僕らの小規模戦闘③ 【町の静けさに剣が閃く】
脳筋帝国ギルドをまとめあげたスバルだったが、
ひとつの違和感が彼の思考を塞いでいた。
《成長数値倍化》スキルの消失。
理由は分からず、広場で思考の沼に沈んでいたその瞬間――
魔王の大剣が光った。
スバルが反射的に剣を抜くと、体は意思に反して動き、剣は空を裂いた。
その一撃が、チーター系スキルとみられる“黒い霧”を消し去った。
原因は――目の前に集まる、英雄育成所所属の悪ガキたち。
命令で人を殺そうとする、ゲーム世界で最も問題のある集団。
そして、今日もまた彼らは町中で攻撃を仕掛けていた。
(これだからガキは嫌いだ……)
通常攻撃を繰り返す彼らに対し、スバルは一言。
「ゲーマーとして、ゲームというものを教えてやる」
『うるせぇ!俺らに口出しすんな!』
戦闘は町中にも関わらず続いていく。
スバルは内心苦笑しながら周囲を見渡す。
(ルールもマナーも無視か……現実じゃきっちりしてる子ほど、
ゲームで暴れるって説あるな)
(それにしても……スキルを撃ってこないのか?)
子供たちは挑発だけ。女3人は遠巻きに観戦しながら茶化すような態度を取る。
「イキってる割に、弱すぎるんじゃないか?」
『うるさいうるさいうるさい‼』
(……もうまともな会話にならんか)
そんな攻防のさなか、いつの間にか町にモンスターが紛れ込んでいた。
『モンスター!?』
『町なのに!?』
『は!? バグ!?』
外野がパニックになる中、スバルは《狂戦士》を発動。
その瞬間、モンスターたちは光に変わり、断末の叫びと共に消滅する。
(こいつらには拳じゃ通らんのか。
やはり……魔王の大剣で斬るしかないな。面倒くせぇ)
事実、魔王の大剣以外の攻撃では、
悪ガキたちにはダメージが通らなかった。
チーター連携の異常耐性。通常プレイヤーでは対応できない相手。
『なんで、俺らに攻撃できるんだよ!?』
スバルは、静かに笑う。
「さぁな。種明かしする義理もないだろう」
町の広場には、静かさと緊張が混じっていた。
魔王の大剣だけが、真に彼らを“ゲームの正しさ”へ導ける唯一の道だった。
さて、どうやって理沙と合流させるか…
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最新 2025/07/19




