4
セレス「そんなに落ち込むでない。君臨は我の悲願。生贄まで捧げられたとなったら、我もお前を無碍にはすまいよ。」セレス(現人神)は、サナの機嫌を伺いながら話す。
サナ「ヒロトさんの悲願でもある。そのために生贄になったのも理屈では分かりますけど、やっぱり私は落ち着きません。」
セレスは「人というのは大変じゃの。感情というものは複雑でやはり我には理解ができんがの。」
サナは「もう、その話早めにします。あれが問題の水です。」
セレスは「ほう。どれどれ。」と近づく。 死した村人達を気にも留めずに。
「少し味見するか。」とセレスは手で救って飲む。
サナは少しその状況に驚くが、これがウイルスのコピーのために必要だったのだろう。
「ふむ。このウイルスとやらは原理としては簡単じゃが、何者かに手を加えられておるの。魔法的な味わいがするわい。」とセレスは冷静に分析し始める。
「魔法?」とサナをは聞く。
「我の純真なる下僕が苦戦するのは分かる。まあこいつを食うウイルスぐらい我が作ってやる。」とセレスはヒロトを暗喩した言葉を言いつつ、複製にかかる。
「こんなもんかの。」と井戸水に唾を垂らす。正直サナは何を見せられてるのか分からなくなる。
「これで終わりじゃ。こいつの繁殖力は数倍強くしておる。今までこの世界にはびこっていたウイルスよりの。これで絶滅までいくといいが。」
「まあ、心配ならこの井戸水を組んでそこら中に撒いておけば良い。それだけでアクアウイルスとやらは死ぬ。」
サナは「本当に消えるんですよね?嘘だったら私は許せない。」と少し怒り気味に言う。
セレスは「じゃから、今手を加えたと言っておろう。少なくともこの辺の地域はもう安泰じゃ。しかし、そう女がプンスカプンスカするのは少しみっともないぞ?」
と冷静に答える。
サナは「分かりました。それで、ヒロトさんは…」
セレスは「あやつは今さまよう霊魂じゃ。その肉体の器となる依代を探すまでは無理じゃの。」
と言う。
サナは「じゃあ何をすればいいんですか」と聞く。
セレスは「小娘には何もできん。我がこの一帯を独占すれば我は全盛期の力が戻りマナが回復する。そうすれば奴は召喚できる。」
「とにかく、じゃ。我は神として君臨したのじゃから、この一帯を統治する他ない。小娘はそれを手伝え。」
サナは「手伝いたくなんてないですけど、ヒロトさんが戻るって言うなら、仕方なくやります。」
セレスは「それでよい。無理にとは言わんし、小娘が協力する気になってからでもよい。とにかく、我はこの神としての最初の一日を今日は楽しむ。」
セレスはそう言いながら、滝の方へ消えていった。
サナは「ではまた。」と山小屋の方を歩く。
途中で、「ヒロトさんの知り合いの人ですよね?」と声をかけられる
小太りの男。異世界とつながっているとかいう。
「ああ、私はサナ。ヒロトさんの知り合いみたいですけど、名前はなんていうんですか?」
「シロウです。ヒロトさんの行動の末は知ってます。そうだ、今から現人神のセレスティーヌに会いに行って千人の信徒の場所ついて話すんですけど、どうです?」と聞かれる。
「彼女、いやセレスさんとはもう十分話しました。あの人と私は分かり合えない。一つも。」サナは悲しげに語る。
シロウは「僕もヒロトさんの件ついては残念でしかないですけど、彼は神術師としての仕事を全うしたまでです。」
「そうですか…まあ、シロウさんともわかり合えないですね…失礼します…」とサナは山小屋の方に歩く。
「僕は彼の愛したこの世界を守る。僕が行動する理由なんてのはそれだけだ。」とシロウは村の方に行く。
サナはやっと山小屋にたどり着く。
ヒロトが暮らしてた家。ヒロトはもう居ないが、彼に別れを告げに来た。懐中時計は圏外を指し、着信は来ないようだ。
彼女はソファに座り、考える。
「短かったな…」サナは思い出す。いろいろドタバタあったけど、ヒロトさんは私を助けてくれた。
神に憑依される魔法を自分でかけたヒロトさん。魔術師の襲来にかけつけてくれて助けてくれたヒロトさん。
なんかこう見ると私って迷惑しかかけてないな…と涙をこぼす。
ベッドで横になる。今日はずっとヒロトさんの事を考えながら眠った。




