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チート過多でのファンタジーライフ  作者: 老 左伝
第1章~子供時代3~
22/42

(19)父さまたちも昔はやらかしていたようです

やっと戦闘をちらほらと…

初めての近接戦闘です。

 





 街の外は平和だった。

いや、確かに一歩外に出たらいきなり襲われる世界というのは物騒この上ないけど、ここまで平和だと眠くなる…おまけにメイドがいるし…

これじゃ傍目よこから見たら、護衛付きでメイドとピクニックに出かけたただの子供だよ!

戦闘は? バトルは ?シュラハトは?

って、これもこれで戦闘狂バトルジャンキーみたいじゃないか…どうしよう…

あまりの長閑さに戦闘意欲たたかうきりょくが薄れていくよ。

いい天気過ぎて眠ってみたくなってくるよ。


「あの森の浅部に最近果実亀フルーツタートルが出没するらしいんですよ。目撃情報がつい先日なのでまだ近くにいると思いますよ」


「おいおい、低位の魔物だけど坊ちゃんの武器でアレと戦うのは難しくないか? あんまり出来ないことはやらせたくないんだがなぁ」


「僕なら大丈夫ですよ。あれくらい・・・・・の装甲なら問題ありませんし」


 僕はそう言って前衛の二人を安心させたつもりだったんだけど、後ろのナダリアが怪訝な顔をしてるのがちょっと気になる。

なにか失敗したんだろうか……それにしても眠い……

早く戦いたい。


「ま、それならいい。一応念のためにああは言ったが、俺と副長さんがいれば大事にはならんだろうしな」


 確かにあの亀・・・の装甲は斧で叩き割ったり、隙間を槍で突くなら簡単に突破できるだろうしな。

以前遭遇したとき・・・・・・・・は超能力でひっくり返した上に火炎を使って焼き亀にしたんだっけか…

甲羅だけ焼けずに残って、ソレを叩いてみたら確かに硬かったと思うけど、今の実力でも全力で振り抜けばこの剣で斬れる予感がある。

そろそろしっかり目を覚まさないと危ないよなぁ。

我ながら、すごい油断しまくりだと思う。

こういう時に限って予想外なことが………




……………………………………




 起きなかった。

野生の果樹の群生地の所に亀さんがいたよ。

ノンキに木に体当たりをして…あ、木が折れた……

……若い木を折ったり、折れなくても木を痛める行為をする亀か……

確かにアレは害獣だ。


「いましたね、アレと戦ってみましょうか」


 先生は事も無げに言う。

集団戦じゃなくて、一人で戦うんだ。

あれくらいならどうにでもなると思いますけど…

保護者同伴でみまもられながらの子供の狩り…か……なんか情けない。

まぁ、一人の方が理想通りにけんとまほうスタイルで戦えるかな。

僕は剣を抜いて亀に近づいていく。

亀は果物に夢中で気がついていない。

僕は剣をおおきく振りかぶって一撃をかました。


 かき~ん……

か、硬い、予想より硬い!

めっちゃ手が痛い、ほとんどダメージを与えることができていなかった。


「Gwaaaaaaah~」


 しまった、食事の邪魔をされてメッチャ怒ってる、こっちに気が付いて振り向きそう。

その前にもう一発、今度は本気で……


 ドゴンという音と共に亀を地面に沈めた。

今のは土の魔法剣で強化した剣を念動で威力を数倍に増幅した剣と魔法と超能力の複合技だ。

やってみたら地面が陥没するほどの一撃だったよ…

当然の様に亀を甲羅ごと真っ二つ、というか粉砕できた。

……けどここで問題が発生した。


「うわっ、なにこれ…」


 手応え、というかスプラッタな物を間近で見た上に生々しい感触…

おまけに返り血の匂いとねとっとする生暖かさと言ったら……きもちわるい…

思い返せば今まで戦った・・・・・・魔物は超能力か魔法の遠距離攻撃や木剣を使った撲殺で倒していたから、こうして接近戦で切り裂いたときの反応は実は初めてだったりする。

戦いに対する覚悟が足りないという言葉はよく聞くけど、今まで生きていた生き物が目の前でピンクの肉塊になってヒクヒク動いてるのを直視しながら、生暖かい返り血を浴びる覚悟まで現実に想定することができるかというと、どうだろうか…

その光景と感触までリアルに想像してる人はまずいないはずだ。

実際、目の前で見ると気持ち悪いんだぞ、これ……

結構精神的にクルものがある。

吐く前に精神安定を仕掛けるけど、気分はあまり晴れない。

今までどこか浮かれていた気持ちもはるか彼方にすっ飛んでいってしまった。


「すげえな、坊ちゃん。あの歳で一人で亀を倒しちまったよ」


「えぇ、そうですね、まさか2回の攻撃で終わらせるとは私も思いませんでしたけど……1時間はかかると思っていたんですけどねぇ…」


「今の攻撃…土の魔法剣の様に見えたのですけど、坊ちゃんってあそこまで強かったんですか?」


 色々言われているみたいだけど、剣の感触に違和感を感じている僕にはみんなの会話が遠くに感じる。

剣って僕には合わないかもしれない、使うにしても本当の意味で・・・・・・覚悟がいる。

その時、メイドと副長が同時に動いた!


「気をつけてください、何か来ます!」


「この匂いは犬、いえ狼だと思いますです!」


「ちっ、今からじゃ逃げられそうにねえなぁ」


 どうやらもう一戦戦わないといけないみたいだ。


「来ましたね、レイドウルフのの群れですね」


「大体2~30匹ってところか…坊ちゃんは大丈夫か?」


「そうですね……魔法、使っていいですか?」


「使ってくれるなら助かりますね、でも大丈夫ですか?」


「平気です」


 精神的に今はその方が助かりますし…

とりあえず…森で火は厳禁だよな、なら氷系に風系で…魔力圧縮発動!

イメージは氷雪の嵐、並列思考での複合魔法、これでどうだ…


「ブリザード!」


 僕の放った吹雪の魔法は広範囲に広がり、狼たちを雪や雹で打ちのめし、氷漬けにしていった。

……周りにあった果樹までもいっしょに……

やばっ、やりすぎた!

狼と一緒に果樹も雪と氷柱つららまみれにしちゃったよ。

戦闘態勢を取っていたはずの仲間せんせい達もこっちを見ている。

ちょっとかなりやり過ぎたかもしれない…

でも、狼たちは氷漬けになっているか逃げ出すかしていて、もういなくなっていた。

そんな中でナダリアがおずおずといった感じで聞いてきた。


「1発…って…えっ!? …坊ちゃん…今のって、高位の派生魔法…ですよね?」


「え、えぇ、多分そうですけど…やりすぎました…よね?」


「いや…凄すぎだろ! 普通坊ちゃんの年齢で出来る様な魔法じゃないぞ」


「本当に…魔法もとんでもないですねぇ……さすがは公爵様ご夫妻の息子といった所でしょうかね…」


 え?

なんで父さまや母さまがここで!?

もしかして、父さま達も昔、似たような事をなにかをやらかしてたのか?


「あの、父さまたちも何か凄いことをした事があるんですか?」


「え……えぇ…まぁ、色々と噂を聞いたことがありますけど……」


 先生が周りに視線を送っている。

どうやら困っているみたいだ。

そんなに言いにくい話なのか?


「別に話しても問題ないだろ、誰でも知ってるような話だしよ」


「私も聞いたことがあるです。奥様と旦那様の若い頃のお話は」


 どうやら援軍ながれはこっちに味方してるみたいだ。

父さまたちの過去の話が聞けそうだ。


「まぁ、私も人から聞いただけの話なんですが、公爵様は13歳の頃、危険だと言われてる魔物の一つ、ポイズングリズリーを無傷で倒したことがあるとか…奥様は8歳でマッドフロッグを風魔法でぶっ飛ばしたとか…」


 父さまも母さまもなんかとんでもない軌跡を残していたのか…

そこに僕の『狼氷漬け事件』が加わる…と…

……なんか違和感がまったく無いのが逆にイヤだな…

世間様の評判を気にするには、色々やってしまった後だと今更っぽいな…

本当に…何をやってるんだろう……


「とりあえず、倒した分は剥ぎ取って帰るか」


「そうですね、あたしもお手伝いするですよ」


「では、ディル君、魔物の剥ぎ取り方も実践しましょうか」


「…はい」


 帰る前にもう一つ試練があるようだ。

グロいのに耐えられるだろうか…

覚悟決めるのに少し勇気がいる。




 その日、討伐から帰った僕は初めて家で食べる夕食を残した…

やっぱり、しっかり覚悟を決めないと色々と難しいかもしれないな…


次回、ドワーフ、箒、メモリーズ!



覚悟を決めるとき細部までリアルに想像していたら、予想外なんて言葉はなくなるでしょうね。

親も親で大概な軌跡を残してますね、世間様から見たら似たもの親子で片付いてしまう。

それがむず痒いお年頃…ですね^^

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