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日用品って大事だと思う  作者: タコンブ酢
一章スキルの自覚
8/20

日用品のぱわぁーあっぷぅー

「こんにちは、リリアさん」


「キャア!!??、いきなり何!!!??」


ヒソヒソ、アイツダレダ?オレノリリアチャンニヨクモ!コロス!

オイ!ヒトツテイセイガアルゾ、オマエノジャナクテオレノダ!

アアッ!ヤンノカコラ、

アア、ヤッタンゾコラ、

オマエラヤメロ、ミンナノリリアチャンダ、ダレノモノデモナイ。


転移で目の前に飛んだから驚かせてしまった様だ。

ひそひそ声は華麗にスルーだ。


「クルトさんでしたか、もう!やめて下さいよ、あんなこと」


「はい、もうしません、すいませんでした。」


「絶対、絶対ですよ」


涙目で彼女は訴えている。もう二度とあんなふざけた真似はしないと誓おう。

じゃなきゃいつか殺される!


「それはそうと、昨日の依頼金ってどうなったんですか?」


「はい、銀行に振り込まれているはずですよ」


うん、分かっていたけど、一応聞いてみた。

良かった、良かった。じゃあさっそく……


「銀行利用したいのですが……」


もうすぐ初給料と御対面だ。

どんどん上がっていく、テンションを抑え冷静な自分を取り戻す。


「はい、ギルドカードを提出して下さい。」


ギルドカードとは、ギルドに登録すれば貰えるカードで、

その人が過去にどんな依頼をこなしたのかが分かり、

銀行口座の代わりに成り、身分証明も出来、更に

使用には本人の魔力を使うので、盗難されても安心!

という優れものだ。


「はい、これです。」


赤銀の色のギルドカードに魔力を流す、

するとカードが綺麗に発光し始めた。


「……はい、確認出来ました。クルトさんは現在……」


幾ら出ているのか、どきどきしながら彼女の声を一声も

効き逃すまいと聞き耳を立てる。が悟られないように、

表情はとても冷静に見えるよう心がける。


「金貨1万枚預けています。引き出しますか?」


「!」


驚いた、驚いて一瞬目を見開いてしまった。

まさか金貨1万枚も貰えるとは……、いや多すぎないか?

確かに無茶苦茶な依頼だったが、どうなっているんだ?


「多すぎませんか、幾らなんでもそれは……」


多すぎる、俺の様な新人が受け取って良い額じゃない。


「それが……アースさんが依頼金を受け取って無いんですよ」


はぁ?何でまた。忘れた?いや、幾らなんでもそれは無い無い。


「どうしてですか?」


「ええ~と、『新人には色々金が要るから全部やるよ 』だそうです。

かっこいいですね!アースさんのためにも、受け取って下さいよ。」


ほんと、まじであの人カッコ良すぎだろ。

そういうことなら、全部貰おう!そしていつか、お金じゃない物で返そう。


「そういうことなら、頂きます。でも持ち切れないのでまだ預けときますね」


「そうですね。盗まれたりしたら大変ですもんね」


本当に大変だ。もし盗まれたら

盗んだ奴を地の果てまで追いかけまわして殺してやる。

絶対にだ。まっ!それは置いといて


「なにか、依頼入ってませんか?」


アースさんにお返しをするためにも早く成長しないとな!


「それが……強すぎる依頼しか入って無いんですよ」


「強すぎる?」


彼女は困った様な顔で呟く、強すぎって一体全体どんなのだ?


「はい、え~と《オーガの群れの討伐》と《双龍の討伐》です」


「」


無理だ、絶対無理だ。よしっ!今日は家でゆっくりしていよう!

あっそういえば冬支度しないとな。<日用品>で出せるかな?

家に帰ったら確かめるか。……そういえば魔力上がってたな

神殿か教会で洗礼も受けないとな。やることいっぱいだなー大変だなー忙しいし、

依頼は無理だね!時間が無いや!


「クルトさん?クルトさ~ん」


彼女がパタパタ手を振っている……はっ!俺は今まで何を……


「分かりました、今日は大人しくしておきます。」


「はいっ!分かりました」


どうして彼女はこんなに元気なのだろうか?


「じゃあ帰りますね、また明日来ます」


「はいっ!お待ちしています。」


さあ!神殿に行かなきゃな、

神殿は王都の中心に在る城の中に入っているのでお城に行かなきゃいけない。

ギルドは入口に在るのでかなり遠い、まぁ時間は有るしゆっくり行けばいいさ

俺はギルドの扉を開けてお城に向けてゆっくり歩いて行った。


「おっこれ旨そうだな、おっちゃん一個くれ」


「まいど」


歩いていると露店が立ち並ぶ所にやって来た。

旨そうな匂いに釣られてついつい色んな物を買ってしまう。

うん、美味しいもん、仕方ないよね。


露店が立ち並ぶ所………露店街でいいか、露店街を通り抜け

食べ物の匂いを漂わせながら城に入ろうとしたが門番に飲食禁止と言われたので

一気に全部食べ切り水を飲み、魔法で匂いを飛ばしてから堂々と入城した。


ついこの前に来たばかりなのに初めて来た様にキョロキョロしてしまう。

恐らく国中で一番の贅を費やした空間に俺は今立っているのだ。

どうしても農民の俺には慣れない場所だ、というか慣れてはいけないだろう。


早速受付?みたいな所に行く、この前の金髪シスターだ


「こんにちは、スキルの洗礼を受けたいのですが」


「こんにちは、それなら奥の5号室にてお待ち下さい」


そう言われて、奥の5号室と書かれた部屋に移動する。

部屋に入るとまず目に飛び込んできたのは………






笑顔で両手を広げた神父だった。

何やら神秘的な部屋の中心に立っている。笑顔で

この前は可愛いシスターだったのに、今回はおっさんだ、それもとても綺麗な笑顔を浮かべた。

このがっかり感、分かるだろうか?


「こ、こんにちは、スキル洗礼を受けに来ました」


「良くぞいらした、私はニコライだ、これからよろしく頼むぞ」


俺は笑顔のまま歓迎された。そう、笑顔で両手を広げたままだ


「ではまず祈るのです。心の中に在る自分だけの神を想像するのです。

そして私が魔力を流して自覚への道を促すのです」


あれ?前は水晶の上に手を乗せて……だったのに、


「何か前と違うんですけど…」


「ふっ、人によってやり方が異なるのですよ」


成る程、嘘かもしれないけどこんな所で嘘ついても仕方がないしな


「まぁやってみるが良い」


「はい」


俺は立ったまま瞑想の真似ごとをする。

心に目を向ける、イメージは昨日の婆さんのテントの中の様な感じだ。

すると、少しずつではあるが〖何か〗が近づいて来るのが分かる。

もっと集中して心に目を向けていく、すると〖何か〗がより強くはっきりと感じられるようになる。

するとここで神父の声が聞こえる   『魔力を流しますよ』

と言う声が聞こえた後しばらくすると魔力の紫が染み出す様に心の空間に満ちていく、

薄紫の魔力で空間が一杯になったら、魔力が集まって一本の線を築いていく、何処までも遠くに続く線である。

しばらく眺めていると線が激しく動き〖何か〗が強引に引き寄せられて来る。

〖何か〗は自分と同じ大きさの扉だった。

神父の声が聞こえる 『扉に触れて下さい』

言うとおりに扉に触った、瞬間頭の中に膨大な過去の記憶が流れる

俺は咄嗟に扉から手を離す、だか、もう一度扉に手を着けてみる

再び膨大な記憶が頭に流れるが無視して扉を開ける。

少し開く度に流れ出る記憶の量は増えていく、それでも無視を続けて扉を開け切る。










中に広がったのは昨日のテントとはまた違う感じの、しかしかなり似ている空間だった。

魔力の紫は既に無い、中に在るのは大量のシャボン玉の様な物と自分の体だけだ。


恐らくシャボン玉の中には俺の情報が入っているのだろう。

そして、水中より強い抵抗を受けるこの空間には俺の記憶が詰まっているのだろう。

さっきから頭の中を高速で思い出の様なものが流れていく。読み取ることも出来ない程の早さで。


俺は泳ぐ様にして空間を移動する、ここでは魔法もスキルも無い、それどころか自分の体ですら不完全だ

しかし、確実に前に、といってもここに前など存在などしないのかもしれないが、進んでいる。

そして、シャボン玉に手を触れた瞬間、シャボン玉に吸い込まれた、俺は一瞬抵抗し、そして抵抗をやめた

何故か?俺はこのシャボン玉が危険な物では……………………少なくとも俺には危険ではないことが分かったからだ。

自分の心に潜り見つけたのは過去の記憶とシャボン玉、ではその中身は?と訊かれたら誰もが首を傾げるだろう。

しかし、この質問には決定的に足りない所がある、何か?それは心の世界に来た目的だ。

ここまで来れば賢い人は分かるだろう、そうこの中に入っているのは本人の俺すら知りえない俺に対する情報だ。


シャボン玉の中に入り頭に俺の名前や俺の体重などが流れていく、

その中でスキルに関する事柄を見つけて、その情報をピックアップして要らない情報を捨てて、情報の純度を上げていく、

既に知っている情報はもう要らない、新しい未知の情報が欲しい!


たった一つに絞って情報処理をしているのにまともに見てたら時間が幾ら有っても足りない程その量は多かった

なので途切れ途切れの文章で内容を予測し余計な部分を捨てていく、まるで木の年輪を一つ一つ剥がして行く様な、

本当に精密な作業を続けていく、

















本人感覚で5時間は経っただろうか、途方もない作業は終わりを迎えていた。

本当に必要な情報だけで出来た塊が目の前に存在する、

早速その塊に触れその情報を頭に入れる。

その中身は……



               スキル



                      <日用品>

   






            <身体強化>                     






             <魔力強化>









<血清>







随分多くの情報を捨てたため穴抜けの状態になっている。

しかし、スキル名さえ分かれば後はスキル鑑定で何とでもなる。

俺は早足?で扉に向かった

扉を開けると神父の声が聞こえた


『終わりましたかな?戻ってきなされ』


終わった、終わったのだ、ようやくだ。

戻ると言っても余りにも長く居たせいでここが現実の様に感じてしまう。

が、直ぐに戻り方を思いだす瞑想を解けば良いのだ、簡単なことだ、むしろ今までどうして解けなかったのか不思議でならない。


俺は一瞬で視界が曲がったり伸びたりして現実に戻って来た。


































「どうだったかね?心の世界は」


「……………………」


次回「日用品の新たなスキル」

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