スカウト② クロノス編 Ver.1
昨日、攻撃特化の狩人ライラと、
防御特化の盾使いゲイルをスカウトしたスバル。
脳筋帝国ギルドにはようやく個性が揃い始めたが、現状はまだ三人。
(この人数じゃ、ギルド対抗戦なんか即リタイアだな……)
理想を言えば、過去にスバルの戦闘スタイルを
理解しているプレイヤーたちを加入させたい。
例えばブルーローズのメンバー、
かつてイベントで共に戦った四人──
だが彼らはすでに別ギルドに所属済み。
(仕方ねぇ……次は何が必要か、冷静に考えよう)
現在の脳筋帝国の構成は、以下の三種:
- スバル:脳筋(近距離物理型)
- ゲイル:盾使い(極防型守備型)
- ライラ:狩人(遠距離物理型)
(……そういえば、魔法使える奴がいねぇな)
スバル自身は、《チャカフレア》という魔法スキルを持っていたが、
これはあくまで炎症ダメージを伴う物理魔法で、正統派魔法職とは言い難い。
ゲイルとライラもそれぞれステータスを極振りしているため、
魔法を切り捨てていた。
(よし、次は魔法職中心にスカウトだ)
だが、今すぐギルド加入可能なプレイヤーは町にも少なく、
特化型のような“極振りアカウント”はすぐ新規作り直しされる傾向にある。
ゲイルとライラはその“リセット前”にギルド入りできた幸運な例だった。
(さて……掲示板に何か更新入ってるか?)
町の中心へ戻ると、掲示板とは違う場所に人だかりができていた。
空中にはガラス球のような魔法デバイスが浮かび、
内部で“ある戦闘映像”を映し出していた。
「失礼、これは一体?」
『あぁ……今、魔法剣士っぽい奴と、強いやつが決闘しててな』
(決闘か……ギルド戦とは別の意味で実力見れるな)
「その強いやつって?」
『“クロノス”って名前の眼鏡の青年だ。片っ端から決闘申し込んで、今28連勝中。俺も負けた』
ガラス球の映像は決着を迎え、観衆がどよめく。
『すごかった……あれで29連勝か』
『あの魔法剣士も腕あるのに……』
『クロノスに勝てるやつ、いるのか?』
すると、視線がスバルに向いた。
『そちら……あなたはまだ、決闘してませんよね?』
「……俺?」
(視線、キッツ。絶対試合見たいだけの期待乗ってる)
「わーったよ、やるよ」
クロノスからの挑戦を受け取った瞬間――
視界が変わる。
一瞬の揺らぎのあと、周囲は闘技場に変わっていた。
観客なし、魔法球のみが漂う空間。
スバルの手には魔王の大剣。
そして、対面には淡々と構える眼鏡の青年、クロノス。
やべっ理沙に続いて決闘になっちまった
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最新 2025/07/19




