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29 ガールズ不穏トーク
「……ヤミ子、特に何もコメントしなかったのね」
塔也が立ち去った後の休憩室で剖良は理子に話しかけた。
対局は先ほど白番である剖良の5目半勝ちで終わり、2人は碁石を碁笥に片付けていた。
「何かちょっかい出そうかなと思ったけど、私は部外者だからよその部活の勧誘に口を出すのはNGかなって。そういう理由もあるんだけど、正直な所はね……」
「うん」
「ヤッ君、白神君には妙に優しくない?」
理子の発言に剖良はこくこくと頷いた。
「何か分かる気がする。……塔也君ってああいう人にもてそうな顔してるし」
「こらこらさっちゃん、それ本人に言っちゃ駄目よ?」
「もちろん。私だってそれぐらい分かる」
理子は返事を聞き、偉い偉いと言って剖良の頭を撫でた。




