どろどろの再会
ギルドメンバーの戦術やスタイルをひと通り確認したスバルは、
次なる懸案――転移後に会っていないクラスメイトたち―
案内人はケイ(理沙)。彼女はかつて“脳筋のお母さん”と呼ばれた、
スバルの保護者的存在でもある。
「ここか、あいつらもみんな居るんだよな」
「うん、最初に来た時はスバル以外、みんなここにいたよ」
「そうか……今思えば、俺だけ一階層スタートだったんだな」
「ほんとに。あのときは心配したんだから」
思い出話をさらりと流しながら、
ケイが連絡を取ったのは“信介”という少年だった。
彼が空間の鍵を握っていた。
目の前に現れたのは、四角く輝く扉。
そこから信介が現れる。
『おぉ、スバルじゃん!元気だったか?』
「見ての通り、ピンピンしてるだろ」
『お前らしいな。ほら、早く入れよ』
扉の向こう――
懐かしい顔、懐かしい騒がしさ、懐かしい“協調性のなさ”。
スバルが声をかけると、クラスメイトたちは全員バラバラに喋り始めた。
(おいおい、相変わらずてんでバラバラだな)
「わかったわかった。誰が何言ったか全然分からん」
ケイがぼそっと言う。
「たぶん、PVPイベントのことじゃない?」
(あぁ、転移後のあれか……)
『3位ってどうやって取ったんだよ!』
「頑張った」
『どうやって2階層に来た!』
「頑張った」
今絡んできているのは、背後に不良たちを控えた――木田。
その態度も声も、完全に“支配者”気質。
「なんで俺なんだ?ケイだって5位だろう」
『うっ、お前だからだ!』
『じゃあ、決闘でもすれば?』
(阿奈……猫かぶりの提案か。木田、完全に乗せられてるな)
阿奈という女子は、真面目ぶった不良枠のキーパーソン。
裏では木田らと行動を共にし、クラスの流れを作る役割も果たしていた。
(他のやつら……止める気がないどころか、目を逸らしてる。これは黙らされてるな)
「で?お前、今まで何してた?」
『はぁ?こいつらを“しつけ”てたんだよ!』
「つまり、暴力による支配か」
『うるせぇ!お前も“しつけ”てやるよ!』
「上等だ。かかってこい」
決闘申請が成立。
目の前に――クロノスとの戦闘時に使った、
あのステージがふわりと浮かび始める。
静寂の中で、黒い空間が開いた。
今度は、クラスメイトを相手に。
そしてこの戦いは、過去との決別にもなる。
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最新 2025/07/21




