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チート過多でのファンタジーライフ  作者: 老 左伝
第1章~子供時代2~
16/42

(14)後悔することがあっても前に進むしかないようです

かなり辛い話です…

ここさえ超えれば…

伏線回収話です。

 





「先代の国王には2人の娘がいた。一人はエルフとの間に生まれた物静かな姉、エルザ。 もうひとりは人間との間に生まれた活発な妹、エリザ。 この2人はほとんど見分けが付かず、双子姫などど呼ばれていたよ」


 伯父上は昔を懐かしむ様な口調で話しだした。

伯母に姉が…いや、まて? どういうことだ!?


「そのエリザと俺ら兄弟は仲が良くてな、家を飛び出してはボウケンシャと言うのかな、それまがいのことをよくしていたよ。そんな中でな、何故か2人とも俺のことを好きになってくれたらしくてな、この姉妹と結婚することになったんだ」


 え? 2人と…


「あの、お嫁さんが2人って…いいんですか?」


「あぁ、王族は3人まで妻帯出来ることになっているんだ。ちなみに、貴族なら2人までは許されている。もっともただ1人のみに留めている奴が現在の主流だがな」


「知らなかった…」


 初耳な情報だった…

え?だからといってどうするって訳でもないですよ。

自分…6歳ですから……


「ははっ、今の主流からするともしかしたら知らない貴族が多いのかもしれないが、まぁ、そこは流せ」


「…はい」


「そんなわけで、嫁を2人取るになってしまった訳だが、ベルの奴はこっちが報告する前に自分の恋人を紹介してきやがったな。勿論、今のお前の母親だがな。エリザと俺ら兄弟が遺跡探索とかする時に一緒に組む事が多い位にしか思わなかったが、裏ではアイツが糸を引いていたようだ」


 親の恋愛話とか出会いとかって、他人から聞くとどうしてこう、むず痒くなるのでしょうね。

この自分のことじゃないのに恥ずかしい気持ち、何なんだろう…


「まぁ、互いに結婚することになって、それから1年後エリザからセリオンが産まれたんだ、しかしその時、同時に厄介事が起こってな」


「厄介事、ですか?」


「あぁ、今から12年前、俺たちの結婚のキッカケになった事件があったんだよ… ところでイーサン帝国についてどのくらい知っている?」


 え?急に話が変わった?

いや、関係があるのか?

確か…


「家庭教師から習った程度ですが、人間至上主義を掲げる軍事帝国で5大国の中で最強の軍事力を誇るのだとか」


「まぁ大体その通りだ、あの国には非公式に、亜人が人の上に立つことを絶対に許さない、という姿勢の過激な組織があるらしくてな」


「先代の正室エリザの母が病で逝去してな、側室であるエルザの母が正室になりそうになったんだ。 …結果としてエルザの母は正室になることはなかった。…暗殺……されたんだ」


 っ! まさか……! 仮にも1国の王族に対して、そこまでするというのか……!

だとしたら、あまりにも危険な組織だ。


「その時、偶然居合わせてしまったエリザとエルザも殺されそうになったんだがな。 俺らが間に合って…… いや、間に合ってはいないな…あの人は殺されてしまったのだから…」


 辛い、そして悲しい話だ…

人種が違うから殺す。

価値観が違うから殺す。

自分達と違うから、その相手には何をやっても良い…というのはあんまりだと思う。

僕に言うべき言葉はない。

僕よりもそれを痛感している人が目の前にいるのだから…


「だが、そこから約2年後…セリオンが産まれた頃だな、エルザは死んだ正室の娘でエリザとは双子だと偽装していたんだが…エルザが側室の実娘だということがその組織にばれた」


 やっぱり、そういう話か!


「その時に殺されたのは…セリオンを産んだばかりのエリザだ。 彼女はエルザの身代わりを演じて…殺されたんだ。 そしてその後…エルザはエリザになった」


 伯父上の顔には表情が無かった……しかしその顔は、どんな怒りの表情よりも怖い、と感じてしまった。


「しかし、勘違いだけはするなよ。 イーサン帝国に住む人々の大部分はただの善良な一般市民だ。 今の話を聞いたからといって、安易な復讐や差別には走るなよ」


 まさかのセリフに涙が出そうになった。

憎んで八つ当たりに走ってもおかしくないほどの仕打ちを受けながらも復讐心を抑え込む…

この10年、どんな思いで生きてきたのだろう。

普段の顔と全く違う、孤高な魂がそこにあった。


「…復讐しようと思ったことはなかったんですか?」


「そうだな…私が自分の事しか考えない男で良かったのなら…考えなしの復讐に動いていたかもしれないな…」


「そうですか……」


「復讐する権利・・を使うなら、それに伴い無関係のものに対する義務・・も生まれる。真に戦う相手を間違えることだけはできん!」


 権利に伴う義務…か。

そういえば『高貴なるものの義務』とかいう言葉も確かあったよな。

高貴さと言う権利には下の者を守る義務が生じるとかなんとか……

伯父は間違いなく『国王』なんだ!


「今までの話でわかったとは思うが、シャルナには1/4ほどエルフの血が混ざってる…しかし3/4は人間だ。 そのおかげで、種族を知ることができる魔眼では人間だと判断されるようだ…だからエルザの事さえバレなければこの秘密がバレることは無いはず…だった」


 だった…それが…答え…なのか…!


「しかし、シャルナは精霊魔法の素質を持って産まれてしまった。その為に魔法は使えずとも精霊と話すことが出来てしまった」


 確かに、精霊魔法はエルフ固有の魔法だ。

もしバレれば死んだはずのエルフの血を引く娘と伯母上を結びつける可能性は非常に高い。


「…私が娘は精霊と話せるという事実を知った時には、すでに娘の行動は噂になっていた。さらに悪いことに隠蔽に登録した娘とエルザ、2人が近くにいると両方とも隠蔽ができないという事態が発覚し……だから、私はエルザに頼み、王宮周辺の精霊が喋らないように不活性化の結界を張ってもらった」


 そうか、だから樹の精霊が元気がないという話になるんだ。

あれにはそんな理由があったんだ。


「エルザの正体だけはバレるわけにはいかないので、俺達は娘に近づいて平気な時間がほとんど取れず、さらには噂のせいで、誰からも相手にされずに可哀想な子という風になってしまっていた。俺は娘をほとんど救ってやることができず、寂しい想いをさせてしまった……俺は親としては失格だ」


 伯父上は声をあげずに涙も流さずいていた。


「この件に関しては何も言い訳はできん。しかし、あの子に幸せになって欲しい。その心に嘘偽りは無い! だからここ・・に連れてきたんだ」


「ここに…この屋敷に何かあるんですか?」


 ここに来てまだ何か秘密があるようだ…

秘密のオンパレードもいいかげんにして欲しい。

でも、僕たちはただ気が付かないだけで、親たちから見えない部分で支えてもらってるのかもしれない。


「お前が覚えている限りでこの貴族の屋敷に詐欺や泥棒が入ったことが一度でもあったか?」


 え? そういえば、噂に聞いただけだけど年に数回程度だけど貴族に対しての押し売りや詐欺、泥棒の被害に遭う屋敷があるという話を聞いているな。

でも、この屋敷にはそういうのはただの一回も来ていない。

そういえば屋敷の皆の中に隠密がいる、というアレだろうか…


「無いですね。屋敷の皆は優秀ですから」


「それだけではない。この敷地自体に特殊な結界がかけられている、万一に備えてな」


「王宮でなくて、ここにですか?」


「あぁ、王宮は性質上、他国からのお客を招くことが多いからな。そちらには有効範囲は狭いが別のものを用意している。この屋敷には『屋敷の主とその家族に有害なもの』の侵入を拒む広域結界が張ってある。そういう古代遺物アーティファクトを探し当てた知り合いから秘密裏に譲ってもらってな、10年前の事件を教訓に最も安心できるココに配置して安全地帯にした」


 王宮には他国から表向き国交のためという理由で場合によっては・・・・・・・害意を持つ相手が来る事になるから不適切ってことだろう。

だけど、ここを選んだ理由は他にも何かありそうな気がする…

聞いてもいいことかどうか、わからないけど……

でも、わかったこともある。


「それで、迷惑になる有害なもの・・・・・・・・・・が入れない、ここでなら遠慮なく愛情を注げるんですね」


「その通りだ。これが、秘密の全てだ。聞いた以上はお前にも背負ってもらうぞ」


 重いものを背負わされてしまった。しかしこの人たちが背負ってきたものを聞いてしまった以上、投げ出す気にはなれなかった。


「わかりました。シャルちゃんが幸せになれるその日まで支え続けていきますよ」


「お前は自分が幸せにしてみせる、とは言わないんだな…」


「先のことは誰にもわかりませんし、彼女の人生は彼女のものですから」


 僕はシャルちゃんのことは嫌いじゃない。

だけど5歳の女の子を婚約者とか彼女とか思うことはできない。

嫌われないように頑張ってる『妹』みたいな存在だったから…

兄性とか父性とかいう感じが一番近い…幼稚園の先生とかってこんな気持ちなのかもな…


「まったく、末恐ろしいな。いまならお前が子供ではなく大人だと言われても信じられるぞ」


 ドキッ! いい勘してるなぁ王様!

実際、精神年齢なら20を超えたあたりだと思うし…


「本当にそうかもしれませんよ」


「それならそれでも良い。 シャルナを頼むぞ、ディレット!」


「はい!」


 かなり長く話してしまった。

パーティーの方に戻らないと、心配するかもしれない。


「そういえば、伯父上、セリオンはこのことを…」


「一切知らん。知っているのは俺達自身とお前の父親の3人だけだ。だからくれぐれも他言無用に願うぞ、4人目!」


「わかりました」











――――――――――――――――――――――――――――――――――――










 パーティーに戻るといきなりシャルちゃんが張り付いてきた。

どうやら不安にさせてしまっていたようだ。


「いっしょにいるのぉ~♪」


「あらあら、すっかり仲良しさんね」


 エリザ、いや本当はエルザさんか。

この人もシャルちゃんのことを本当に大切に思っているんだろうな…

あの話を聞いたあとだと、なにやら不思議な気分になった。

このパーティーを提案して…本当によかった…!








「ここで、俺たちから重大な発表がある!」


 離れたところで何かを話し合っていた兄弟がこちらに向けて発言をはじめた。


「今日からしばらくの間、シャルナはここで暮らすことが決定した!」


「「「おぉ~…!」」」


 え? 唐突にナニ? この超展開!?




 今朝の予感の通り、今日1日は波乱しかないようだった…


次回、同棲、探索、インチュイション!



反動だ~、楽しく行くぞ~^^

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