◆七日目〜八日目◇
◆七日目◇
箱から異臭がしていた。ナマモノが腐ったような臭いだった。臭いが広がるとマンションの住人に迷惑がかかると思い、ビニール袋に入れてゴミ捨て場へ向かった。
途中、マンション内で見たことがある住人とすれ違う。軽く会釈したが、相手は会釈を返さずに素通りした。
一瞬だけ振り返り、背中を恨めしそうな目で見送る。気を取り直し、そのままゴミ捨て場へ向かった。
箱をゴミ捨て場に置いて、ふと、この一週間を思い返した。
そもそも、この箱を送ってくる送り主は誰なのか。送り状を見て、意を決して、送り主に電話をかけた。
海外に繋がって法外な請求が来ることを心配したが、電話に出た人物は日本語を話した。
事情を説明して、荷物を送るのをやめて欲しいと頼むと、相手はあっさりと了解した。
しかし、その返事には違和感があった。
「はい、そう聞いています」
翌日、玄関前に荷物が置かれていた。
◆八日目◇
駅からの帰り道、警察をよく見かけた。呼び止められることはなかったが、まるで自分が容疑者のように感じられるほど、あちこちにいた。何か事件でもあったのかと気になったが、特にネットニュースに上がってもいなかった。
買い物を済ませている間も警察の姿が気になった。万引きでも捕まえたのかと店内の様子を窺ったが、すぐに自分には関係ないと視線を落として店を出た。
そういえば、置き配を警察に届けてから、よく警察がパトロールしている姿を見かけるようになった。
しかし、その理由は何も見当たらなかった。マンションの掲示板にも変わったお知らせはない。
箱のサイズは毎回違っていた。この日は片手で持てるサイズだった。
強く振って中身を揺さぶると、幾つもの細長いものが転がる音がした。
箱を開けたい衝動がまた襲ってきたが、面倒に巻き込まれるのを強く意識して堪えた。
送り状を箱から剥がして、ゴミ捨て場には向かわずに、マンションの外に向かって思い切り投げ捨てた。
箱はマンションの真下にある川に落ちた。
寝る前にかかってきた電話で夜ふかしをしてしまう。箱のことはもう頭にはなかった。
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(全7話、完結まで予約投稿済みです)
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