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チート過多でのファンタジーライフ  作者: 老 左伝
第1章~子供時代2~
15/42

(13)親子関係にも理由があったようです

今回と次回のお話はかなりヘビーです。

でも、ここに進んじゃった主人公!

この辺は色々言われそうだなぁ…心臓が…

 





 パーティーは進み、大広間では皆が楽しんでいる。

僕は別室で伯父上と2人きりになっていた。

呼び出したのは僕。

あの光景を見てから、どうしても聞きたいことが出来てしまったのだ。


「2人きりで聞きたい事とは一体何かな?」


「聞きたいのはですね……何でシャルちゃんをいままで放っておいたのかをです?」


 そうなのだ、あの光景―互いに思い遣る親子―を見たあとだと、今までの王宮で一人ぼっち・・・・・・・・だったというシャルちゃんに繋がるとはどうしても思えなかった。

何か理由がなければあんな優しい眼であの光景を見ていた男が彼女を放っておくなんて考えられなかったからだ。

……隠していたけど嬉し泣きを堪えていたし、それ以前にも僕の目の前では何かとシャルちゃんに気を使っているみたいだったから…

母親に問題が~という可能性はさっき吹き飛んだ。

あれほど喜んで抱きしめていたあの態度は演技の技能を持っていたとしても可能だとは思えなかった。

それに僕らの前でだけ演技する必要性がわからない、王宮の使用人や謁見の貴族の前でも演技をしていればそんな噂自体があるはず無いからだ。

原因が分からない。分からないなら、聞くしかない。


「………それが、聞きたいことか?」


「はい」


 僕は静かにうなづいた。


「それは、婚約者としてか?それともただの従兄妹としてか?」


 それはただの親戚程度には教えられない、ということだろう。

しかし…


「どちらでもありません。僕は一人の人間として、家族として、聞かなきゃいけないんだと思います」


「…ただの子供が支えきれない問題だとしてもか? 子供に話せるようなものは何もない!」


 伯父のセリフは何かを試すように聴こえた。

確かに、僕は子供だ。

伯父が懸念けねんするのも当たり前だ。

でも、言いたい事は言わなきゃいけない…そうでないと……


「……彼女の懐きっぷりは尋常じゃありません」


「急に何の話だ? それは、それだけキミの事を好いているということだろう」


 僕は首を横に振る。


「それだけじゃありません、いい子すぎるんです。母さまにもうちのメイドにお願いをすることも不満をぶつけることもしないんです」


「別におかしな所を感じはしないのだが、それが何だと言うんだね」


「あれは…自分を自分として見てくれる人がいない時間を長く過ごした反動です!」


 伯父は反論しようとして、そしてそのまま沈黙した。

思い当たるフシがあるのだろう。

僕は続きを話す。


「今のシャルちゃんは僕に依存したまま、僕を好きと勘違いしているだけです」


「……それはいけないことなのかね。勘違いだとしてもそのまま気が付かなければ本物と同じことだ」


「それは、そうかもしれません。 勘違いが本物になる場合もあるでしょう。 でももう一つの問題もあります」


「もう一つ?」


 気がついていないみたいだ。

だとすると無意識にやっていたのだろうか…

もしそうなら…シャルちゃんが可哀想になる!


「貴方がた両親は、ここでならシャルちゃんに愛情を注げるように見えます。そして、王宮ではそれができない」


 伯父はまた無言になる。何を想っているのだろう。

僕は話を続ける。


「このままではシャルちゃんはいびつな成長をして、どこかで破綻することになります」


「意味がわからないな、どう成長するというのだ?」


「愛情を理解することができず、他人を信頼することもできない、常に何かを怖れて過ごす事になるかもしれません。その結果、他人を攻撃して自分を保つか、他人との関わりに怯え隠れるようになるのかはわかりませんが…」


「それを防ぐ為に根本の原因を知りたいと、そういうことかね」


「えぇ、知らなければ対策を立てる事もできません」


「それを君が出来るというのか?」


 それは、怒るような、試すような、悲しいような、不思議な口調だった。

この人もやっぱり現状をどうにかしたいと思っているということなんだろう。


「出来る、出来ないの問題じゃないんですよ! シャルちゃんを大事に思ってるなら、やらなくちゃいけない事なんですから、それに予兆はもうあるんです!」


「予兆だと?」


「シャルちゃんは最近よくウチに来ます。そしてウチに泊まる時には僕の母さまの冗談やからかいなんかを素直に聞き過ぎるんです」


「…それが予兆だと?」


「無意識に王宮には戻りたくない、でもここにいてもいいかどうかもわからない、居場所が無くなることを怖れ、僕らの無償の親愛も信じきれずに、嫌われたくないという思いから来てるんですよ!」


 これはとても切ないことだ。

わずか5歳の子がそこまでするなんてことは……

肉親の子供なのに、何かをしなければここに居てはいけないと考える。

これは無償の愛情というものを……親の愛を受けたことがない、と言ってることでもあるからだ。

目の前にある愛情があっても気が付けない、それが愛情だとも知らない、それでも愛情が欲しくて泣いている。

シャルちゃんにはそんな生き方をいつまでも続けて欲しくない!


「僕が気が付いているくらいです。母さまも気付いてます。それに…夜中にシャルちゃんが『嫌わないで』とうなされている事もあるんです…」


「それは………本当か…」


「えぇ、本当のことです。それがきっかけで僕は気がつくことができたんです。母さまは親愛を伝るべく家族として接してます、たまにやりすぎてますけど… それに僕も…シャルちゃんを助けたいんですよ」


 僕の本当の気持ちだ。婚約者だ、従兄妹だ、愛だ、恋だのというそんなものじゃ無い。

ただ、人間として、家族として、あんな思いをさせていたくないんだ。

しばらくの間、伯父も僕も何も話さず、ただ沈黙だけが過ぎていった。

おもむろに、伯父が話し出す。


「ふぅ、お前は俺が観こんだ・・・・以上の子供だな、いや、子供らしくない、というべきか…」


「それは…めてます?」


「もちろんだ! ……少しだけ話そう。 俺達が王宮でシャルに接する時間が取れないのはシャルが持つ力に原因がある」


 唐突に伯父が原因を話し出す。

シャルちゃんだけが持っている特殊な力というと……


「それは精霊魔法の事ですか?」


「っ! なぜそれを知っている! まさか…シャルがここで使ったのか?」


「いえ、まだ使えません。でも使えることは識っています・・・・・・


「そうか…? まぁ人間からでもたまにそういう特異体質が産まれる事もあるのだということだ」


「え? エリザ様がハーフエルフだからじゃないんですか?」


 その言葉を聞いた瞬間、伯父の顔は驚愕きょうがくと激情に彩られた。


「!! …どこでそれを知った! それは俺とベルしか知らないはずだ! アイツはたとえ相手が家族だったとしても話すとは思えん! 答えろ! どこでだ!」


 しまった! 失敗した…これは言ってはいけない秘密だったのか…!

このままだとあの子を救えなくなる。 仕方ない……ここは話すしかないな…


「僕の『眼』には不思議な力があるんです」


「まさか…魔眼…か?」


「はい…」


 伯父は先ほどの怒気が嘘のように上を向いて嘆息した。


「まさか…な。 ここまで揃う・・ともう驚くのにも疲れたわ」


 観念したように頷くと、伯父は自分の腕輪を外した。


「どうやらお前の眼は能力や種族を見れるみたいだな、俺を見てみるか?」


 伯父は自分を見せたいようだ、ところでその腕輪は一体何だろう?





情報隠蔽の腕輪+2:着用者のMPで着用者と2名までの血液登録者のステータス隠蔽効果

      但し、近縁の血液登録者を隠蔽する場合、不具合が発生する場合がある。





 同じ遺伝子が複数だとダメってってことか? 

なんか、ここに鍵があるような気がする。





 名前:ラズベルト (ラズベルト=アル=ジルド)

 性別:男

 種族:人間種ヒューマン

 年齢:Age31


 所属:ジルド皇国

 職業:皇国国王

 レベル:Lv42(正常)


補正値(元値)

  HP/生命力:10950/10950(730)

  MP/精神力:4539/10950(730)

  攻撃力/力:75/75(61)

  防御/体力:68/68(61)

  命中/器用:78/78(57)

  魔力/賢さ:66/66(56)

  回避/敏捷:59/59(59)


SKILL:武芸/剣術/片手剣:Sr57 片手剣に精通、力・器用Sr÷4

   武芸/格闘術/拿捕:Sr38 素手で相手を捕らえる技に精通。体力・器用Sr÷5

   政治/世界:Sr32 世界の国々の政治と情勢に精通。 賢さSr÷3

   第六感/生体/殺気感知:Sr37 生物の殺気を感知。索敵さくてき・不意打ちボーナス

   態度/宮廷/舞踏:Sr27 ダンスなどを踊る技能。交渉にボーナス

   会話/宮廷/王族:Sr49 王族としてふさわしい会話術。交渉にボーナス

   服飾/宮廷/王族:Sr45 王族にふさわしい正装を着こなす。交渉にボーナス

   魔眼/審査眼Lv2 相手の善悪、資質などを確認可能。MP消費型

   蒼き森神の加護 最終計算時に生命力と精神力をを15倍にする





 以前見た時とはまるで別人だった!

隠蔽していない能力、かなり高いな。

これか、審査眼…って神の加護まで持ってる!

生命力と精神力がチート級じゃないか! 凄いな伯父上…


「どうだ、見えたか?」


「蒼き森神の加護と審査眼というのが見えました」


「ほぅ、審査眼というのか…なるほど面白い名前だな」


「名前、知らなかったんですか?」


「俺には見えないからな。 ただ『眼』とか『俺の魔眼』とか呼んでいたよ」


 そう言って、伯父上は腕輪を付け直す。


「どうやら本当に魔眼持ちらしいな。 しかも、種族やスキル以外に、他にも色々と見えるようだな。 なるほど、大きな可能性を持つわけだ」


 どうやら自分の事も見られていたらしい。

しかし、どういうふうに見えたんだ?


「伯父上の眼には、僕がどういうふうに見えたんですか?」


「そうだな…有り得ないくらいに巨大な、澄みきった英知と可能性の結晶のように見えるな」


「ステータス…能力とかはわからないんですか?」


「そういうものは見えんな」


 どうやら魔眼の種類によって見え方が全然違うらしい。

そういえば情報隠蔽の腕輪について聞かないと…


「ところでその情報隠蔽の腕輪ですけど…血液登録者ってなんですか?」


「呆れたな、そんなものまで見えるとはな…この腕輪に血を付けることでその者も隠蔽できるのだ。この腕はにはエルザ・・・の血が込めてある」


 DNAの判別みたいなモノだろうか……だから不具合が…


「この際だ、お前を一人の男と見込んで全てを話そう。 他言無用に頼むぞ」




 どうやら、やっと原因について話をしてくれるようです。

次回、過去、事件、サッドネス!


シリアスな空気に作者が耐えられない!

一気に訊くとかないわ、主人公…

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