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竜の唄〜剣使いの兄とドラゴンの妹〜  作者: 子々々
遭難したけど旅を始めるよ
7/10

漂流

ザザーン、ザザーンと静かに波打つ。

眩しい日差しの下でイツキは意識なく浜辺に倒れていた。やがてピクリと瞼を動かし、うぅ…と小さく呻き声をあげながら意識を浮上させると、バチンと顔面目掛け尻尾が振り下ろされた。


「〽︎A baribbattaa baribbariiba

Ribiribi distan dellan doo

Ja barillas dillan deia dooa

Daba daba daba daba daba duvja vuu

Baristal dillas dillan duu ba daga

Daiga daida duu duu deiga dou♪」

「イ、イチカちゃん、イチカちゃん…起きる。起きるからテンポ良く尻尾で顔、叩かないで。痛い…冗談抜きで痛いから……」


電子の歌姫で一躍有名になった例の歌を歌いながら叩くイチカにイツキは必死に抵抗した。


「あ、やっと起きた!いくら声掛けても揺すっても全然起きなかったんだよ!」

「うぅん…ところでここは何処?確か僕達、船に乗っていなかったけ?」


イツキの記憶には、シアと護衛者達と共に豪華な船に乗って、そこから水上都市を目指していたはずだった。それなのに何故か自分は浜辺で倒れている。


「イツキ、覚えてないの?あの後デッカい怪物に襲われて、それからライラがなんか凄い魔法を使って気がついたらここに飛ばされていたんだよ?」

「う〜ん……」


魔法による影響なのか、イツキは船が怪物に襲われてここに飛ばされた記憶が丸々飛んでしまっているようだった。


「ねぇ、他のみんなは……?」

「知らない。ここにはあたしとイツキしかいなかったよ」

「これ、完全に遭難って奴だよね……僕、サバイバルの経験なんて無いんだけど……」


どうしようと頭を悩ませていた時、ザリッと砂を踏む音がして、もしかして原住民がいるのかと顔をあげると、三体の小人が立っていた。

肌は緑色で、絵巻などで見る餓鬼に良く似た姿。手には棍棒と小型の斧が握られている。


「……あれ、魔物だよね……」


イツキはイチカを抱えてゆっくりと立ち上がる。

魔物達はニタニタと不気味な笑みを浮かべると、イツキ目掛け駆けつけた。


「いやぁあああああ!!誰か助けてええええて!!」


イツキは全速力で走り出した。


「ちょっとイツキ!その腰に提げてる剣は飾り物なの!?」

「飾り物だよ!実戦経験の無い僕に無茶振りしないでよぉ!」


涙ぐみながらイツキは全力で走った。

とにかく足を動かして、息を大きく吸って、悲鳴を上げながら走りに走った。

しかし魔物達もそう簡単に逃がすつもりは無いらしい。必死に逃げるイツキの背後から追って来ている。


「いやぁあああ!!怖いよおおおおお!!死にたくないよおおおおお!!誰かああああああ!!」


一体の魔物がイツキの背中目掛け、斧を投げ飛ばした。

斧は一直線にイツキの方まで飛んでいき、そのまま背中に当たって鈍い衝撃にイツキはその場に倒れた。


「イツキ!?」

「いっ……な、何?なんか凄い硬くて痛いものが背中に……!?」


背中にぶつかったものの正体が斧だと理解して、イツキはますます青褪めた。

三体の魔物がとうとうイツキに追いついてしまった。


「あ……」


イツキは完全に腰を抜かして動けないでいた。


「イツキに近づくな!」


イチカはイツキの前に飛び出ると、体を本来のサイズに戻し、魔物達の行手を阻んだ。

突然現れた巨大なドラゴンに、さっきまでニタニタといやらしい笑みを浮かべていたのが一転して、怯えた表情になり、イチカは威嚇で吠えると魔物達は慌てて二人から逃げて行ったのであった。


「……ふ〜。ドラゴンで良かった……」


魔物を追い払い、もう大丈夫と確信したイチカは再び体を縮小させた。


「イツキ、大丈夫?」

「う、うん…まだちょっと背中が痛むけど……はぁ。いざ、戦いに直面すると恐怖が勝って戦闘どころじゃないよこれ……」

「これが現実かぁ……」

「うぅ……。イチカちゃんが居なかったらきっと僕の人生はここで終わっていたよ。早く皆と合流したい。あと家に帰りたい……」


イツキは早々に心が折れかけていた。


「あぁ、やっぱりさっきの咆哮はイチカ様のものでしたか!」

「アリアン!」


声のした方向を見ると、そこにはライラを背負ったアリアンがこちらに向かって駆けて来ていた。

アリアンは二人の無事な様子に安堵の表情を浮かべた。


「ライラ!彼女は大丈夫なのか!?」

「意識はありませんが一先ず無事です。……全く無茶をする。まさか乗組員全員を転移させるなんて……」


ライラがとんでもなく無茶をした事だけは分かった。


「とにかく、何処か休める場所を探そう?この辺りに村とか無いのかな?」

「まずはここが何処か知りたいところだけど……」


軽く周囲を見渡すが、ここが浜辺しか分からなかった。ここでイチカが「あっ!」と閃いたように口を開いた。


「そうだ!今のあたしなら空を飛べるから上空からだったら何か分かるかも!」

「ナイスイチカちゃん!早速お願い!」


イチカは翼をはためかせると、空高く舞い上がった。


「すごーい!飛んでる!あたし飛んでるよ!!」


そういえばこの姿になって今日初めて飛行したと気づいた。

イチカは上空を旋回しながら辺りを見渡す。


「……あ!」


イチカは急いで降りてきた。


「この浜辺を真っ直ぐ進んだところに集落があったよ!」

「本当ですか!?なら早く行きましょう!」


イツキ達はイチカが見つけた集落を目指してひたすら真っ直ぐ進んだのだった。

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