表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チート過多でのファンタジーライフ  作者: 老 左伝
第1章~子供時代2~
13/42

(11)チートに頼ってばかりでは強くなれないようです

盛大な回り道の上、イベントのいくつかが前倒しされて辻褄合わせが辛い。

本来の道に戻すため修正しまくっています。

 





 いつの間にか6歳にして人生の半分を奪われてしまったディルです。

…自分で言っててせつなくなりました。

だってこの国に神が居るとか、会いに行けるとかそんな事思わないじゃないか。

人生はまだ決まっていない、そう、決まってなんかいないんだ!

輝く明日のために、僕は強くなるんだ。 そのためにすべき事は…

現在、屋敷の庭で模擬戦をしています。


「見事な踏み込みです。しかし、まだ!」


 僕の放った横薙ぎの斬撃を槍で受け止められたと思った次の瞬間、槍が消えた!?

剣の勢いに体のバランスが崩れる。

二の腕が顔にぶつかりながら・・・・・・・・・地面に転はされる!

何だ、今の! どうなったんだ!?


「惜しかったですねぇ、普通の兵士なら今の一撃は間違いなく当たっていましたね。まさか片手剣までもが、6歳でこのレベルですか…天才というやつでしょうかね」


 ごめんなさい、チートです。

まずは今の実力を見せてもらいますと師匠・・に言われて、短剣・槍・両手剣など毎回まったく違う武器を持たされて模擬戦をしているけど、どの武器でもまったく相手にならないんだよなぁ。


「それでも師匠から一本も取れないじゃないですか」


「ははっ、師匠はやめて欲しいって毎度言ってるんですけどね。まぁ、これでも皇国の親衛隊員ですからね」


 そう言って謙遜する兎耳、もといナンリッド=ノイル副長。

王宮の親衛隊副長である彼が我が家で稽古をつけてくれるのには大きな理由が……


「ディルく~ん、おけいこおわった~?」


 大きな理由が……


「おわったなら、そろそろおやつにしない?」


 理由……大きくないかもしれません。

シャルちゃんの警護について来ていたリッド副長に、稽古を付けてくれるように頼みこんだのが始まりで、それからシャルちゃんの来る日にはいつも訓練してもらえるようになりました。

実際、独学でスキルランクを上げるのには限界が来ていた感じだったし、強くなるためにはやっぱりちゃんとした人に教えを受けてみないとダメだな、と凄くよく分かりましたよ。

チートのおかげで動きや技術はある程度は体が覚えているみたいだけど、努力で身に付けたものでない分、相対した時の空気とか気迫とか駆け引きなんか、そういった単なる技術以外のナニか、そういう経験値が圧倒的に不足していると勝てないということを、実力者と立ち会って痛感しましたよ。

結果論だけど、武芸のスキルランクがそこまで高くならなかったのは、かえって良かったのかもしれない。


「今日はこれくらいにしておいたほうが良さそうですね。姫様も来られていますし」


「そうですね、ありがとうございました。またよろしくお願いします」


 リッド副長に向かって一礼をする。

稽古の後の挨拶は欠かせない。

転生したって『和』の魂は不滅です。


「いえいえ、こちらこそ。 でも、いつも言っていることですけど、私に礼は不要ですよ。 これでも楽しんで教えていますから」


「でも、こっちは教わる立場ですし、師匠と弟子の線引きっていうのは必要だと思うんです」


「そうは言いましても将来は「ディルく~ん、まだぁ?」…ははっ、姫さまがお待ちでしたね。 早く行かないといけませんね」


「そうですね…」


 早く行かないとお姫様シャルちゃんの機嫌が悪くなるからなぁ。

機嫌が悪くなった時のね方が…ちょっとアレなんだよなぁ。

普段と変わらないというか、普段より酷くなるというか……

ある属性の人ロがつくかたがたとかなら喜ぶんだろうけど僕にその属性はない。


「ディルくん、行こ♪」


 くっついてきましたよ、お嬢様、いやお姫様か。

なにその嬉しそうな顔は? 上目使いで見るのはヤメテ。

僕にその属性は無い! 無いったら無い! 無いはず…なんだ…


「きょうのおやつはエレナさんのほっとけ~きだよ、たのしみだねぇ」


 あれから、色々なおやつと魔道具を作った僕はエレナさんにその使い方とレシピを全部、教えておいた。

そのため最近では、去年みたいな『特別なお客様が来る』ようなイベントでもないと家ではお菓子を作ったりしなくなっていた。

半年前の大会? なにかあったっけ? ベツニ大しタことハなカったデスよネ……


 …あれ?今、何か『ぱんどうらとらうまざいちゅう』とか書かれた箱を開けようとしていた気がしたんだけれど、気のせいか、うん。

なぜか、無限に沸くゾンビの群れをフライ返しでなぎ倒す自分を幻視した。

うん、今考えてたのは多分戦闘方法だな。

修行の事を考えていただけみたいだ、うん、別の事を考えて気持ちを切り替えよう。


「そういえばシャルちゃん、準備の方は大丈夫だった?」


「うん、エレナさんといっしょにうまくできたよ」


「明後日ウチに来るのも大丈夫?」


「だいじょうぶ、ママはおにいちゃんやパパといっしょにこれるって」


「そうですか、楽しみですね」


「うん♪」


 どうやらここで開催するのは問題ないみたいだ。

父さまに事前に根回しを頼んでみて良かった。

多分これで色々改善するんじゃないかとは思うんだけど、まだ見ていないから気にはなる。

今のところ特に問題はなさそうだし、エレナさんには回転泡立て器まどうぐよんごうも渡しているし、明後日のための準備は大丈夫っぽいな。



 シャルちゃんと母さまの二人と一緒のテーブルでおやつを食べる。

リッド副長は別のテーブルでエレナさんとお喋りしてる。

エレナさんの頬が赤い気がするけど……副長は平然としてるしなぁ。

なんか絶対につついたらいけない気がする。

なんだろう、この死を招く自分の影ドッペルゲンガーを見てしまったような言い知れぬ不安感は……


「そういえば、ディル、今日もまたシャルナちゃんと一緒に教わるのかしら?」


「はい、できればお願いしたいです」


「わかったわ、あとで行ってきなさいな」


 そうしておやつを食べ終わったあと、シャルちゃんと一緒に庭のとある場所・・・・・に向かう。

目的の相手は…いた!

金色に流れるサラサラとした長髪と端正な顔立ち、背は高くスリムながら鍛えられた印象を持つ細マッチョな男性だ。


「こんにちは、モンタさん。今日もお願いします」


「おっ、また来ただな。毎度毎度よく飽きねえな」


「えぇ、色々教えて欲しいですし、それにもっともっと強くなりたいですから」


「ちっこいのに立派だだなぁ、おらにできることは協力するけんど無理だっきゃすんなや」


 そう、庭師のモンタさんにここで魔法を色々教わっているのだ。




 名前:モンタ

 性別:男

 種族:エルフ/獣人 (エルフ容姿)

 年齢:Age59 (28換算)


 所属:エスクランス公爵家

 職業:公爵家隠密部隊員

 レベル:Lv37


         補正値(元値)

  HP/生命力:650/650(650)

  MP/精神力:662/662(662)

  攻撃力/力:65/56(56) (園芸用はさみ+9)

  防御/体力:80/62(55) (布の魔法服+18)

  命中/器用:65/65(58)

  魔力/賢さ:103/103(60)

  回避/敏捷:64/64(57)



SKILL 生産/園芸/樹木:Sr37 様々な樹木の世話ができる。体力・賢さSr÷5

   魔法/精霊魔法/:Sr52 水・土・樹の精霊魔法が使用可。賢さSr÷5

   魔法/精霊魔法/しん:Sr39 風・水・心の精霊魔法が使用可。賢さSr÷5

   魔法学/属性/とき:Sr28 風・水・土・闇・氷・刻属性魔法の知識。賢さSr÷5

   第六感/生体/殺気感知:Sr30 殺気を感知。パッシブ、索敵さくてき・不意打ちボーナス

   第六感/思考/並列思考:Sr34 SR÷5+2つの思考を同時に制御せいぎょするか、

                   または、SR÷10個の自動演算えんざん可能。賢さSr÷4

   武芸/剣術/短剣:Sr28 短剣に精通せいつう。器用・敏捷にSr÷4

   サバイバル/野外/薬草学:Sr38 薬草になる草を見分けられる。賢さSr÷6

   調合/薬/内服薬:Sr12 病気などの薬を作ることができる。 精神+Sr




 ステータスを見たときはちょっと驚いた。

かなりの強さだった。 しかも超一流級の魔法使い。

だから、シャルちゃんに精霊魔法、僕は属性魔法を教えてもらえるように頼み込んだ。

最初はしらばっくれていたモンタさんだったけど、警戒網として用意していたらしい樹の精霊とシャルちゃんが話をして紹介したところ、かなり驚いて、自分以外の所では絶対に魔法を使わないという条件で教えてもらうことに成功した。

超一流の精霊魔法の使い手であるだけでなく、属性魔法にも深い造詣を持っているモンタさんの教え方はすごくわかりやすかった。

モンタさん自身は、ずいぶん昔に冒険者やってて覚えた知識だって言っていたけど、本当はどうなんだろう。

何か別の目的があって覚えた感じがするんだよなぁ。

それにしても、ウチって隠密部隊なんか抱えていたんだなぁ。

全貌は多分父さま位しか知らないんだろうけど、他にもいるんだろうと思う。

なにはともあれ、超一流の魔法使いによる講義を受けることができるようになったわけだ。


「シャルナ嬢ちゃんや、樹に話しておねげえするときに、おねげえの塊を一緒に渡す感じだべ」


「え~と…?」


「シャルちゃん、樹に『こうして欲しい』って気持ちをたっぷり込めてお願いと一緒に贈り物にするんだよ」


 まぁ、問題が無いわけじゃないんだけどね。

シャルちゃんになまりのある言葉は聞き取りにくい、というか意味が伝わりにくいみたいだ。

だから自分の練習の合間にこうしてフォローしたりしている。

一緒に練習しているシャルちゃんを見ているとやっぱり気になる、特に変、ということでもないんだけれど……

魔法の差が今の違和感の元かもしれないけれど、自分の練習に集中していないと危ない。

僕の方は、魔法の高速展開と魔力の圧縮というのを練習している。

ただ単に魔法を使うならともかく、攻撃や防御する位まで威力を上げるとなると、魔力を圧縮しない事には話にならないんだそうだ。

今までただ魔法で物体を出していただけだったからなぁ…

こういう技術を知らなければいくらチートでも強力な魔法は使えないってことか。

どんなに身体能力の高い人でも、スポーツのルールを知らなければ、その選手にはなれないって事だな。

とにかくやる事さえ判ればチートのおかげで習得は早い、というか異常。

一般的なレベルまでほぼ1回やっただけでで成功した……普通はモノにするには最低5年はかかるらしい。

ただ、威力がかなり強い、というか強すぎるため、集中して抑えていないとモンタさんの前でものすごいものを見せてしまいそうだ。

今は威力を抑えながら反射的に展開したり、どこまで高密度こうみつどに圧縮できるかなんかを練習している。

基本4属性の風・火・水・土、派生4属性の光・闇・氷・雷をそれぞれ試している。

派生属性は基本属性2種の掛け合わせ、但し反属性同士だけでは不可能なんだそうだ。

これは精霊魔法も同様なようだけど基本4種別:風・火・水・土と呼ぶらしい。

また、魔法そのものが属性魔法と別物なせいか掛け合わせた場合の性質が全く異なる物になるみたいだ。

上級4属性魔法の消・空・刻・波は3種の掛け合わせ、これは反属性が残る一つを変質・増幅させることで発生するらしいが、今は練習していない。

一方、精霊魔法は、上級以上に位置する魔法の種別が不明なため、現在使える可能性があるものが存在すらしないらしい。

属性魔法の上級ですら半ば伝説級の扱いらしく名称が記録に残っているのみで使い手は世界にほとんど存在しないのが現状だそうだ。

4種同時というのは記録すらまったくないため誰も属性イメージができない。

魔法に対してのイメージ力が無いと魔法は発動しないそうだ。

賢さと魔力が影響してるのはこのイメージ力が理由なのだとか。

明確なイメージがあるほど効果や制御を高められるようだ。

おかげで基本と派生は全く問題なくできるようになったけど上級はイマイチな感じだ。

魔力を圧縮するイメージが掴みにくい。

おまけに全属性可能なことを知られないようにするために大っぴらには練習できないんだけどね。

とりあえず、基本と派生の練習あるのみだ。



 一通り練習をし終わったあと、シャルちゃんはウチに泊まっていくと言い出した。

いつものことだ。 それはすぐに了承された。

いつもと違っていたのは、母さまが一緒に寝ると言い出したことだった。

最初の頃はシャルちゃんを泊めることはなかった。

ところが、シャルちゃんはいつの間にか母さまわがやのいちばんエレナげんざいのにばんを味方に付けていたみたいだ。

去年までいたメイド長もとにばんは理想の男性と運命的な出会いで知り合って結婚して退職していったという話になっている。

間違ってるわけじゃないし、幸せになっているみたいだからいいかもしれないんだけど、きっかけになった事件トラブルのことを考えると、ちょっと罪悪感を覚えてしまう。

それはともかく、現在の我が家の頂点2人をシャルちゃんが味方に引き込んだ時点でお泊りを反対することは誰にもできなくなった。

それにシャルちゃんについては、色々と考えることもあるから今は特に反対する理由もない。

母さまの『予定より少し早まるかもしれないわね』とつぶやいたセリフには、何故か悪寒オカンが走ったけど……



 最近どんなチートを駆使しても大人の女性に対しては頭が上がらない気がしています。


次回、母親、襲来、バースデイ!



言葉の訛り方はかなり適当です、訛りのテンプレってあるんでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ