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初っ端
「ふわぁぁあ~。」
朝。ゆっくりと布団から体を起こす。寝ぼけながら時計を見る。午前八時。八時半までに僕は登校しなければならない。
「や、やっべ!?」
慌てて部屋から飛び出し、パンを口に押し込みながら制服に着替え、家を飛び出した。仕方ないこうなったらあれを使うしかない。僕は制服のポケットを漁る。すると紫色に光る小さな球がポロッと出て来た。
これは魔導引石と言ってワープトンネルのような物だ。あらかじめ設定して置いた目的地に瞬間的にワープ出来る代物だ。ただし一度切りだけど。
僕はそいつのスイッチを入れる。辺りの景色が家の前から学校の裏庭に変わる。
「ん?」
裏庭から誰かが出て行ったぞ。ショートカットで白い髪の女の子だった。まっ、僕と同じく遅刻しそうになっただけだろうけど。つまり、ワープ装置を使ったって事さ。
荷物を持ったまま体育館に連れ込まれ、校長と教頭、生活指導部の長ったらしい話を聞かされ、教室に向かった。ああ、これで嫌でも好きでも一年間一緒に居る奴とご対面する訳だ。