理沙視点(終) 魔王降臨
(…あれ?スバル?)
理沙は広場の混乱の中、黒い装束をまとったスバルが
11人の子供たちに囲まれているのを見つけた。
その場の会話で、彼らが《英雄育成所》の所属だと知る。
『英雄育成所って……何?』
『PK、アイテム強奪、ステータス改ざん。
あそこの連中はハッカー軍団と組んでるからステ値も異常だ』
『それ、運営どうしてるの?』
『キックしても即復帰するらしい。つまり……対抗策なし』
(チーターに囲まれて無傷……スバル、
集中してるっぽいけど……ほんと、どこかズレてるよね)
子供たちが「オーダー・キル」と唱えた瞬間、
スバルが禍々しい大剣を取り出し、霧状のチート攻撃を薙ぎ払った
その挙動は、スバル自身の意志を超えたものだった。
(おっ、大剣使い?スバルなら格闘家選ぶと思ってたのに
……いや、拳と大剣使う系の職業もあるかも…?)
理沙は静かに見守る。
いつもの皮肉混じりの調子で「ゲームを教えてやる」と
言い放つスバルに、イラっとした子供たちが激昂。
(あーあ、やっぱムキになってる……
子供相手にかっこつけちゃって……そういうとこ、変わってないなぁ)
理沙は自覚してないが、クラスでは「スバルのお母さん」扱いされていた。
その距離感と、冷静な視線が、スバルのブレーキ役だった。
(“神”ってあれ……ハッカー軍団のこと?)
理沙が思考を巡らせている間に、
スバルは《全身全霊切り》を放ち、1人を光に変えた。
(子供相手に容赦なっっ!……現実なら炎上してるよね)
残り10人もその直後に薙ぎ払われ、広場には静寂が戻る。
そこへ駆け寄る外野プレイヤーたち――スバルは彼らに囲まれ、いくつもの問いを受けていた。
が、その場から発せられた“異様なオーラ”により、次々と逃げ出す。
(何あの雰囲気……)
理沙は逃げなかったが、状態異常《恐怖》が発生していた。心は怯え、足は動かない。
でも、親友の顔は見えた。その声を届ける勇気も、残っていた。
「……久しぶりだね、スバル」
『ん?おぉ、理沙か。久しぶりだな』
(……なんか、前より近づきたくない雰囲気出してるよ)
理沙は、スバルとの再会を果たした。
でも、目の前の彼はただの親友ではなく、“チート断罪者”になりかけていた。
これからはギルメン中心で進めていきます
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