スカウト⑤ クロノス編 完
ラースブラスターが放たれ、漆黒の光線が視界を覆いつくす。
闘技場には砂煙が立ち込め、観戦者たちも思わず息を呑んだ。
「よし、さすがに決まっただろう」
―― 周囲の声
『なんだあのスキル……』
『あのゴーレムの技か?スバルが召喚してたやつ』
『これ……テイムモンスターの中でも最上位じゃね?』
『でも、あんな技あるなら最初から使えばよくない?』
『条件付きなんじゃない?溜め時間とか連携系とか』
『ま、あとで聞いてみようぜ――って……あれ?クロノス倒れてなくね?』
砂煙の中から、声が響いた。
『うっ……危なかったですね。こんなスキルをお持ちとは』
「ほぅ……今ので終わったと思ったがな」
『実際、HPは削りきられました。ですが
――これは私のスキルです。HP0になった時、5分間だけ延命して行動できるタイプ』
「なるほど。粘りに特化してるわけか。面白いな」
『ありがとうございます。では、時間が惜しいので再開します!』
クロノスがイグニスという炎の精霊を召喚し
《ジャッジメントブレイド》を発動。
スバルも構え直す。
「投擲!メテオストライク!ヘイトアップ!」
『攻めるより守るべきでは?』
「俺は、俺のやり方でやるさ」
『そうですか……では《カウンター》!』
「ぐっ……があぁぁぁ!」
極太の光線が炸裂し、スバルの体を貫いた。だが、砂埃の中から――
「久しぶりに痛かったな」
『……えぇ?これで決まらないとは』
「残念だったな」
『完敗ですね……もう4分以上経過してますし、私には勝機はないようです』
「もう少し殴り合いたかったけどな」
『同感です』
クロノスの体が、光になって消えていった。
― 観戦者
『スバル……勝ったな。クロノスを負かすなんて』
『これだけの高レベル決闘、なかなか見れないよ』
『そういえばクロノス、勝った人のギルドに入るって言ってたよね?』
『スバルって、昨日ロリ&ショタの2人スカウトしてたじゃん。ギルマス確定だろ』
『あっ、スバル戻ってきたぞ!』
クロノスが帰還後、静かに言う。
『あなたには驚かされてばかりです。カウンター受けて、あの動じなさ』
「演技だよ。俺に痛覚なんてないからな」
『……完敗です。では、お約束通り――あなたのギルドに入れてください』
「本気で言ってるか?」
『そのつもりで、最初から決闘を挑んだのです』
スバルとクロノスは固い握手を交わす。
帝国の戦力に、新たな【魔法剣士枠】が加わった。
これでギルド人数は4名。
防御・攻撃・魔法・戦術――脳筋帝国は、
着実に“全属性型ギルド”へと歩み始める。
ようやくクロノス編が終わりましたね
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最新 2025/07/19




