僕らの小規模戦闘②【剣の拒んだ命令】
脳筋帝国のギルド構成が完成して間もなく――
スバルは、かつて自身の成長に貢献していたスキル
《成長数値倍化》が消失した謎を追っていた。
(ヘルプもガイドもない……調べるにも根拠がねぇ)
立ち止まり、思考を巡らせるスバル。
だが、完全に無防備な姿は、街の問題児プレイヤーたちに目を付けられる。
『ねぇ~まだ~? 飽きた~』
『こいつ動かねぇんだもん』
『あいつらに殺ってもらおうぜ! オーダー・キル‼』
突然、魔王の大剣が“光った”。
スバルが引き抜くと、意思とは無関係に腕が動き、剣が空を裂いた。
(体が勝手に動いた……しかも、ガキどもが囲ってるのか)
『あれ?死なない?』
『命令しただろ!? 殺れよ!』
静寂。スバルが一言、低く笑う。
「なんだ、俺に何か用か? 殺せって命令されてるみたいだが」
『なんで死なねぇんだよ!お前は何者だよ!』
「“死ね”から始まる会話。いい教育方針だな」
周囲には男の子8人、女の子3人。
中でもリーダー格らしい女1が、一転して甘く喋りかける。
『ねぇ?あんた、私たちの仲間にならない?』
(急に勧誘か……上目遣いといい、これはお嬢様型プレイヤーか?)
「残念。ガキは俺の苦手分野だ。それに死ね死ね言われてたしな」
『なによ!この私がお願いしてるのよ!配下になりなさいよ‼』
「なら聞くが。俺が入って、何の得がある?」
『私たちには“神様”がついてるのよ!この世界じゃ何でもできるのよ‼』
「……つまりハッカーか。くだらん。
そんな表層の力より、自分で積み上げた技術の方がマシだ」
怒った女1が叫ぶ。
『じゃあいいわ!オーダー・バン‼』
再び、魔王の大剣が光る――だがスバルは剣に導かれ、黒い靄を振り払う。
『なに!? まだ生きてるの!?』
「どうやらこの剣が拒んでくれたようだな」
『じゃあ……ごんた! いつものやつ、やって!』
『ファイブ・フィンガーズ‼』
――沈黙。強制剥奪型の不正スキルが放たれたが、剣は抜けない。
コマンドは通らず、装備も外れない。
『え?取れない!? なんでだよ!?』
『早くしてよ!コマンドが通らないじゃないの!』
スバルが、静かに構えた。
「はぁ、いいか、ゲームってのは命令で動くもんじゃない。
“理解”して“攻略”するもんだ。……少し、教えてやるよ」
子供たちも、表情を引き締めて戦闘態勢に移行する。
だが、今彼らが向き合うのは、“脳筋帝国の王”であり、“魔王の剣に選ばれた男”だった。
ネット界でのチーターって通常プレイヤーからしたら
困りものですよね(作者経験あり)
高評価、コメント、ブックマーク
あと、チーターうざいと思う人はいいね等
お願いします
最新 2025/07/19




