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チート過多でのファンタジーライフ  作者: 老 左伝
第1章~子供時代2~
19/42

(17)星空の夜は活きる力を呼ぶようです

妙に書くのが大変だった。

コッチ方面は難しい…

 





 ある日の夜、少々チョコの食べすぎで眠れなくなってしまい、屋敷の中庭に足を運んでみた。

どうやら手作りなせいか普通のチョコより興奮剤っぽい気がする。

そういえば、チョコレートはその昔、神の食べ物と言われていたとか聞いた記憶があるな。

品種改良していないカカオ?だと効力が強いとかなんとかかもしれないな。

今後は食べ過ぎに注意しよう。

それにしても、今夜はいい天気だ。

外は雲一つなく、空一面を星が埋め尽くしていた。

澄み渡った涼しい空気を吸いながら一人で星を眺めていると、幸せとか不幸とかそういうものをどこか超えた、何ともいえない気持ちになっていく。

そんな空気に浸っていると、誰かがやってくる気配がした。


「あれ…ディル…くん?」


「…シャルちゃんか、どうしたの? 眠れないの?」


「うん…めがさめちゃって…ごめんなさい…」


「何も謝ることなんてないよ…それより上、綺麗だよ、見てみなよ」


 僕が空にまたたく一面の星空を示したことで、少しリラックスしたみたいだ。

僕の座っているベンチの横に座って、一緒に星を眺める。

でも、シャルちゃんからまだなんとなく緊張している気配がする。

そういえば、シャルちゃんと2人だけで話したのって初めて会った時の樹の精霊の前でだけだっけ、それ以外はいつも大人が傍にいたし…

もしかして、初めての状況で何かが怖いのかな?


「ねぇ、シャルちゃん。 怖い?」


「え!? ディルくんのことはこわくないよ」


 そう答えたシャルちゃんだったが、一瞬ビクッと体を震わせた感じがした。

怖いと聞いただけなのに僕の名前が出てきた。

やっぱり僕を……いや多分…嫌われることが怖いんだ…

ここは、僕が抱えてる恐怖・・・・・・を見せたほうがいいのかも知れない。

この星空があそこに似ていたからかもしれないけど、丁度思い出していた。

かなり恥ずかしい話だし話したいような内容じゃない、だけど…向き合うために…



シャルナちゃん・・・・・・・僕はね、怖いんだ」


「…え?」


「僕は、自分のためを本当に思ってくれていた人を傷つけてしまったことがあるんだ」


 あの時の事件はまだ覚えている。

僕が超能力の恐ろしさを考えもせず、使い始めた頃の話だ。

1人の人間を殺しかけた。

元に戻ったはずではあるんだけど、それだけだ…

僕がしたことは変わらない。

それを考え出すと迂闊に力を振るえない。

あれから超能力で他人に『干渉』する能力、特にテレパス系は避けている。

無機物と自分に対しては使っているから戦闘用能力はこっそり上達してるんだけどね。


「それって、おかしをつくったとき、まずいおかしをたべさせちゃったの?」


「いや、お菓子は関係ないよ、僕には使い方を間違えると人を傷つけるような力があるんだよ」


 シャルちゃんのなんとも平和な返答に思わず苦笑してしまった。

なんでお菓子が出てくるんだろう。

ひょっとして僕の特殊な力=お菓子製作、という認識なんだろうか…


「シャルナちゃんが他の人には無い不思議な力を持ってるように僕にも特殊な力があるんだ、僕はその力の使い方を間違えたことがあるんだ」


 あの時、メイド長に対して思わず使ったテレパスで殺しかけたこと…その後にあったちょっとした重大な出来事…

さらに1~2年後にメイド長に別のトラブルもあったけど、そっちはいい思い出の方だ。


「僕はね、とっても悪いことをしてしまったんだ…でもね、それを助けてくれた人がいたんだ…そして、その人から言われた言葉があるんだ…」


「…なんていわれたの?」


「それは…『人は違って当たり前で、他人に心を見せても胸を張って誇れる生き方を目指せ』って言われたんだ」


 あの人?には感謝してもしきれない。

あの『間違った超能力』の後始末をしてくれた方だからなぁ…

そういえば、全然会いに行っていないや。

今度何かの機会に会いに行かないとな…


「シャルナちゃんは人と違う力を持ってるかもしれない、でもそれが理由で僕らがシャルナちゃんを嫌いになることはないよ」


「…え!? あの、それは…」


 シャルちゃんは戸惑っているみたいだ。

僕も踏み込んでるな、という気はしてる。

でも大人の都合で『本当の事』を当事者が知らされていないというのは違うと思う。

とはいえ、話せることは…話して良いことはそんなに多くはない。


「シャルナちゃんは怖いんだよね、好きな人に嫌われることが…でもねキミのパパもママもキミのことを嫌いなんじゃないんだ」


「…うそ…でも…だって…」


「シャルナちゃんが力を持っていることを知ったら襲ってくる悪い奴らがいるんだ。キミのパパとママはそれに襲われないようにするために頑張っているんだよ」


 子供だからといってちゃんとした情報を話さないのは間違っている。

起きた事、他人のした事を考えなしにすぐ周りに話す口の軽い相手は論外だけど、シャルちゃんはそういう事はしないって思う。

ちゃんと自分で考えられると信じてる。

だからちゃんと話すべきだと思う。


「…パパとママはおそわれたくないからわたしがきらいなのかな…」


「そうじゃないよ、シャルナちゃんや家族が危ない目に遭わないようにするのに一生懸命なんだ…でもね、シャルナちゃんがそのチカラを持って産まれたことはちゃんと意味があると思うんだ。だからそのチカラを嫌うんじゃなくて、どう使ったら幸せにできるのかを考えるのがいいと思うよ」


「わたしは…きらい…このチカラでしあわせなんて…」


「シャルナちゃんは自分が嫌いなのかな?」


 話していて見えてきた。

シャルちゃんはチカラと自分が嫌いなんだ、でも周りの人に嫌われるのはもっと嫌で…

うわぁ、しまった…僕はそんな子を修行に付き合わせていたのか…

力の使い方がうまくいっていないなぁとは思っていたけど、そもそも使いたいと思っていなかったのなら上達するわけもない。

それどころか、かえって逆効果だよ!


「え…その…」


 うわっ、やばっ!

さらに落ち込ませちゃう!

ここはなんとかフォローしないと…えぇと…


「僕はシャルちゃんが好きだよ。シャルちゃんは大切な家族だし、僕の父さまも母さまも、シャルちゃんのパパもママもセリオン兄さんだって本当にシャルちゃんのことが好きなんだよ。だからね、シャルちゃんは自分を嫌わなくていいんだよ」


 なんかシャルちゃんが泣きそうだ!

ここはどうにかして泣き止ませないと、え~と、どうしたら…


「大丈夫!シャルちゃんが悲しいときは支えてあげる。ワガママになってもいいし、甘えたくなったら甘えさせてあげる。みんなシャルちゃんが好きなんだから…だからシャルちゃんも自分のことを好きになって、無理しなくてもいいんだよ」


「…すき…好き・・でいていいのかな…」


「うん!もちろん」


 はぁ~、良かった、泣き止んでくれそうだ。

子供や女の子に泣かれるのはさすがに堪えるし、どうにかしてでも避けたいからなぁ…


「じゃあ…あの…」






 どうしてこうなったんだろう…

後ろ向いて、と言われたのでベンチの端に座って背中を向けたら、シャルちゃんが寄ってきて…抱きついて泣き始めた…

最初は戸惑ったしなんで泣き出すのか、泣かせないように頑張ったつもりなのに…

でも、なんとなくだけど、この涙は悲しい涙じゃない気がした。

それからしばらくして…シャルちゃんは眠った…僕に抱きついたまま……

……どうしようか…





 しばらくして念動とテレポートを使うことを思いつき、起こさないようにシャルちゃんを部屋まで運ぶことに成功して、彼女のベットに寝かせてあげた。

昔のことを少し話して僕も少し気持ちが楽になった感じがする。

最初の頃の気持ちを振り返ることができて『また明日頑張ろう』って思えた。

僕も自分の部屋に戻り、明日に備えて眠ることにした。


 どうかいい夢が見られますように……おやすみ…







―――――――――――――――――――――――――――――――――――







 次の日、僕はリッド副長と朝の鍛練に手合わせをしていた。

今日の武器は片手両手兼用剣バスタードソードだった。

フェイントを織り交ぜながら副長の槍と打ち合う。


「ディルく~ん、頑張って~」


 今日のシャルちゃんはとても元気だった。

すごく嬉しそうに応援してくれてる。

なんとなく頑張らないとという気になって手合わせにも一層身が入り、その日初めて手加減したリッド副長から1本取ることができた。



 シャルちゃんの雰囲気がどこか変わったのは良い事だと思う…んだけど…?

次回は閑話です。


というか連続投稿?

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