしても、勝たなくて良かったのか?

なら、入試で合格してるから次はもっと弱めで行かないと目立つかな。


「なにせ、たまに試験に替え玉を使うような輩がいて、入試時と登校時の実力に差があるという事態があったりしたんだよ。これはその対策として生まれたこの学園の伝統なんだ。だから精一杯やる気を出したほうがいいぞ」


 ……前言撤回、それなりに動いた方が良さそうだ。

それにしても、誰だ! 最初に替え玉なんか使った輩は!

試験は自分の力でやるものだろうに…


「よし、君の次の行き先だが……あそこを降りた所にある練習場の紅いハチマキの係員の所へ行ってくれ」


「わかりました」


 仕方ない、行くか…

と練習場へ向かってもう着くという時に空からおんなのk、じゃなくカミナリが振ってきた。

今のは雷系属性魔法の『轟雷撃ブリッツボルト』か?

あれって確か高位魔法だったよな…

新入生でアレ使えるのがいるのなら『猛吹雪ブリザード』位なら平気そうだな。

一応、念のため魔導棍での増幅は使わないでおこう。

お、見えてきた。

結構な威力だったみたいだな、練習場が焦げてるけど…っと見ている間にみるみる整地されていく。

あれは…土魔法か。

赤いハチマキをした人が『土操作テッラ』を使っているのがわかる。

基礎中の基礎だが、効果範囲と展開速度が結構凄いな。

あれが先輩の実力か…

今度は石の柱まで出てきた。

あれは…攻撃魔法の応用だろうか……とんでもない技量だなぁ!

とにかく近づいて話さないと。


「すいません、入学番号53番なんですけど、試練を受けに来ました」


「おゃ、もう次の挑戦者が来たんですね、僕は3年のセキダといいます。ここでの試練はそこの円の中からあの石の案山子カカシに向かって魔法を撃ってもらうことです。威力・範囲・早さ・射程が高い程いいので、普段通りにやってみてください」


「はい、では始めますね。あ、これ持っててもらって良いですか」


 僕は魔導棍を係員の先輩に預けてから白い円の中に入って普段通りに詠唱破棄・・・・で魔法を解き放った


「『ブリザード』」


 極低温の猛吹雪が練習場全体に吹き荒れ、氷と雪の嵐が石の柱を削り砕いていく。

一応、魔導棍の増幅は使わず久しぶりに素の魔力だけで魔法を放ったけど、なんか思ったより威力出てるような気がする。

もしかして……やりすぎたかな…


 後ろの係員の先輩を見ると……多分…びっくりしている…

固まったまま動かない…


「あの~もしもし、大丈夫…ですか?」


「あぁ、いやちょっとだけ驚いたんだよ。まさか入学前で派生系の高位魔法をすぐ使えるような新入生に連続で出会ったのでね」


 やっぱりさっき『轟雷撃ブリッツボルト』使った新入生がいたんだ。

あれ?でも…驚いてるってことは……使わない方が良かったか…

前例があるなら大丈夫だと思ったんだけどなぁ……

どうも普通の新入生のレベルというのが、どの程度なのか分かっていないんだよなぁ。

家での訓練だと先生もシャルちゃんも驚かないから、これ位が当たり前になっちゃっていたものなぁ…

自分ってどのくらいの辺にいるんだろう?


「えぇと、考え事をしてるところ悪いんだけど、次の試練を案内していいかな?」


 どうやら自分の思考に夢中になっていて先輩を待たせてしまっていたみたいだ。

考え事もほどほどにしないと。


「すみません、次はどこに行けばいいのでしょうか」


「本校舎3階にある薬学実験室に向かってくれるかな。多分白のネクタイを付けた人がいると思うから」


「3階の薬学実験室ですね。わかりました」


 僕はさっそく本校舎へ向かった。

去り際にセキダ先輩が『もうちょっと早く……ていれば僕の……だろうに』とか呟いていたけど、もしかして今の術に対する採点か?

魔法はもっと早く撃たないとダメなのかな?

ビックリしてた様に見えたのは新入生に自信を持たせるための演技だったのか…

なるほど、精進しないと…

気を引き締め直して僕は薬学実験室を目指すのであった。




 でも……次の試練が面倒なものじゃありませんように……


次回、試練、教室、スリーパー!


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