◆十一日目◇
◆十一日目◇
昨日の出来事が頭から離れない一日を過ごした。仕事でもミスを重ねた。
長い一日が終わり、仕事帰りにコンビニへ寄った。前日のように酒を切らすのが怖かった。
店の外に出るなり、部屋に帰るまで待ちきれず、その場で缶を開けて一気に流し込んだ。
カッと一瞬で身体が火照るのを感じ、声に出してその感覚を味わう。
「くぅ……これだ」
やっと日常を取り戻したような気持ちだった。店内に一度戻って缶を捨て、すぐに外に出た。部屋へ帰る道中でもう一缶開け、少しずつ酔いがまわるのを感じていた。
前からパトロール中と思われる警官が、自転車でこちらへ走ってくるのが見えた。
缶を飲み干して手に持ったビニール袋に突っ込む。
自然と背筋が伸びた。すれ違うときに警官と目を合わせないように、まっすぐ前を見つめて歩いた。
その直後だった、すぐに前から身長二メートルはあるかという大男が現れた。
筋肉質なのが黒いパーカーの上からも分かる。ニット帽を被り、マスクをしていた。
何度かマンションのエレベーターホールで見かけたことがあるが、何階の住人かは知らなかった。
顔見知りというほどの相手ではないので、目を合わせずにそのまますれ違った。
歩きながら昨日の爆発を思い出して、ドキドキと心臓が高鳴っていた。腕に巻いたスマートウォッチが振動し、血圧の急激な上昇を知らせた。いつもこの知らせを受けて思う。
『で?』と。
血圧の急激な上昇を知らされても、対処方法を知らないし、身体に異常は感じない。酔いに任せた雑念が胸の中で渦巻いていた。
マンション前に着いて一階のホールでポストを開けると、手紙が入っていた。無地の封筒で送り主は分からなかった。気持ちの悪さを感じてその場で開封した。手紙にはこう書かれていた。
『オマエガ カワニ ナゲステタ ノヲ ミタゾ』
パソコンで打たれたその文字は、なぜかカタカナで、異様な雰囲気を漂わせていた。
手紙をくしゃりと潰し、部屋へ足早に戻る。きょろきょろと周囲を見回して、どこから誰が見ていたかを探した。思い当たる手がかりは何も見つからなかった。
エレベーターを降りて通路へ出る。部屋の方へ視線をやると、また箱が置いてあるのが遠目から分かった。
駆け寄って箱を手に持つ。
ぐにゃりと箱が歪んだ。
箱は水分を含んでいた。
箱の中からは引き続き時を刻む音が漏れている。
立ち尽くして、どうすればいいか考えを巡らせた。
部屋へ戻り、テーブルの上に箱を置き、コンビニで買った酒の缶を開け、一気に身体に流し込んだ。
アルコールがあっという間に駆け巡り、頬が熱くなる。
すぐに頭がぼうっとして意識が緩んだ。
読んでいただきありがとうございました。
(全7話、完結まで予約投稿済みです)
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