シルフの願い
王都ティンベルへ向かおうとするスバル に、
シルフが静かに声をかける。
『まぁ待て、スバルよ。急ぎでなければ 我の願い を聞いてはくれぬか?』
スバルは歩みを止め、振り向く。
「なんだ? 俺にできることならやってみるが」
シルフは 鋭い眼差し でスバルを見据え、言う。
『我と手合わせ願いたい』
「……は?」
『お主と 戦いたいのだ』
スバルは 数秒沈黙した後、肩をすくめながら答える。
「死なないのであれば、やろうじゃねぇか」
『わかった。殺さない程度に加減しよう』
こうして スバルとシルフの本格的な戦闘が幕を開ける。
そして、シルフは雄たけびを上げる
『狼王結界』
すると、シルフを中心に 青い膜 のようなものが発生する。
それはまるで、世界を隔てるかのような 幻想的な結界 だった。
スバルは 警戒しつつ その膜をじっと見つめる。
「……何だこれ?」
結界の内側に入ると、空気が変わった。
肌に感じる圧力、周囲の静寂――異質な空間 に
入り込んだことをスバルは直感的に理解する。
シルフはゆったりと説明する。
『この中では、本体が戦闘体に置き換わる。
致命傷のダメージを受ければ、本体が現れる仕組みだ』
スバルは 驚きと興味が混ざった視線 を送る。
「なるほど… まるでゲームのデスマッチモード みたいだな」
シルフは静かに頷く。
『うむ。これは 我らの種族に代々受け継がれている魔法 だ』
スバルは じっくりと空間を見回しながら つぶやく。
「便利な魔法だな… これがあれば、命の危険なしに戦闘訓練ができるってことか」
『その通り。我らはこの魔法を使い、種族内で戦闘技術を磨くのだ』
結界の内側では 重力が微妙に異なり、動きやすさが少し変わっている ことにスバルは気づいた。
まるで、戦闘をより ダイナミック にするための調整がされているかのようだった。
「……これは、思ったより本気の勝負になりそうだな」
シルフは 鋭い眼差し でスバルを見据える。
『では――賭けでもしないか?』
スバルは 口元をニヤリと歪める。
「ほう… そそるじゃねぇか」
スバルは 現実では真面目なタイプ だが、ゲームの世界では 賭け事を好む癖があった。
異世界のこの状況でも、その本能は変わらなかった。
『我が勝てば、お主の これからの行動を見させてもらう』
スバルは興味を持ちつつ、尋ねる。
「……それだけか?」
『あぁ、それだけだ』
スバルは しばし考えた後、指を一本立てる。
「なら、俺は 魔法を教えてほしい」
シルフは目を細め、少し考えた後、頷いた。
『いいだろう。なら、この条件で 異論はないな』
スバルも静かに頷く。
『我が眷属を 見届け人 にしよう』
次の瞬間、シルフは 天に向かって遠吠えをあげた。
『アァァァオォォォォォン――!!』
辺りにその咆哮が響き渡る。
すると、数匹の シルバーウルフ が集まってきた。
しかし、シルフとは 一回り小さい。
スバルは、じっくりと彼らを観察しながら言った。
「大きさが 結構違う んだな」
シルフは落ち着いた声で説明する。
『ここまでの大きさに至るには 数世代を生き抜く必要がある。
我は先代より 不老の魔法 を授かったことで、今まで生き続けてきた』
スバルは 眉をひそめる。
「……今、いくつなんだよ?」
シルフは少し間を置いた後、短く答えた。
『年齢などとうに忘れた』
スバルは 半ば呆れつつも笑い、肩をすくめる。
「まあいい。そろそろ始めようじゃねぇか」
シルフも同じように微笑みながら頷く。
『あぁ、始めよう』
こうして、スバル vs シルフ――壮絶な戦いが幕を開けた。
稿頻度はバラバラで、作品に関することであればコメントにて
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最新 2025/06/06