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第６話　サリー＆ドランのコスプレＬＩＶＥ

　最初こそ慣れないユーチューバー生活に苦しんでいたボクだったが、毎週末に双葉さんとコスプレしてのライブ配信を行う中で１か月もするとボクは女装という行為にもユーチューバー生活にも慣れていった。

　Ｙｏｕｔｕｂｅチャンネル「サリー＆ドランのコスプレＬＩＶＥ」には配信開始１か月にして多数のファンが付き、その分だけボクは多額の広告収入と投げ銭を得られることになった。

　それでも薬理学教室での学生研究にいつも通り取り組みつつユーチューバー生活を送るのは大変しんどく、今は８月の夏休み中だからいいものの病院実習が再開されたらボクは過労死してしまうのではないかという気がした。

　里美ちゃんはこのチャンネルの運営を今年中で終わらせると事前に決めているのでこの生活がずっと続く訳ではないが、これから来年１月の進級試験に向けた勉強もあることを考えると絶望的な気分になった。

　そんなことを考えて悩んでいた夏休み中のある日、ボクは久々にコウ君と映画デートに行くことになった。

　食事中以外はマスクを着けることになるとはいえ精一杯お洒落して行こうと考えたボクはふと部屋の隅に目をやった。

　そこには里美ちゃんが置いていったコスプレ用の道具箱が置いてあって、ボクは箱に近寄るとそこからカジュアルなレディースの上下と黒髪ロングヘアのウィッグを取り出した。

（コウ君、確か黒髪ロングヘアの清楚な女の子が好みだって言ってたよね……）

　そのまま何かに突き動かされるようにボクはメイクを済ませ、レディースの上下を身に付けてウィッグを被った。

　平日なのでパパが家にいなくてよかったと安心しつつ、ボクは小さなバッグを手に持って自宅を出た。