勧善懲悪とスキル
「まずは……何から話そうか。 説明しなきゃいけないことが多すぎてどれからやっていいかわからないよ」
「まずはスキルじゃないか? スキル教えないと戦闘で困るだろ」
「あ、そうだね。 あ……でもほら、テトちゃんなら」
「いや……あの人は特別だと思いますよ。私あの人が素殴りだけでサイクロプス倒したの見たとき人間って凄いって思いましたから」
「だよねえ、というわけでスキルの説明をします。まずーー」
余りに説明が長くなったので簡略化しておくことにする
わからない単語がいくつかあったが、後々妹ちゃんにでも聞こうと思う
まず、スキルの種類は全部で4つあるそうだ。まずはそれを纏めていこうと思う
まず最初にアクティブスキル。これはいわば『技』の事だそうだ。『昇◯拳』とか『か◯はめ波』みたいなやつだと説明された。このスキルには熟練度というものが存在して、熟練度が上がると性能が上がったり上位のスキルを覚えたり出来るそうだ。そして、スキルは基本的にはハッキリと技名を宣言する事で発動するそうだ。だが、使うという意思が伴っていないと発動しないらしい
次にパッシブスキル。これは、自動発動、つまり技名を叫ばなくても継続的に効果を発揮するスキルらしい。例えば『接近武器で攻撃するときダメージ1.1倍』などがあるそうだ。このスキルにも、前述の熟練度が存在するとのことだった
次に職業スキル。これ自体はポッシブスキルとあまり変わらず、『◯◯系の武器を装備している時にダメージ1.25倍になる』などなのだが、その特徴は、一次職、二次職と段階分けがされていることらしい。職業スキルは四次職まであり、熟練度をある程度まで上げると、次の上位スキルを習得できる。とのことだった。職業にはそれぞれその職業でしか習得出来ないアクティブスキルやパッシブスキルがあるので、慎重に選ばなければならないと注意を受けた
最後に、ユニークスキル。これはプレイヤーからの一般的な呼ばれ方で、実質的にはパッシブスキルの中に入るらしい。実質、このスキルは謎だらけで、発生条件の一切が分かっていないそうだ。どのユニークスキルも呼び名の通り、一人しか獲得していないため『最初に◯◯をする』というのが有力な説なようだ。一人しか獲得できないということもあってその性能は相当ぶっ飛んでいるらしく、唯一プレイヤーによって公開されているもので『勧善懲悪(レワード=プニッシュ)』というスキルがあるらしいのだが、そのスキルは『アクティブモンスター(プレイヤーを発見すると自分から攻撃してくるモンスター)と犯罪者プレイヤーに攻撃するときダメージ1.8倍』という、実に恐ろしい内容らしい
余談だが、このユニークスキル『勧善懲悪』の話をするとき、解説の三人は、三人三様の反応をしていた
賢也は怯える仔猫の様に縮こまり
妹ちゃんは困った様な顔で
つばめちゃんは苦笑いを浮かべ「遥哉くんは大丈夫かなあ」と、何かの心配をしていた
そして、ある程度有用なスキルは、スキルショップで買うことが出来るそうだ。その他のスキルは、プレイヤーのアクションで手に入れられるらしい。例えば、武器を使わずにモンスターを倒せば『体術』のスキルが手に入る。などがあるらしい
「さて、スキルのことはこんなもんかな。あとは……説明すんのめんどくさいや。自分でやって覚えてね」
と言ってスキルの説明だけして強制終了するつばめちゃん
「つばめさん、国とギルドの説明はしなくていいんですか? 遥くんきっとなんの説明しないと適当な国に入るか下手したら無所属でやりますよ」
「あ、忘れてた! 」
「まあ、遥くんは私と同じ国所属でいいだろうから、『ローズクロサイツ』って名前だけ覚えてくれればいいよ」
「あれ? 譲葉ちゃん『ローズクロサイツ』所属なの? ボクもだよ~」
「あ、そうだったんですか? 因みに賢也さんも同じ所属ですよね。良かったです、もめなくてすんで」
どうやら、自分が所属する国が勝手に決まってしまったようだ
まあ、よくわからない国に所属するよりはマシか
「それじゃあレクチャーも終わったことだし」
「スキルしかやってねーだろ」
「終わったことだし! キャラメイクに移りますー! どんどんぱふぱふー」
見事にスルーされ
まあ分からない事があったらそのつど聞けばいいか
「賢也くん、持って来て」
「はいよ」
つばめちゃんの一言で賢也はまってましたとばかりに持ってきたダンボールを、四人の真ん中に置いたのだった