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13/37

13、

  

 王家からの招待状!?

 いや、今彼は呼び出しが正確なところと言った。呼び出しって???


 わ、私、何かしたかしら?


 考えても分からず、焦ってヘンラオ様の顔を見るが、彼はニコニコしているだけだ。黙して語らずとかやめてください、何か言って!


 説明求む!

 そう言おうとしたときだった。


 バンッとけたたましい音を立てて、応接間の扉が開いた。


「お姉様、あの失礼な男が来てるんですって!?」

「スザンナに失礼な態度取ったのはどいつだあ!?」


 面倒な奴等がやって来て、いよいよ私は頭を抱えるのだった。

 しかし二人……妹スザンナと、その婚約者であるトラドスがズカズカと部屋へと立ち入ってきた。そしてヘンラオ様を見て、顔色が変わる。


「あー、この人! この人よトラドス! 以前私に酷いこと言った人!」

「そうか、お前かあ!!」


 スザンナが指差し、止める間もなくトラドスがヘンラオ様の胸倉を掴んだ。

 うああぁ! ちょっと待ってえぇぇ!!


 これまでの人生で、本気で血の気が引いたのは生まれて初めてかも知れない。


 ヘンラオ様の身分は分からない。我が公爵家より上の立場の家柄なんて、そうは居ない。


 でも!

 王家の使いなんてする人が、低い身分なわけないでしょ!?


 スザンナもトラドスも、ヘンラオ様が王家の使いと知らないとはいえ、なんて恐ろしいことを! 身分が下でも王家のお気に入りなら、下手すれば我が家とトラドスの家……公爵家と侯爵家が潰れるわ!


 一瞬でそう考えた私は、真っ青になりながら慌てて止めに走るのだった。


「トラドス! やめ──」


 やめなさい!

 そう叫ぼうとしたが、一瞬早かった。彼の方が。ヘンラオ様の方が。


 胸倉を掴むトラドスの腕を掴んで引き剥がし、捻じり上げる!


「いでででで!!」


 一瞬の動きに付いていけなかったトラドスは、直ぐに悲鳴を上げることとなったのだ。


「随分な挨拶だな。こちらも丁寧に返させて頂こう」

「いででで! 痛い痛い痛い! 貴様……俺が誰だか分かってるのか!? 放せ!」

「お前が誰かなんて知るか」

「キッシュリー侯爵家が子息、トラドスなるぞ! そしてボルノ公爵家が息女、スザンナの婚約者だ!」

「そうか、それがどうしたというのだ」

「いでででで!」


 トラドスの素性を知っても、なおヘンラオ様は力を緩めることは無かった。きっととてつもなく痛いのだろう、トラドスの顔が真っ赤から真っ青へと変わりだす。


 正直もう少し放置したかったけれど、話が進まない。ので、渋々嫌々適当に、間に入るのだった。


「ヘンラオ様、その辺で……」

「きみが言うなら。残念だがこの辺でやめておこう」


 私の制止に、ヘンラオ様はそう言って手を離した。ヘンラオ様も私も、実に残念……という表情を浮かべているのだけれどね。


 体勢が悪かったのか、いきなり解放されたトラドスは、ふらついて床に突っ伏してしまった。


「ブッ!」

「きゃー! トラドスー!!」


 変な声を出して倒れるトラドスに、慌てて駆け寄るスザンナ。無駄に仲のいい二人だこと。


「酷いわお姉様! いくら私が可愛いからってトラドスにこんな仕打ち、あんまりです!!」


 ……ツッコミポイントが非常に多いんですが。

 まず、私は何もしていないし。そして誰も、お前が可愛いとか言ってない。

 そもそもお前が可愛いのと、トラドスが腕締め上げられるのと、どう関係があるっていうの。


 あなたの頭は大丈夫? ねえ大丈夫?

 お姉ちゃんは色々心配だよ。嘘だけど。

 

お読みいただきありがとうございました。

少しでも、面白い、続きが気になる、と思ってくださいましたら、ぜひブックマークや評価をよろしくお願いします。

していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、ぜひよろしくお願いします!

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