理沙視点⑧
アップデートが終わり、町の景色が一変していた。
(ケモ耳がついてる!かわいいじゃん)
街路には猫耳、犬耳、タヌキ耳、狐耳など、様々な種族の姿が並ぶ。
一部は耳だけでなく、体全体が動物型に近い完全個体。
さらに、長命族らしい尖った耳と整った容姿のプレイヤーも増えていた。
(耳とがってる……あれが長命族か。美形って本当なんだ)
そんな中、一人の甲冑姿の男が理沙に近づいてくる。
『失礼、貴殿は前イベント5位の理沙殿かな?』
「そうですが……何か?」
男は、まさに“武士”の語がぴったりな全身鎧装備。
所作も口調も、時代劇のように律されていた。
『貴殿に、一騎打ちを申し込む!』
「えっと……僕ですか?」
『うむ、貴殿である』
(あー……これはもう断れないやつ。
人だかりできてるし……レベル上げしたかったんだけどなぁ)
周囲には観客が集まり、声を潜めつつ見守っていた。
理沙の現在レベルは、司1.4倍ほど
成長は十分、だが今「成長数値倍化」のパッシブが消えていることに気づく。
(あれ?成長数値倍化が……消えてる?
何でだろう?まぁ、今はこの人だ)
「じゃあ、武士さん。君の名前は?」
『名を尋ねる前に、自ら名乗るのが礼儀である』
(あ、ロールプレイ全振りのタイプか。
っていうか最初、自分で“理沙殿”って言ってたじゃん)
「僕は、ケイっていうんだ」
『某はアレンである』
「じゃあ、アレン。君の申し出、受けるよ」
アレンがコマンド「決闘」を発動。
理沙が「参加」を選択した瞬間――周囲の光が弾け、風のうねりが起きた。
視界が揺らぎ、次の瞬間、二人の立ち位置は変わっていた。
石柱の立ち並ぶ古代闘技場――まるでコロッセオのような空間。
観客はいないが、外周には影のようなNPCたちが観戦態勢に入っている。
(さて……この人、どこまでやる気か見てみよう)
決闘が始まる。
ケモ耳たちの祭り騒ぎとは対照的に、これは理沙が“個人として”挑む真剣勝負だった
次回、対人戦
決闘は、他のプレイヤーも見れる設定なら
見れるようになってます
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最新 2025/07/19




