理沙視点⑩
武士装束の男・アレンが、理沙に向かって宣言する。
『某が使うは、狂戦士。
かつてイベント三位のスバル殿が使ったもの』
「そのスキルって……メリットしかないの?」
『某に勝った時、教えてやる』
「だよねー、じゃあ君が勝ったら……?」
『某の力量がわかれば、それでよい』
「じゃ、始めようか」
『うむ、参る!』
戦闘が再開。
「加速!身体能力向上!」
『軽量化、速度上昇、身体能力向上!』
両者、剣技と補助を駆使しながら距離を詰める。
『雷鳴剣! 紅蓮剣!』
「テレポート!」
『お主、よい感を持っておる』
「お褒めにあずかり光栄です」
『だが連続では使えまい! スラッシュ! 飛撃!』
「スラッシュ! …うわっ!地面抉れちゃった!?」
(あのスキル倍率知りたいなぁ)
『これで決めるぞ──天羅万象切り‼』
光のエフェクトが広がり、空間を裂くかのように光刃が走る。
『武士の情け、これにて決着──!』
理沙は、刃が届く寸前に静かに笑う。
「残念。後ろだよ」
光刃は理沙のすぐ背後を通り抜け、着弾せず。
直後──
「パワーアタック! スラッシュ!
これで決まり! トリプルスラッシュ!」
『なっ⁉ ……某の負けである』
アレンのHPが0になり、決闘は静かに幕を閉じた。
観戦者たちは歓声を上げる。
戦場から元の街へ戻った理沙は、約束を忘れず声をかける。
「あ!アレンさん、さっきのスキルの話!」
『うむ。狂戦士は、
防御力が半分になる欠点がある。力と引き換えにな』
「なるほど……だから最後押し切れたんだ」
互いにフレンド登録を済ませ、理沙は町の探索へ戻る。
すると――視界の奥に、魔王のような意匠を纏う男性が現れた。
その周りには、子供NPCたちが群がり、まるで“帝国の王”に話しかけているような光景。
(……あれ?スバル?)
魔王の大剣を背に、静かに子供たちの声に応えるスバルの姿。
まるで、戦場と家庭を往復する王のような風格だった。
魔王に近ずく子供たちw
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最新 2025/07/19




