(20)偏屈な職人はどこにでもいるようです
専用武具に関して動き出します。
色々考えたが、剣以外の武器も色々見ておきたいと思った。
覚悟をするにしても、実物を見て色々とイメージしたいと思ったからだ。
そんなわけで、武器の実物を見たいという事を先生に相談した。
最近、頼りにしっぱなしで申し訳ないけど、年齢的にはまだ幼児ですから、僕。
「そうですねぇ…王宮に武器を卸してる腕利きと評判のドワーフがいるらしいんですが、その店に行ってみますか?」
ドワーフか、鍛冶なんかが得意な種族というのはこの世界でも定番らしい。
1回も会う機会がなかったから、かなり楽しみだ。
どんな種族なんだろうか?
「帰んな」
いきなり門前払い!
頑固な岩親父といった風貌に低い身長、豊富な髭と筋肉質な体、ドワーフのイメージそのままのおっさんだったが、僕の武器が欲しいという話をしたところ、いきなり帰れと言われた!
なんだいきなり…何かやったか?
「そいつに見せる武器は無い」
「何故です?王宮の兵士には武器を納めてるらしいのに彼に武器を出せないというのはどうしてですか?」
「……魔道具作る小僧に見せるような武器オイラの店はないと言ってるんだ!」
腕は一流らしいけど愛想は最悪だな…魔道具作るって…それで嫌われてるのか?
どういう人なんだ?
名前:ローガン
性別:男
種族:ドワーフ
年齢:Age58 (29換算)
所属:サルトロンディ共和国
職業:密偵の鍛冶師
レベル:Lv22(正常)
補正値(元値)
HP/生命力:510/510(510)
MP/精神力:510/510(510)
攻撃力/力:59/59(52)
防御/体力:58/58(51)
命中/器用:66/66(53)
魔力/賢さ:55/55(49)
回避/敏捷:55/55(49)
SKILL 道具作成/鍛冶/武器:Sr54(44) 武器作成に特化。器用Sr÷4
武芸/格闘術/拳撃:Sr36 素手で相手を殴る技に精通。力・体力Sr÷5
魔法/付与魔法/防具:Sr31 防具を強化する。賢さにSr÷5
会話/街中/噂話:Sr34 噂話を集めたり広めたりする。交渉ボーナス
シーフ/諜報/聞き耳:Sr28 会話の盗み聞きに補正。知覚系ボーナス
シーフ/諜報/監視:Sr26 対象の動きを見張る。知覚系ボーナス
シーフ/諜報/尾行:Sr39 対象の後を追いかける。敏捷Sr÷6
交渉/裏社会/調達:Sr33 非合法にアイテムを調達可能。交渉ボーナス
目利き/鍛冶/武器:Sr42 武器の値段を鑑定できる。交渉ボーナス
!?
密偵!?しかも他国所属!
しかも、王宮に武器納めてるって…おいおい、まさか…
これは後で要報告だな…
サルトロンディ共和国は確か…中立国宣言をしているドワーフとエルフの議員制の国で中でも秘薬と呼ばれる高位ポーション類の生産ができる唯一の国だったっけ。
そのため各国の戦闘ギルドに顔が効き、動員兵数は侮れないという国だっけ…
この世界の軍事力は兵数もそうだがなにより戦略級魔法が物を言う。
通常15人以上が同調詠唱をして、全員がギリギリまで魔力を出し合って発動するソレは近代兵器のミサイルにも劣らない大破壊を撒き散らす。
この魔法の威力、精度、効率が良い国ほど強いとされている。
噂ではイーサン帝国は1位、ジルドは2位に位置している。
3位になると言われているのがサルトロンディ共和国だ。
だから、警戒して探りにくることはありえると思うのだが…王宮に潜り込めそうな位置にまでいるのはさすがにヤバイだろうとしか思えない。
噂話から考えると情報操作が目的か……
おや?
副長とドワーフ…ローガンの話が続いている。
止めておいた方がいいな。
ここにいつまでもいるのは危なすぎる。
「先生、もういいですよ」
「ディル君……いいのですか?」
「えぇ、これ以上話しても仕方ないでしょうから」
なにより信頼が置けるかどうかという話になると、絶対無理!
所属から密偵だって判ってしまってるし、こちらを嫌ってる相手から武器を見せて貰っても信用する気にはなれそうにない。
僕らは店を出た。
それにしても、あまり密偵らしくなかったな……
……僕が魔道具作れるのを知ってるのはらしいけど、なんでああも感情的になり過ぎていたんだろうか…
もしかして…あのドワーフは魔道具職人に何か恨みでもあったのだろうか…
「そういえばドワーフは魔道具を使わないという話は聞いたことがありましたが、まさか作る人間を嫌うほどだとは思ってもみませんでしたね」
「…もしかして、喋ってました?」
「はい、なんで…感情的に…とか、何か恨みでも、とかつぶやいてるのは聞こえましたね。でも、あまり気にすることはないですよ。恐らくあれはドワーフの種族的特性だと思いますから」
うわぁ、どうやら声に出していたみたいだった。
めっちゃ、恥ずかしい…
それにしてもドワーフって種族単位で魔道具嫌いなのか。
初めて知った、どういう理由なんだろうか?
とりあえず、僕らは他の武器屋を求めて歩き出した…
…リッド副長と武器屋を回ること全部で7件。
色々と見て回ったが、目を引いたのは長槍や斧槍、薙刀などの長柄系の武器と、杖などの魔法補助の武器だ。
リーチがある武器の方が返り血を浴びなくて済みそうというのと魔法をメインにして安定した遠距離に徹するかどうか、という事だ。
ん?
そういえば…
「先生、聴きたいことがあるんですけど、魔法の杖を使った戦闘術というのは無いんですか?」
「ん? ディル君は面白いことを考えますね。でも戦闘用の棍は別としまして、杖は魔法増幅の為の物でそれで戦うように設計されていませんから難しいと思いますよ。 なにより普通の杖では剣の一撃を受けたら簡単に斬り飛ばされますよ。 高級品に真鉄製の杖というのもありますが、それも打ち合いができるようには作られていませんから、剣を受け止めて使えなくなったという話も聞いたことがありますし、そもそも滅多に作られない品らしいですから、今から手に入れるのは難しいですね」
やっぱりダメか…
いや、まてよ。
確かこの前のメイドが持っていた武器は…
…あの金属調べてなかったな。
もし使えるようなら、自分の武器は自分で作ってみる方が良いかもしれない。
よし、屋敷に戻って見せてもらおう。
屋敷に戻ってナダリアがどこにいるかを探す。
中庭を掃除しているナダリアを見つけた。
駆け寄って声をかける。
「ナダリア、ちょっといいかな?」
「坊ちゃん、何か御用でもありますですか?」
「実は…しばらくその箒、貸してもらって良いかな?」
「え?これを…です? えぇ、坊ちゃんなら良いですけど…」
「ありがとう」
僕は箒を手にとってみた。
どうやら、少し興奮してるみたいだ。
なんというか未知の金属にワクワクしてる感じといえば分かるだろうか?
木目をはっきりさせた黒檀の木で作ったみたいな不思議な金属だ。
確かウーツ鋼とかいうのが前世にあったな。
こんな感じなんだろうか?
さてと、ここで僕はこの金属に対して鑑定眼を使うことにした。
鑑定眼全力開放!
金属:合金製、制作アイテム:第19732846582460番目、年代:387年148日10時間32分27秒前、製作者:ジョルジ、製作理由:優れた職人だったジョルジが失恋したため自棄酒を飲みまくり前後不覚になった状態でミスリルに真鉄、属性輝石などの材料を適当に坩堝の中に突っ込み奇跡とも言うべき調合で偶然出来た合金を酔っぱらいの腹いせで叩き鍛え続けた結果出来た棒状の塊の一部、切り分けるのに2年267日3時間5分49秒掛かっている、材料の成分は~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
うわっ、情報量が多すぎる。それに凄い疲労感が襲ってきた。
とにかく必要な部分だけを見ないと…え~と…
材料:魔真銀52.2486%、輝石33.4915%、真鉄13.8917%、炭素0.2416%、銅0.1126%、~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
基本構成法:魔真銀と4属性の属性輝石、または無属性の輝石に4元素の魔力付与を魔力結合をさせるために真鉄を溶かし込んで混ぜ合わせる、融け合わさった合金を折り返し加工を続けて鍛え、完成した塊を灼熱で柔らかいうちに絞り加工したもの、冷えて固まると再加熱しても変形しない。
なるほど、材料と作り方は分かった。
実践するには…お金かかりそうだなぁ……
にしても、物凄く疲れた。
一体どうしたんだろう…
MP/精神力:4913/24600(190)
ちょっと確認したらMPがごっそり減っていた。
一回で約2万弱の消費をしたわけか。
鑑定眼全力開放はやりすぎだったかもしれない……
とにかく、この金属を作り出してみよう。
それと、あとで当時の製作風景も過去視で確認しておこう。
次回、報告、新武器、パイオニア!
何を作る気なんだ、一体^^;




