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日用品って大事だと思う  作者: タコンブ酢
一章スキルの自覚
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故郷救済、そして二章へ

ウサギの魔物の襲撃から1日後、俺は森深くを歩いていた、


「…………………」


終始無言で。


今、俺は何をしているのかと言うと、ウサギの巣を探している。


一度撃退しただけでは意味が無い、根本を破壊しなくては無意味なのだ。


奴らはゴキブリよりしぶとい……早く皆殺しにしないと……


一応、村には要塞を残しておいた、これで安心して散策に出かけられる。


森ごと消滅させれば簡単なのだが……資源が一切合財無くなると困るのは村なので止めておく。



さて、俺の脳裏にはある疑問が思い浮かぶ。


なぜ〝此処の〟村人がここまで追いつめられたのか?


この森は、何故か生き物の気配がとてつもなく濃厚だ。


だから食物連鎖も一層激しい、死に逝く動植物の魂に釣られて有象無象の魔物どもが足を揃えてやって来る。


だからここの住人は田舎なのでスキルや魔法にこそ疎いが、とても強く≪ラージラビット≫如きにやられるとは思い難い。


現に10才そこらのガキである俺が数年掛かったとは言え、スキル無しで王都まで行けた、都会やそこらの村人では不可能な芸当だろう?


言っちゃなんだか、正直此処は人外魔境だ、手慣れた冒険者でもヘマすりゃ即死だ。


とは言え俺も数年前の出来事だ、想像が膨らみ一人歩きしているのかもしれない。


人間の思い出は何時だって間違っているからな。


ま、考えるのを止めてさっさと巣を破壊しに行こう。


何か起こってからじっくり考えればいいさっ!



さて、思考の海から現実に戻って来た、俺ことクルトだ。


俺の100メートル程前には、ウサギ達の巣らしき物?がどっしりと鎮座している。


辺りには≪ラージラビット≫が忙しく動いている、その様はまるではたらきアリの様だ。


(さて、どうしようかな。)


俺のミッションは迅速に巣を一匹漏らさず一撃で破壊し、森への被害を出来る限り小さくする事だ。


幾つか手段は有る。



一、魔法をぶっ放す。


二、森ごと燃やす。


三、沸騰した洗剤の雨を降らせる。


四、物凄く重い何かをひたすら落とし続ける。


五、何か別の生物を呼んで来て壊してもらう。


六、俺のレイピア無双。



大体こんなものだ、まず森の被害が大きくなる、一と二と三は駄目だな。


あと、五は時間が掛かるし、現実的に不可能だ。


六も時間が掛かる。


残るは四、〈物凄く重い何かをひたすら落とし続ける〉だな。


撃ち漏らしの危険があるが……まぁ、大丈夫だろう。


昼飯を食べたら決行だな。


俺は湯気をたてる肉汁がほとばしる厚切りステーキを口に頬張りながら決意した。






此処は遥か天空、何者も届かぬ未開の頂きに一人の男が結界を下に敷きながら、豪華な金粉を散らした椅子に座っていた。


「時は来た、今こそ奴らに日用品の怒りをくれてやろう。」


食後に新鮮なリンゴを口に銜えながら、宣戦布告する。


「まぁ、初めは弱めの奴で行くか。」


まずは小手調べ、タンス、物干し竿、机、椅子、水の入った盥を落とす、素材は木材だ。


魔法も何も使わず、生み出されただけの日用品達は重力に逆らわず、序々に加速しながら地面へと、吸い込まれてゆく。


上空真上から見ると、まるで吸い込まれる様にして、一瞬で地面へと堕ちて行った。


自由落下していた日用品は、地面に接触した瞬間――――――バンッと一瞬で破裂し、多数の木片を撒き散らしながら壊れてゆく。


破裂した木片はウサギ達の薄皮を突き破り、その肉体に食い込む、無論ウサギは既に絶命している。


「う~ん、木材は拠点破壊は出来ないか……代わりに散弾爆弾みたいな攻撃が出来るのか……」


今回の戦いは、スキルの実験でもあるのだ、一つ一つ確実なデータを取ってゆく。



「次は唯の鉄、さて――――どうなる?」


先程とあまり変わらない日用品を落とす、ただし素材は鉄だがな!


――――――鉄製の日用品は様々な砕け方をしながら、しかしどれも同じ様に地面に大穴を開けてゆく。


「ふぅ、次は魔法――――いや、魔法は不味い、物干し竿だ。」


地面の穴を塞いでいる日用品を消し、手にスキルと魔法の強化を施した物干し竿を握りしめる。


大きく振りかぶり、真下の巣に向かって投げ飛ばす。


空気の引き裂ける音や一瞬にして崩壊した巣やウサギの群が奏でる狂音が耳を刺す。


「次、次、次、次、次」


次々と物干し竿を投擲してゆく、その様はまるで地上に降り注ぐ隕石の様だ。


「ははは、是は気分が良い、まるで神にでも成ったかの様だ。ふふふ。」


すでにウサギ達は全滅していたのだが、気にせず撃ち続ける。


「ふぅ、そろそろ……いいかな?」


下を見下ろすと、そこは既に更地に成っており、生気など微塵も感じなかった。


「……何もかも吹き飛んで血痕すら見当たらないか……まぁ仕方ない。楽しかったし。」



これでウサギどもは全滅だ、晴れて俺も自由!村は救われた!!さあっ、こんな辺鄙な村など抜けて王都へ帰ろう。


村に駆け足で戻り、村長と村人に別れを告げ、その際に貸して貰った台車にありったけの魔道書を押し込み、要塞を消滅させ、村を出た、先はまだまだ長そうだ。


一章はこれでお終いです。


次は二章、お楽しみに!

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