No.1 踏み出す一歩
初めての作品なので、アドバイス等あったらしてくださると励みになります。是非お願いします。
「はぁ...中学に戻りてぇ...」
俺は白凪 零。今年の春、ようやく高校生になったばっかりだ。だが、俺の思っていたような幸先の良い高校生活のスタートを切ることは出来なかった。
入学式当日、自己紹介でスベり散らかし、そのせいで自分から話しかけに行っても苦笑いされて距離を置かれる。やっとの思いで出来た友達も、自分から話すと意見の食い違いや、共通の話題が見つからずに浅い会話ばかり。そうするうちに1ヶ月も経つと自然と陽キャ達のグループに加わっていってしまった。
自己紹介の時の俺をぶん殴ってやりたい...
「何が『白凪零です!趣味はゲームで、自慢出来るところは色々な料理に使えるところです!って”しらたき”ちゃうわ!!』だよ...バチクソおもんねぇし。」
そう小声で呟いていると、学校のチャイムが鳴る。下校時間だ。ホームルームを始めるため、担任の先生がやって来る。
「この後職員会議があるから号令はしなくていい。皆、これだけは伝えておく。最近、ここら辺で新しいスーパーが出来た関係上、トラックの行き来が結構多い...くれぐれも事故には気をつけろよ」
そう言って足早に職員室へと向かっていった。帰宅部の俺は教室で特にやることもないため、イヤホンを付けて教室を出る。友達がいたら教室で大富豪とかやってたのかもな...とか考えると少し悲しくなってくる。
音楽を聴きながら学校を出て、コンビニに寄り道して買ったサンドイッチを頬張りながら帰路につく。最近はほぼ日課になっている。
やがて横断歩道に差し掛かった時、
「あっ僕のボール!!」
突然、自分の脇下辺りからボールが跳ねながら横切り、それに続いて勢いよく少年が飛び出した。
「おっと危ねぇな...てかこれマズいぞ!」
ボールは横断歩道の真ん中まで転がっていく。当然歩行者信号は赤のまま。嫌な予感しかしない。
「おい待てよ坊主!!」
そんな声に少年が気づいた頃には、既に歩道から飛び出していた。車道には大型トラックが風を切って迫ってきている。
たとえブレーキを踏んだとしても、あの速度じゃ到底間に合わない...いつしか俺は、考えるより先に身体が動いていた。
「頼むから...間に合ってくれぇぇぇぇぇ!!」
全速力で少年の元に向かい、少年を横断歩道の向こう
側に突き飛ばす。俺は...少年の命が助かると同時に、自分の死を確信した。
その瞬間、鈍い衝撃音と轟音が鳴り響く。即死だった。一瞬のうちに身体が悲鳴を上げ、意識を失う。最後に見たものは、助かった少年の怯えるような目と...自分の血が飛び散る瞬間だけだった。
...そう、即死だったはずだ。でも何故か手足の感覚がある。指先は...動かせる。足も動く。身体全体からは草のようなフサフサした何かが感じられる。アスファルトの上で死んだはずなのに。
困惑しながら目を開けて起き上がると、そこには青々と生い茂った森林が広がっていた。
「えっ俺死んだよな...え?どこだよここ!?」
夢なんじゃないかと思い、全力で自分の頬をつねる。めちゃくちゃ痛い。
「走馬灯でも無さそうだな...じゃあ本当にどこだよ!」
辺りをよく見ると、見たことの無い植物や生物、果実が当たり前かのように存在している。ハッとして自分の服を見るも、死んだ直前と何ら変わっていない制服のまま。血すら付いていない。
「これってまさかとは思うが...異世界転生!?いや、仮にそうだとして、どうすればいいんだよ!何も持ってないんじゃ、ただのサバイバル生活と変わらないだろ!」
自身がトラックに轢かれて死亡したという事実と、見たことの無いものを目の当たりにして、自分が別の世界に転生したという状況を飲み込むのに多くの時間はかからなかった。
「こういう系のやつって大抵何か持ってるものだろ...」
この世界は一体何なのか...それを探るために、得体の知れない森林に一歩踏み出した。




