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チート過多でのファンタジーライフ  作者: 老 左伝
序章
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(2)自業自得は天界でも有効なようです

まだ天界にいますねぇ。

早く転生して欲しいんですけど。


ご要望にお答えして、何話か前倒しすることになりました。






 とりあえず、『道がわからない』なんてことはなく天使さんおねえさんも見えてきた。

あれ、なにかめてるみたいだな…また絡まれてるのか?


「……しかし、規約は規約だ。実行しないわけにはいかないぞ」


「でも、私みたいな下っ端の神力じゃ全存在かけても足りるかどうかですよ」


「しかし、やってしまった以上は責任をとらないとどのみち一緒だぞ」


 天使同士で何やら揉めてる…のか? 

用事もあるし話しかけてみるか。


「あの、どうかされたんですか?」


「ん?」


「あ、さっきの…」


「いや、何でもない、ちょっとトラブルがあっただけだ…ん?…魂なのに話してる事が聞こえるのは珍しいな」


「えぇ、らしいですね。ところで責任を取るとか全存在をかけるとか気になることが聞こえたんですけど…」


「あ、聞こえてたんですか。すみません、私がちょっと失敗をしてしまったので責任を取らないといけなくなりまして……」


「あ、おい、下界の魂にそんなこと話してどうする」


 男性?天使に天使さんおねえさんが怒られてる、というか上司と部下…なのか?


「まぁ、いいじゃないですか。話せばスッキリすることもありますし、私もさっき助けていただきましたし」


「…まぁいい。下界の者に話したところでどうにもならんと思うが、こいつがさっき徳の高い魂を下層送りにしてしまったのだ」


「だけど、わかるわけないじゃないですか! 私に掴みかかってくるような人が多くの人の人生を救ってきた聖職者だったなんて……」


「そこは運が悪かったとしか言えんだろう。数日後に生まれてくる初めての子供を楽しみにしていた父親でもあったのだからな」


 なんとなく事情はわかった。

徳の高い人を地獄かどこかに送ったので怒られてる、というか責任を追及されてるのか…


「幸いにもすぐに発見されたので上層部にて転生準備に入っているが、天界の規約でミスをしたものが好条件を補償ほてんしなくてはいけなくてな…それを準備させようとしてるわけだ」


「でも、転生世界と転生位置の確定にどれだけの神力が要ると思ってるんですか…そんなの私の神力じゃ足りませんよ」


「しかし相手は中級神のお気に入りだぞ、それに相手の条件がそれだけであった事もまだマシだと思うがな、覚悟を決めて絞り出すしかあるまい」


「あの、お姉さん? 転生世界と位置の確定ってなんです?」


「あ、えぇと相手方の希望が元の世界の家族の元へ戻りたい、というものらしくて、そのために必要な準備を用意しなくちゃいけないんだけど…人間で言えばお金が足りない状況なのよ」


「お金か…確かに言い得て妙だな。さしづめ、今の状況は給料が安いのに事故を起こして全額自腹で払わないとけない状況で、借金で一生タダ働きどころか自分を売るしかない、といったところか」


 ん? あれ? これって……


「そのための準備を迫られてるってことですよね……あの、これ、使えます?」


 さっき引き当てた7等の賞品チケットを見せる。


「え?」


「ん! これは転生世界と身分/才能の確定許可証だと! なんでこんな物を持ってるんだ!!」


 二人?とも驚いてるな…7等って貴重なのか?


「確かに、使えます、けど、これって……」


「あぁ、ぶっちゃけるならお前の全存在よりも重い。これ1枚でお前の命を丸ごと神力還元しんりょくかんげんするよりも高価なチケットだぞ」


「使えるんですね? ならこれをゆずればお姉さんは助かります?」


「いや、確かに…助かるだろうが…コレ、お前払い返せるのか?」


「無理ですよぉ、ここまで高価な品にどう返せというんですか」


「いえお返しとかそういうのじゃなくて、譲ります」


「はぁ!?」


「えぇぇ!!」


 なんか驚き、を通り越して驚愕きょうがくされてるな、やっぱり貴重なんだろうな、コレ。


「いや…やはり、まずい、天使が施しを受けるというのは状況的に問題あるし、何よりモノが高すぎる」


「お姉さんを助けるために献上して無理やり押し付けたというのはダメでしょうか?」


「む…いや、それなら…しかしそうなると逆にお前がペナルティを受けることになるぞ?」


「どんなのです?」


「自分の元いた世界への再転生を禁じるというものになるだろうな、だからやめておいた方がいいと思うがな」「え?え?」


困惑している天使さんおねえさんそっちのけで話が進んでいく…


「まぁそれくらいなら仕方ないですけど…」


「お前はそれで良いのか!? 取り消すなら今のうちだと思うが…」


「いいですよ、じゃあ、これを」


 そう言って7等のチケットを気が進まなそうな天使おにいさんに握らせる。

まぁこれで、このお姉さんは消えなくて済んだわけだ。やっぱり女の人が消えるのは良くないよね。

ちょっと勿体無もったいないかな、と思ったりしたのは仕方ないと思う。

欲は誰にでもあるし、ちょっと格好つけすぎたかな。

というか無理したかもだけど……反省はしても後悔はしない。


「わかった、ならこれを上層うえに持って行けば今回の件はこれで終わりだ」


 そう言って天使おにいさんは消えた。目の前で消えるのはちょっと驚くな、やっぱり。


「…………………………………はっ、あの、いいんでしょうか?」


 あ、天使さんおねえさん、どうやら困惑から戻ってきたみたい。


「いいんじゃないでしょうか、今回の件は終わったみたいですし、誰も損をしていないでしょ」


「そんなわけ無いじゃないですか! あんなに貴重なものをポンと出しておいて、損をしていないなんてあり得ないですよ!」


 半分泣きながら怒って説教?してるけど美人ってどんな顔してても美人だなぁ、と変なところに意識が向いてしまう。

僕も男だよなぁ、うん。


「でも、抽選でたまたま当たっただけですし…別にいいんじゃないですか?」


「それだけじゃないでしょ、ペナルティを受けたんですから…」


 そういえば、元の世界にはもう転生できないんだっけ…まぁ仕方ないか。


「そんな大したことじゃないですよ、ところでこれからもう一回転生に並べばいいんでしょうか?」


「大した事ありますよ! 本当に、もう…お人好しですよね…怒ってる私がただのばかみたいじゃないですか」


「そうですか? まぁ怒っていられるよりは、笑って感謝された方が嬉しいので怒るのはもうやめにしませんか?」


「はぁ……そうですね。すぐに転生できるということから貴方が善人であるだろうというのはわかっていましたけど、ここまでお人好しだと逆に心配になりますよね」


 お人好しか…確かにそう言われたこともあった気がするけど、それってどうなんだろう。

それは親や祖父母からの、教育の賜物たまものな気もするんだよなぁ。

まぁいまさら性格を変えることはできないんだし、したくない、というか転生後ってどうなるんだろう?


「それよりも、お礼が先ですよね。本当にどうもありがとうございます。私に出来ることがあれば全身全霊でお応えしなければいけないんでしょうけど、何をしたらいいのか…」


「いえいえ、そんな大層な事じゃないですから。ところでさっきも聞いたんですけど、もう一度転生の列に並べばいいんでしょうか?」


「あ、はい、そうなりますね。もう一度行き先を決めてもらう必要があると思います」


「では、ちょっと行ってきますね」


「あ、ちょっと待ってください」


 行列に向かおうと歩き始める前に、天使さんおねえさんに呼び止められてそちらを振り返ってみたら、何かを差し出されていた。

これは……メガネ? え? なんでメガネ?


「こんなものでお礼になるとはとても思えませんけど、これを持って行ってください」


「メガネ?ですか。これは一体?」


 メガネ…か普通に考えれば視力矯正きょうせい用とかだろうけど、某エルフハンターの世界では尻を拭くのに使うという話もあったからなぁ…

……いまだにどういうふうに使うのか、予想がまったくつかないけど…


「一応、天界の品で加護が付いているものです。これを魂が付けて転生すれば色々なモノの情報を見ることができます」


「私が勤務しているエルディアラートという世界で試しに使ったときは、『ステータス』みたいなものが見れたので、他の世界でも同じように見えると思います」


 つまりは解析メガネか…これって凄い物なんじゃないのかな?


「いいんですか?これってかなり高価な物なんじゃ…」


「いえ、これはここの行列整理の応援に駆り出される事になったので、罪や業を見るため用についさっき買ったものですから、そんなに高価なものというわけではないんですよ」


「そうなんですね、それではありがたく頂いておきます」


「いえ、こんなのでお礼になるとは思いませんが、せめてもの気持ちです」


「いえ、助かると思います。どうもありがとうございました」


 そう言ってお互いに挨拶をして、また転生の行列に並ぶことにした。相変わらず行列は長いけどさばけていくのも早いみたいだ。


「はい、次の方」


 さっきとは別の部屋みたいな気がする。 受付の天使ふくびきのおっちゃんも違うし。

まぁ、新井式回転抽選器は一緒みたいだからいくつも窓口があるだけなんだろうなぁ。

とりあえずささっと引くか。



 ……あれ?……出てきた珠が虹色だった……文字も何も書いていない、虹色の珠……



 ふと見ると商店街のおっちゃん、じゃなかった受付担当の天使さんおっちゃんも硬直している。

とんでもないものを引き当てた気がする。


「………ま、まさか、本当に、あったのか…ただの伝説じゃなくて……」


 なんかつぶやきだした、硬直したかたまったままつぶやいてると、かなり怖いんですけど…

あ~…なんかこう…やっちった感が半端じゃない感じなんですけど……


「あの~これって…」


「……お、おそらく、と、特賞です…」


 とくしょう? 特賞! 特賞だよなぁ、普通は1等より上の……!!…えぇと…

次に引いたクジはなんか、とんでもないものだったみたいです。



 え~、あまりの事に自己逃避をした自分を許して欲しいと思う、今日この頃。


次回、世界、確定、ハイテンション!

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